マイホームぴこ 取扱説明書と患者アプリ

マイホームぴこ 取扱説明書

マイホームぴこ 取扱説明書で押さえる要点
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まず「禁忌・警告」を先に読む

気密構造ではない・多湿や噴霧環境を避ける等、事故や故障に直結する注意が先頭にまとまっています。患者指導の前に、医療者がここだけでも暗唱できる状態にするとトラブルが減ります。

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手順は「装置→回路→プライミング→接続」

電源投入、治療設定確認、カセット装着、セットアップ、プライミング、トランスファーチューブ接続…という流れで記載されており、教える順序もこの並びが安全です。

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キーロックと記憶カードは事故予防の肝

誤操作や設定上書きが起こりやすい場面(夜間・家族介入・新規導入期)で、キーロックと「ぴこ記憶カード」の運用ルールを決めると再発防止になります。

マイホームぴこ 取扱説明書の禁忌・警告と環境条件

 

マイホームぴこは「気密構造ではない」ため、消毒用ガスを含む活性ガス環境、ネブライザー等の噴霧環境、多湿環境での使用・保管を避けるよう明記されています。

訪問看護や在宅療養で見落とされやすいのは、患者宅の加湿器・アロマディフューザー・浴室近接など「湿気の慢性曝露」で、機器の経時劣化や故障リスクとして説明できます。

また、使用条件は周囲温度10~36℃、相対湿度30~85%RH(結露なし)と記載され、室温管理が不十分な居室では治療時間の延長やアラーム頻発の遠因になるため、生活指導(寝室環境の整備)とセットで伝えるのが現実的です。

  • 指導の一言例:就寝中に使う機器なので「寝室の湿度」と「結露」が最大の敵、と覚えてもらう。
  • ありがちな落とし穴:冬の加湿器を強運転→配線・本体に結露→原因不明の不具合扱いになりやすい。

参考:使用環境・禁忌(多湿・噴霧・活性ガス等)と安全上の警告がまとまっています。

PMDA 添付文書「マイホームぴこ」

マイホームぴこ 取扱説明書の基本操作とプライミング

取扱説明書では、電源投入→治療設定確認→カセットドアを開けてAPD回路カセットをセット→操作パネルでセットアップ→開始スイッチでプライミング、という順に「番号付き」で示されています。

医療者が患者指導で強調したいのは、プライミングを「早く終わらせる作業」ではなく、エア混入や接続ミスを未然に潰す“点検工程”として位置づけることです。

さらに、腹腔内エアが疑われる場合に「初期排液から始まる条件(初期排液量:標準モード50mL、小容量モード30mL)」に設定するよう注意が書かれており、症状訴え(肩痛・腹部違和感・除水低下)と結び付けて説明すると理解が進みます。

場面 医療者が見るポイント 患者に言うコツ
治療設定の確認 APD回路選択のモード一致、設定値の意図しない変更 「今日は同じ設定か」だけは毎回確認
プライミング エア残存、ラインクランプの開閉、液漏れ 「空気はゼロが理想、迷ったら一時停止」
初期排液の条件 腹腔内エアが疑わしい時の条件設定 違和感が続くなら設定を戻さず連絡

意外に知られていない観点として、古い報告ですが「サイクラー使用で外気が注入され、除水低下に至った症例」が示され、テクニカルエラーの重要性が指摘されています。

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt1994/34/2/34_2_147/_pdf

症例レベルの情報は患者への不安材料にもなるため、医療者間の教育(新人看護師・多職種連携)に使い、「手技の徹底が“除水”という結果に直結する」という説明材料にすると有用です。

