puva 療法とオクソラレンと紫外線療法

puva 療法

puva 療法の概要
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何を組み合わせるか

ソラレン(メトキサレン)で光感受性を上げ、UVA照射を行う光化学療法として位置づける。

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方法は3系統

内服PUVA・外用PUVA・PUVAバスの特徴(遮光、全身負担、設備要件)を比較して選択する。

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安全管理が要

急性の光毒性反応と、長期の光老化・皮膚腫瘍リスクを前提に、照射記録と患者教育で事故を防ぐ。

puva 療法の適応 乾癬 白斑

 

PUVA療法は、ソラレン(メトキサレン)により皮膚の光感受性を高めた上でUVAを照射する「光化学療法」であり、乾癬白斑を含む複数の皮膚疾患に応用されてきました。

日本の光線療法の整理では、光線療法としてPUVAとNB-UVBが主要な選択肢として扱われ、保険適応疾患として乾癬、掌蹠膿疱症、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、菌状息肉腫などが挙げられています。

特に白斑については、日本皮膚科学会のガイドラインでPUVA療法は「有効」と位置づけられています(推奨度Bの扱い)。

臨床での“適応”は、単に疾患名だけでは決め切れません。医療従事者向けに、実装上の判断軸を明確化しておくと説明がスムーズです。

✅適応を考えるときの実務ポイント

・外用治療(ステロイド、ビタミンD3、タクロリムス等)でコントロール不十分

・病変が広範で、局所照射(ターゲット型)だけでは追いつかない

・NB-UVBのアクセス(通院頻度)や反応性の問題で代替が必要

・長期的な照射履歴(過去の光線療法総回数)を踏まえ、PUVAの総量管理が可能

現場で意外に重要なのが「患者の生活制限を受け入れられるか」です。内服や外用PUVAは遮光が必須で、紫外線の多い季節や職業(屋外作業)では治療継続性に直結します。

puva 療法の方法 内服 外用 PUVA バス

PUVA療法は「内服PUVA」「外用PUVA」「PUVAバス」の3種類に大別され、方法により光感受性ピークや遮光の必要性、全身副作用の出方が異なります。

乾癬の光線療法ガイドラインでは、内服ではメトキサレンを内服し光感受性ピーク(2時間後)にUVA照射、外用はメトキサレン外用後に照射、PUVAバスはメトキサレン希釈液に入浴後ただちに照射すると整理されています。

同ガイドラインでは、PUVAバスは照射後数時間でほぼソラレンの作用がなくなるため、遮光など日常生活の制限が少ない点が利点とされています。

治療プロトコールを理解するうえで、医療者側が見落としがちな「事故の起点」は、照射量そのものよりも“タイミングのズレ”と“遮光不徹底”です。

💡実務上の注意(ミスが起きやすい点)

・外用PUVAは塗布ムラがあると「局所過量照射」と同じ結果になり、水疱や強い色素沈着を誘発しやすい

・内服PUVAは遮光が当日だけでなく翌日まで影響するため、患者説明が不足すると屋外暴露で重度の光毒性反応に直結

・PUVAバスは設備(浴槽、温度管理、希釈濃度、照射までの時間)で施設差が出やすく、標準化が重要

参考として、乾癬の光線療法ガイドラインでは、PUVAバスの一例として「0.0001~0.0002%のメトキサレン入り浴槽に15分入浴後、直後にUVA照射」など具体的手順が示されています。

このような“具体的手順の言語化”は、医師だけでなく看護・介護スタッフの介助時に安全性を底上げします(照射間違い、遮光眼鏡忘れ等の予防)。

puva 療法の禁忌 光線過敏 皮膚悪性腫瘍

PUVA療法は有効性が高い一方で、禁忌や慎重投与の枠組みを曖昧にしたまま導入すると、取り返しのつかない合併症(重度熱傷、腫瘍、眼合併症)につながります。

乾癬の光線療法ガイドラインでは、絶対禁忌として「皮膚悪性腫瘍の合併・既往」「高発癌リスク(色素性乾皮症、砒素曝露、放射線照射歴など)」「顕著な光線過敏(ポルフィリン症、光線過敏性膠原病など)」が挙げられています。

また同ガイドラインでは、内服PUVAに限り「妊娠・授乳」などが絶対禁忌として追加され、相対禁忌として「白内障」「重篤な肝・腎障害(内服PUVA)」「ソラレン過敏症」「10歳未満」などが示されています。

ここで“あまり知られていない落とし穴”として強調したいのが、禁忌・注意事項は疾患側だけでなく「併用薬・食品」によって簡単に破綻する点です。

オクソラレン(メトキサレン)の医薬品情報では、光線過敏を起こすことが知られている薬剤(例:テトラサイクリン系、サルファ剤、チアジド系など)との併用で光線過敏症が発現するおそれがあるとされています。

