フルボキサミン先発とデプロメールとルボックス
フルボキサミン先発のデプロメールとルボックスの違い
フルボキサミン先発を確認する最短ルートは、添付文書や承認資料に記載された市販名を直接見ることです。PMDA公開資料では、フルボキサミンの製剤として「ルボックス錠25/50」「デプロメール錠25/50」が市販名として明記されています。
現場で混乱が起きやすいのは「先発が1つ」と思い込むパターンで、実務上は“同一成分で先発ブランドが複数ある”前提で整理すると、疑義照会や患者説明がスムーズになります。添付文書の用法・用量は、成人でマレイン酸フルボキサミンとして1日50mg開始、最大1日150mg、1日2回分割が基本フレームです。
一方で、ブランド差ではなく「患者背景差」で注意点が変わる薬でもあります。肝障害ではAUC増大や半減期延長が示され、増量の速度・副作用観察をより慎重に組み立てる必要があります。
フルボキサミン先発の効能・効果と用法・用量
フルボキサミン先発(デプロメール等)の効能・効果は、うつ病・うつ状態、強迫性障害、社会不安障害です。適応を会話の冒頭で固定しておくと、「不眠には効くの?」「パニックには?」のような相談が来たときに、適応内・適応外の線引きを説明しやすくなります。
用法・用量は、初期50mg/日から開始し、最大150mg/日まで増量、2回分割投与が基本です。ここで重要なのは「増量したくなる局面」を先に想定することで、たとえばSADやOCDでは症状評価のタイミングが遅れがちになり、漫然増量→副作用離脱という流れを作りやすい点です。
また、投与中止時には頭痛、嘔気、めまい、不安感、不眠などが報告されているため、患者都合の自己中断が起きそうなケース(仕事が忙しい、通院が途切れやすい等)では、あらかじめ「やめる時は徐々に」の一言を入れておくと事故が減ります。
フルボキサミン先発の禁忌と相互作用とCYP
フルボキサミン先発で医療安全上のコアは相互作用で、添付文書には「CYP1A2、CYP3A4、CYP2D6、CYP2C19を阻害し、特にCYP1A2の阻害作用が強い」と明示されています。薬歴上の“飲み合わせ棚卸し”は、この1文を起点に設計すると漏れが減ります。
併用禁忌として、MAO阻害剤(塩酸セレギリン含む)、チオリダジン、ピモジド、塩酸チザニジンが挙げられ、切替時の休薬期間(例:MAO阻害薬中止後2週間以上など)も記載されています。相互作用は「併用したらダメ」だけでなく「切替の順番」まで事故要因になるため、処方変更が多い精神科領域では特に要注意です。
併用注意も幅が広く、テオフィリン等キサンチン系、ワルファリン、三環系抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系などが列挙され、血中濃度上昇や出血傾向の増強が示されています。特に「SSRIで血小板凝集が阻害され、NSAIDs等との併用で出血傾向が増強し得る」という記載は、精神科外来よりも、整形外科・内科の併診で見落とされやすい盲点です。
フルボキサミン先発の副作用と説明と眠気
フルボキサミン先発の副作用は、承認時データで嘔気・悪心、眠気、口渇、便秘などが主要項目としてまとめられています。患者が「効いているのに吐き気がつらい」と言う場面は多く、継続の可否が治療成績を左右します。
意外に知られていない実務ポイントとして、添付文書には嘔気・悪心が継続内に消失することがあり、対症としてドンペリドンやメトクロプラミドで症状が消失した例の報告も記載されています。もちろん全例に当てはまるわけではありませんが、「副作用=即中止」ではなく“経過で軽くなる可能性”をセットで伝えると、自己中断の予防に役立ちます。
眠気については、危険作業(自動車運転等)を避けるよう注意喚起が明確です。医療従事者向け記事では、「眠気=副作用」だけでなく、患者の職種(運転、機械、夜勤)を確認して服薬タイミングや増量速度を調整する“質問テンプレ”まで落とすと、現場で再現性が上がります。
フルボキサミン先発の切替と薬歴の落とし穴(独自視点)
フルボキサミン先発に関して、薬歴で起きやすい落とし穴は「相互作用の強さが“患者の生活”で増幅される」点です。添付文書では飲酒について「避けさせることが望ましい」とされ、相互作用自体は認められていないが他の抗うつ剤で作用増強の報告がある、と記載されています。ここを軽く扱うと、“週末だけ飲酒”の患者で眠気や判断力低下が増え、転倒や交通事故のリスク説明が抜け落ちます。
もう一つの現場的ポイントは、PTP誤飲の一般的注意が明確に書かれていることです。精神科領域では不安・焦燥、認知機能低下、高齢者併存があり得るため、「薬の説明は作用機序より、まず安全な飲み方」の優先順位が逆転する場面があります。
最後に、薬剤切替時の“空白期間”が患者不安を悪化させることがあります。添付文書にはMAO阻害薬との切替における間隔が具体的に示されているため、処方医と薬局の説明がズレないよう、薬歴には「切替ルールを説明した」事実と、患者の理解(復唱できたか)を短文で残すと監査にも強くなります。
PMDA(切替間隔の記載)
相互作用(禁忌・CYP阻害)の根拠:PMDA デプロメール錠 添付文書(相互作用・禁忌・CYP)

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