参考:サイクラーでのair混入と除水低下の症例報告(教育用の背景知識として有用)。

J-STAGE「APD装置よりairが腹腔内に注入され、除水が低下した腹膜透析の1例」

マイホームぴこ 取扱説明書の警報とキーロック

本体の「停止スイッチ」は警報ブザーの消音と治療の一時中断に使い、「停止ランプ」は警報時に点滅、停止時に点灯すると説明されています。

現場の困りごとは、患者さんが警報で慌てて“とにかく止める”→原因確認を飛ばす→再開後に同じ警報が繰り返される、という連鎖なので、停止=落ち着くための操作、という位置づけで指導すると再現性が上がります。

キーロック機能は、装置設定スイッチと開始・停止スイッチを組み合わせてロック/解除するとされ、夜間の誤操作や小児・同居家族の不用意な操作を減らす「家庭内リスク対策」として価値があります。

  • 運用ルール例:日中の清掃・準備は解除、就寝直前にロック、朝の片付けで解除。
  • 訪問看護の視点:家族が善意で触って設定が変わるケースは「家族教育+キーロック」で減ります。

マイホームぴこ 取扱説明書と患者アプリ・医療者WEBアプリ

取扱説明書には付属品として「患者向け腹膜透析管理アプリ(テルモPDマイケア)」と「医療従事者向け遠隔モニタリングアプリ(テルモPDマイケア for Hospital)」が記載され、治療情報や身体情報をクラウドのデータサーバへ保存・閲覧できる構成が説明されています。

患者アプリは、医療機関が利用申請し、アカウント登録と患者識別番号発行後に使用可能、端末へアプリをインストールして初回ログイン設定を行う流れとされています。

また、医療者WEBアプリについては、医療者識別番号でログインし、患者が入力した治療結果や装置動作履歴を閲覧できるほか、医療情報システムの安全管理ガイドラインへの準拠やセキュリティ対策の注意が書かれています。

ここに「現場で効く」意外な工夫として、患者教育を“操作の教科書”と“データの教科書”に分離し、前者は取扱説明書の手順(カセット・プライミング・クランプ)に集中、後者はアプリでのトレンド確認(体重・血圧・除水量)に集中させると、導入期の情報過多を避けやすいです。

参考)https://www.terumo.co.jp/newsrelease/detail/20240402/10271

テルモのニュースリリースでは、手書き記録をスマホ等からクラウドに記録し、トレンドをグラフ表示し家族共有もでき、専用通信モジュール併用で「マイホームぴこ」や体重計・血圧計などからBluetooth/NFCでデータ取り込みが容易になる旨が示されています。

参考:アプリの狙い(手書き→クラウド、グラフ化、家族共有、遠隔モニタリング)を短く把握できます。

テルモ「腹膜透析管理アプリケーション『テルモPDマイケア』をリリース」

マイホームぴこ 取扱説明書から作る感染対策チェックリスト(独自視点)

取扱説明書では、透析液と接続していない注液ライン/追加注液ラインのクランプを閉じること、液漏れがあれば直ちに中止することなどが、腹膜炎やエア混入のリスクとして明確に書かれています。

さらに「マイホームぴこセット(回路)」側の添付文書でも、接続部の清潔(キャップを外したコネクターを上に向けない、内側に触れない、不潔なら交換)など、いわゆる“手技の細部”が腹膜炎リスクとして列挙されており、ここをチェックリスト化すると指導の質が均一化します。

独自視点として、チェックリストを「患者の記憶」ではなく「環境と物品配置」に落とし込み、例えば“クランプ確認は声に出す”“キャップを外したら視線より上に上げない”“結束テープは装置内に入れない”など、行動に紐づけるとヒューマンエラー対策になります。

  • 清潔操作(回路):コネクターのキャップは外さない/外したら上向き禁止/内側に触れない。
  • 機械的トラブル予防:就寝中にチューブを体で踏む・挟むのを避ける(閉塞リスク)。
  • 装置保護:落下や衝撃後は外観異常がなくても使用しない(内部破損の可能性)。

参考:腹膜炎予防の基本(清潔操作・出口部ケアの重要性)が患者向けに整理されています。

大阪PD(UMIN)「PD合併症|患者さんへ」

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