脊髄後根神経節どこ椎間孔位置

脊髄後根神経節どこ

脊髄後根神経節(DRG)の位置を最短でつかむ
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結論:椎間孔の「後根のふくらみ」

後根神経節は、前根と合流して脊髄神経になる直前の後根にある膨らみで、椎間孔の近傍(多くは椎間孔内)に位置します。

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臨床の罠:レベルで位置がズレる

頚椎・腰椎・仙骨でDRGの位置は一定ではなく、椎間孔内/脊柱管内寄り/椎間孔外寄りのバリエーションを前提に読むと判断が安定します。

なぜ重要:疼痛の一次ニューロンの細胞体

DRGは一次感覚ニューロン(偽単極性ニューロン)の細胞体が集まる部位で、神経障害性疼痛や根症状の病態理解・治療標的として頻出です。

脊髄後根神経節どこ 椎間孔 位置を解剖で説明

脊髄後根神経節(dorsal root ganglion:DRG)は、「後根(dorsal root)の途中にある膨らみ」で、前根と合流して脊髄神経になる直前に位置します。後根には合流直前に後根神経節(脊髄神経節)があり、そこに一次感覚ニューロンの細胞体が集まる、という記載が解剖学の基本です。これは“脊髄の中”というより、“脊髄から出入りするルート上(後根)”に乗っている構造だと捉えると迷いが減ります。

位置のイメージを臨床的に言い換えると、「椎間孔のあたりにある、感覚神経の細胞体の集合」です。脊髄神経は椎間孔を通って脊柱管外へ出るため、DRGも椎間孔近傍(多くは椎間孔内)に存在しやすい、と理解するのが実用的です。実際、DRGは“intervertebral foramina(椎間孔)にある”と整理されることが多く、教育資材でも椎間孔内に示されます。

ただし、ここで大事なのは「椎間孔=常に同じ一点」ではない点です。DRGは椎間孔内にあることが多い一方で、椎体レベル(特に腰椎下位や頚椎)で脊柱管内寄り/椎間孔外寄りのバリエーションがある、という報告・まとめもあります。つまり「DRGは椎間孔のど真ん中」と固定してしまうと、画像読影や手技の理解でズレが出ます。

医療従事者向けに、言葉の混乱ポイントも明確化しておきます。日本語では「後根神経節」「脊髄神経節」「脊髄後根神経節」が混在しがちですが、臨床文脈では同一構造(DRG)を指していることがほとんどです。名称よりも、「後根に乗る感覚ニューロン細胞体の集まり」という定義で押さえるのが安全です。

脊髄後根神経節どこ 後根 前根 脊髄神経のつながり

DRGを“どこ”と聞かれたとき、位置を一点で答えるより「前根・後根・脊髄神経の合流関係」で答える方が臨床では強いです。脊髄神経は、複数の後根と前根が合流して一本の束となり、椎間孔を通って脊柱管外に出ます。後根は感覚(求心性)、前根は運動(遠心性)を主に運び、合流後は混合神経として末梢に向かいます。

この合流の“直前”にDRGがあるのがポイントです。後根には前根との合流直前に後根神経節という膨らみがあり、その内部に一次感覚ニューロンの細胞体が集まると整理されます。ここを押さえると、例えば「神経根ブロック」「椎間孔狭窄」「根症状」といった話題が、解剖の線でつながります。

DRGニューロンの形態も、位置理解に直結します。一次感覚ニューロンは偽単極性ニューロンで、細胞体から出た突起がすぐT字型に二分し、一方が中枢枝として脊髄へ、もう一方が末梢枝として皮膚・筋・関節などへ向かいます。つまりDRGは「末梢と中枢の分岐点にある細胞体の集積所」なので、構造上“交通の要衝”になり、臨床症状や治療標的として目立ちます。

ここで、現場でありがちな誤解も書いておきます。DRGは「脊髄後角」や「後索」そのものではありません。あくまで脊髄の外(末梢側)に位置する細胞体の集まりで、脊髄後角や上行路に入るのはDRGから伸びる中枢枝です。解剖図で「脊髄のすぐ横にある丸いふくらみ」として描かれる理由はこの配置関係にあります。

脊髄後根神経節どこ 疼痛 神経障害性疼痛と関連

DRGが臨床で注目される最大の理由は、痛み・しびれ・アロデニアなど「感覚症状の一次ニューロンの細胞体」が集まる場所だからです。痛みの伝達は後根神経節、脊髄後角、視床を介して一次体性感覚野へ到達する、という説明は疼痛生理の基本線として広く共有されています。したがって、根症状や神経障害性疼痛の議論でDRGが頻出するのは自然です。

神経障害性疼痛の治療では、脊髄後角や後根侵入部(DREZ)を標的とする外科治療が議論されることがあります。たとえばDREZotomyの理論背景として、後根が脊髄に入る部位で痛覚線維が集中すること、そこから脊髄後角へ到達して痛覚に関与する神経細胞を狙うことが述べられています。これはDRGそのものを切除する話ではないものの、DRG→後根→後根侵入部→脊髄後角という解剖・生理の連続性が理解できていないと、適応や限界の説明が薄くなります。

