複合型サービスとは看護小規模多機能型居宅介護
複合型サービスとはの定義と地域密着型サービス
「複合型サービスとは?」と検索して出てくる多くの説明は、現在の制度名でいえば「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」を指しているケースが中心です。これは、制度創設時の名称が「複合型サービス」で、後に「看護小規模多機能型居宅介護」へ名称変更された経緯があるためです。実際、日本看護協会の解説でも、制度創設時の名称が「複合型サービス」であり、2015年4月に「看護小規模多機能型居宅介護」に変更された旨が示されています。
医療従事者がここで注意したいのは、「複合型サービス」という言葉が一般用語の“複数サービスの組合せ”として使われる場面と、介護保険制度のサービス類型(看多機の旧称)として使われる場面が混在しやすい点です。院内カンファレンスや地域連携会議で「複合型」と聞いたら、①看多機のことなのか、②単に訪問+通所などの組合せの意味なのかを、その場で確認するだけで誤解が大きく減ります。
また、看多機は「訪問看護」と「小規模多機能型居宅介護」を組み合わせ、通い・泊まり・訪問(看護・介護)を一体的に提供する仕組みとして整理されています。厚労省の介護サービス情報公表システムのガイドでも「看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)」という表記で案内されており、旧称が現場で残っていること自体は不自然ではありません。
・用語の混線を防ぐチェックポイント(現場向け)
✅ 紹介元が病院・訪問看護ST・居宅介護支援のどこか
✅ 「登録」「包括報酬」「通い泊まり訪問が同一事業所」などの語が出たら看多機の可能性が高い
✅ 「訪問介護+通所介護の新類型」などの話なら別論点(近年の制度議論)と切り分ける
参考:看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)の位置づけ・概要(厚労省 介護サービス情報公表システム)
複合型サービスとはの提供形態:訪問看護と小規模多機能
看護小規模多機能型居宅介護(旧:複合型サービス)の最大の特徴は、1つの事業所が「通い」「泊まり」「訪問(看護・介護)」をまとめて運用し、利用者の状態や家族状況に合わせて組み替えられることです。日本看護協会も、4つのサービス(訪問看護・訪問介護・通い・泊まり)を1つの事業所が提供する点を特徴として整理しています。
医療側の価値が最も出やすいのは、退院直後や病状不安定期に「今日は通いを減らして訪問を増やす」「夜間だけ泊まりで安全確保し、日中は自宅で生活」など、医療的観察と生活支援を同時に設計できる場面です。健康長寿ネットでも、退院直後の在宅移行、看取り期、家族負担軽減といったニーズを支援する制度として位置づけています。
一方、意外と見落とされるのが「利用者の生活導線が短くなる」という利点です。複数事業所をまたぐと、電話連絡・情報共有・計画書更新・担当者会議の調整が指数関数的に増えますが、看多機は“1つの窓口で組み替える”設計なので、連携コストを制度の側で吸収しやすい構造です(もちろんゼロにはなりません)。
・医療従事者が押さえるべき「使いどころ」
🏥 退院当日〜1週間:再入院リスクが高い(服薬、食事、水分、疼痛、せん妄、感染兆候など)
🩺 病状不安定期:訪問看護の観察頻度を一時的に上げやすい
🕯️ 看取り期:家族のレスパイトと夜間の見守りを同時に設計しやすい
参考:看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)の制度経緯・特徴(日本看護協会)

複合型サービスとはの人員・設備基準:看護師と柔軟配置
複合型サービス(看多機)の人員基準は、医療従事者の関心が高い「看護師配置」が制度上明確になっている点がポイントです。厚労省資料では、日中の通い・訪問の提供体制や、看護職員の常勤換算(看護職員2.5人以上、うち常勤の保健師または看護師1人以上)など、看護の質担保を意識した要件が示されています。
さらに“地味に重要”なのが、人員配置を各サービスに固定せず、柔軟な業務遂行が可能とされている点です。これは、利用者の状態変化(例:感染兆候で通い中止→訪問へ切替)に追随するための制度設計で、医療と介護の動きが噛み合うと、急性増悪の芽を早い段階で摘みやすくなります。