さらに同情報では、フロクマリンを含む食物(例:セロリ、ライム、ニンジン、パセリ、イチジク等)でも光感受性が増強され得る旨が記載されています。

🍋現場で使える患者説明の言い換え例

・「薬だけでなく、食べ物でも光に弱くなりやすいことがあります。照射当日は“日焼けしやすい体質になっている日”と考えてください。」

・「抗菌薬利尿薬など、光に反応しやすくなる薬があるので、他院処方も含めて必ず確認します。」

この“食事・併用薬の注意”は検索上位の記事では省略されがちですが、実際のトラブル(想定外の光毒性)を減らす強い武器になります。

puva 療法の副作用 水疱 皮膚癌

PUVA療法の副作用は、短期(急性)と長期(慢性)に分けて整理すると、医療者間の共通理解が作りやすくなります。

乾癬の光線療法ガイドラインでは、短期副作用として照射量過剰時に光毒性反応(日焼け症状)が、長期副作用として光老化に加えて発癌が大きな問題であると述べています。

同ガイドラインでは、本邦施設の経験として「外用PUVAで400回(総照射量1,000J/cm2)以上で、照射部位にボーエン病、日光角化症、基底細胞癌が約10%程度みられた」という報告が引用されています。

一方で、患者が実感しやすいのは急性の皮膚症状です。オクソラレン(メトキサレン)の医薬品情報でも副作用として水疱、皮膚炎、そう痒、紅斑、熱感などが示されています。

したがって、現場では「照射直後は変化が乏しいが、時間差で赤み・熱感が増す」ことを前提に、帰宅後のセルフモニタリング指導が重要です。

📌副作用を減らす実務チェック(入れ子なし)

・照射量の増量は“皮膚反応ありき”で、機械表示だけで上げない

・照射部位と非照射部位の遮光を徹底し、境界の“うっかり被曝”を防ぐ

・照射回数・総照射量を患者ごとに記録し、節目(例:50回ごと)で治療戦略を見直す

・照射後のサングラス・遮光指導を「いつまで」「どこまで」具体的に言語化する

🧪関連論文(長期発癌リスクの代表的研究)

Stern RS. The risk of squamous cell and basal cell cancer associated with psoralen and ultraviolet A therapy: a 30-year prospective study (J Am Acad Dermatol, 2012)

このように、PUVAは「使いどころ」と「やめどころ」を同時に設計して初めて、安全性と有効性が両立します。

puva 療法の看護 遮光 サングラス

PUVA療法は、医師の処方と照射設定だけで完結せず、看護・介助の質が安全性を決める治療です。

乾癬の光線療法ガイドラインでは、看護・介護のポイントとして「適正照射の介助」「照射時間や光源の誤り防止」「紫外線遮光眼鏡の装着確認」「ソラレン投与後の遮光指導」などが明記されています。

同ガイドラインでは、患者ごとに照射回数・照射量を記録することが望ましいとも述べています。

ここでは“独自視点”として、患者説明を「守るべき行動」から「事故のストーリー」に変換する方法を提案します。医療現場では、ルール列挙よりも行動変容につながりやすいからです。

🕶️事故ストーリー型の説明(例)

・外用PUVA後にコンビニへ行く→短時間でも日光が当たる→夕方から強い熱感→夜に水疱→翌週以降の治療が中断

・内服PUVA後に車を運転→窓越しの光でも影響→顔面や前腕が予想以上に赤くなる→「治療が怖い」へ心理が傾く

・照射室で遮光眼鏡を一瞬外す→その場では無症状→翌日に眼痛や羞明を訴える(疑い対応が必要)

🎯現場オペレーションの工夫(小さく効く改善)

・照射前チェックリスト(遮光眼鏡、照射部位、外用範囲、直近の内服薬変更)を紙1枚で運用

・患者向け「当日のやっていい/ダメ」絵文字カードを渡す(例:☀️外出×、🧢帽子、🕶️サングラス)

・総照射量・回数の“見える化”をして、将来の腫瘍リスク説明を一度きりにしない

有用な日本語参考リンク(禁忌・副作用・照射プロトコールの根拠に使える部分)

乾癬の光線療法ガイドライン(PUVAの方法、禁忌、回数制限、発癌リスクの記載)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/126/7/126_1239/_pdf

オクソラレン(メトキサレン)医薬品情報(相互作用:光線過敏薬・フロクマリン含有食物、副作用:水疱など)

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048126

Reversing Puva Lentigines: Overcoming Cravings The Raw Vegan Plant-Based Detoxification & Regeneration Workbook for Healing Patients.Volume 3