一方で「DRGそのもの」が治療ターゲットとして扱われる領域も広がっています。慢性疼痛の介入としてDRG周囲への介入(ブロック、パルスRF、刺激療法など)が語られる背景には、DRGが一次感覚ニューロンの細胞体を含むという構造的必然があります。つまり「どこにあるか」は、単なる解剖クイズではなく、疼痛の責任部位の見立てと直結します。

さらに意外性のある補足として、DRGは“血液—脳関門(BBB)”の内側ではなく、血流由来分子の影響を受けやすい構造として語られます。DRGの毛細血管は窓形成(fenestrated)を持ち、BBBのような強いバリアがないため、血中分子がDRGの微小環境に入りやすい、というレビューがあります。薬剤反応や炎症性変化の「出やすさ」を考えるとき、この血管・バリア特性は、解剖の“場所”と同じくらい臨床的に効いてきます。

関連する論文(DRGの血管・バリアや位置分類の背景理解)。

Human Dorsal Root Ganglia(DRGの血管・fenestrated capillaries、位置バリエーションのレビュー)

脊髄後根神経節どこ 画像診断 MRIで迷うポイント

画像でDRGを探すときのコツは、「椎間孔の中で神経根が太く見える部分」「造影や脂肪抑制の条件で存在感が変わる構造」として認識することです。解剖学的にDRGは後根の膨らみなので、神経根の走行を追っていくと、前根・後根が合流するより手前で“ふくらみ”として捉えられる可能性があります。腰椎レベルでは特に椎間孔の評価が重要になるため、DRG位置の理解がそのまま症状説明に使われます。

注意点は、DRGの位置が椎間孔内に固定されないことです。腰椎のDRG位置を「脊柱管内(intraspinal)」「椎間孔内(intraforaminal)」「椎間孔外(extraforaminal)」のように分類して記述する枠組みがあり、頚椎や下位腰椎でバリエーションが出やすいことが示唆されています。位置のズレは、狭窄の責任部位(どこが当たって症状が出ているか)の説明にも影響します。

医療従事者向けの実務としては、次のチェックが有用です(入れ子にしない箇条書きで整理します)。

  • 症状がデルマトーム優位なら、椎間孔〜外側陥凹〜脊柱管内のどこで根が絞扼されているかを想定し、DRGがその絞扼点に近いかを考える。
  • 画像で「神経根のふくらみ」を見たら、前根ではなく後根(感覚側)に相当する可能性を意識する。
  • “椎間孔内=必ずDRG”と決め打ちせず、レベル差・個体差を許容して読む。

ここまでを踏まえると、「脊髄後根神経節どこ?」への現場向け回答は次の形が最も事故が少ないです。すなわち「後根の合流直前にある膨らみで、椎間孔付近(多くは椎間孔内)に位置するが、レベルにより脊柱管内寄り/椎間孔外寄りのバリエーションがある」と答えるのが安全です。

脊髄後根神経節どこ 医療従事者の説明とたとえ(独自視点)

検索上位の解剖説明は「椎間孔にある」「後根の膨らみ」と短く終わりがちですが、医療従事者が患者説明や院内教育で詰まりやすいのは“なぜそこが症状のホットスポットになるのか”です。独自視点として、DRGを「T字路の料金所」として教えると理解が揃いやすいです。末梢から来た信号(痛み・温度・触覚など)は、DRGの細胞体を持つ一次感覚ニューロンの“幹線”を通り、T字で中枢枝と末梢枝に分かれる設計なので、ここが過敏化すると「少しの入力が大きな出力に見える」状態になりやすい、というストーリーが作れます(もちろん比喩は比喩として扱います)。

また、DRGが脊髄実質の中ではなく“外”にあることは、神経診察や検査の説明にも効きます。感覚神経活動電位(SNAP)に関する教育資料では、後根神経節より近位か遠位かで所見が変わる、という話が出てきます。細かい検査設計は施設差があるものの、少なくとも「DRGが分水嶺である」という構造理解があると、末梢障害と根障害の概念整理がしやすくなります。

最後に、“場所の答え”を現場で使える一文に圧縮しておきます。

  • 脊髄後根神経節は、後根の途中で前根と合流する直前にある膨らみで、椎間孔付近(多くは椎間孔内)に位置し、一次感覚ニューロン(偽単極性ニューロン)の細胞体が集まる部位です。

参考:解剖(後根神経節が合流直前にあり偽単極性ニューロンの細胞体が集まる点)

脳科学辞典:脊髄神経(後根神経節の記載)

参考:疼痛(神経障害性疼痛と脊髄後角・後根侵入部の外科治療背景)

東京女子医科大学:神経障害性疼痛の外科治療(DREZotomyの説明)