設備面では、宿泊室の床面積やプライバシー確保などの要件が整理されており、「泊まり」を安全に運用するための最低条件があることも押さえておきたいところです。病院側から見ると“施設っぽい”印象を持たれがちですが、あくまで在宅生活を支える地域密着型の枠組みであり、医療連携の焦点は「主治医指示」「計画書・報告書」「緊急時対応」に集約されます。
・現場での確認リスト(紹介・連携時)
✅ 看護職員の体制(常勤の看護師/保健師の有無、夜間のオンコール含む運用)
✅ 泊まりの受入上限と運用(家族レスパイト目的か、退院直後の安全確保か)
✅ 訪問看護ステーション指定との関係(同一事業所で一体運営の場合の扱い)
参考:複合型サービスの人員・設備基準(厚生労働省PDF)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000091123.pdf
複合型サービスとはの運営基準:主治医の指示と計画書・報告書
医療従事者にとって、複合型サービス(看多機)の“制度としての強み”は、主治医との関係が運営基準に組み込まれている点です。厚労省資料では、看護サービス開始時に主治医の指示を文書で受けること、主治医へ計画書・報告書を提出して密接な連携を図ることが示され、単なる努力義務に寄りにくい枠組みになっています。
また、計画書と報告書の役割分担も明確です。資料上は、介護支援専門員が看護師等と密接に連携して「複合型サービス計画書」を作成し、看護師等(准看護師を除く)が「複合型サービス報告書」を作成する整理になっています。ここが曖昧なままだと、病院側は「誰に何を渡せば動くのか」が見えにくくなり、退院後のトラブル(指示の未共有、薬剤調整の遅れ、急変時の連絡先混乱)が起きやすくなります。
意外と盲点なのが、「看護サービスが必要でない利用者」の扱いです。厚労省資料では、看護サービスが必要でない場合に主治医指示・報告書提出が不要となる整理が示されており、医療側が“常に指示書が飛んでくる”と思い込むと、連携の設計がズレます。紹介状や退院サマリーでは「現時点で医療処置なしだが、増悪リスクが高く指示書が必要になる可能性」など、将来の分岐条件を書いておくと、看多機側の準備が早くなります。
・主治医(病院/診療所)が最低限押さえる文書運用
📄 指示(文書)=看護サービス開始のトリガー
🗂️ 計画書=介護支援専門員が中心、看護目標・主治医指示も含む整理
📝 報告書=看護師等が作成し、概ね定期的に主治医へ提出(必要時)
参考:主治医との関係・計画書・報告書の整理(厚生労働省PDF)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000091123.pdf
複合型サービスとはの独自視点:退院前カンファで「切替条件」を合意
検索上位の記事は制度概要(通い・泊まり・訪問、看護師配置、包括報酬)に寄りやすい一方で、医療現場の“失敗パターン”まで踏み込む解説は多くありません。そこで独自視点として提案したいのが、退院前カンファレンスで「サービス切替条件(if-then)」を合意しておく運用です。
看多機は、状態に応じてサービスを組み替えられるのが強みですが、裏返すと「切替の判断基準が共有されていないと、組み替えが遅れる」弱点にもなります。例えば、発熱・SpO2低下・食事摂取低下・せん妄兆候・疼痛増悪など、よくある“増悪の入口”に対して、①誰が最初に気づくか(通いの介護職か、訪問看護か、家族か)、②どこへ連絡するか(看多機の看護師、主治医、救急)、③何をもって訪問回数増や泊まり導入に切り替えるか、を事前に言語化しておくと、制度の強みが最大化します。
この運用は、看多機側にもメリットがあります。人員配置を柔軟にしやすい制度設計であっても、当日の急な組替えは人手の制約を受けます。だからこそ「兆候の段階で前倒しに切替える」合意があると、現場は動きやすく、利用者安全も上がります。
・退院前に決めると強い「切替条件」例(テンプレ)
✅ 体温37.8℃以上が半日継続 → 当日通い中止、訪問看護で評価、必要なら主治医へ連絡
✅ 夜間の不眠・徘徊が2夜連続 → 泊まり導入を検討(家族疲弊の閾値として)
✅ 食事摂取が普段の半分以下が2日 → 脱水・薬剤影響・感染を疑い、訪問でバイタル/生活評価
✅ 痛みのNRSがベースより+3以上 → 疼痛コントロール再設計(薬剤調整の相談)
参考:看多機が「退院後の在宅生活への移行」「看取り期の支援」などを担う位置づけ(兵庫県の解説)
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf05/kantaki.html

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