局方品とは変更
局方品とは変更の定義と日本薬局方
局方品とは、一般に「日本薬局方(JP)」に収載された医薬品(成分や製剤)で、局方に定められた規格・試験等に適合することを前提に取り扱われるものを指します。日本薬局方そのものは、医薬品の性状・品質の適正を図るために厚生労働大臣が定める「医薬品の規格基準書」で、通則、生薬総則、製剤総則、一般試験法、医薬品各条などから構成されます。
厚生労働省「日本薬局方」にも、法令(医薬品医療機器等法41条)に基づく位置づけと構成が明記されています。
医療現場での「局方品」は、添付文書や薬価基準収載の区分とセットで理解する必要があります。つまり、局方に収載されている=すべて同じように「変更できる」ではなく、処方せんの書き方(一般名か銘柄名か)や、その医薬品が制度上どの区分で扱われているか(先発・後発の区別の有無)で、判断が変わります。特に古い成分・基礎的な外用などは「局方品」と呼ばれることが多い一方、後発医薬品の概念と直結しないケースがある点が、混乱の起点です。
参考)後発医薬品への変更調剤(区分なし・準先発品)【ファーマシスタ…
局方品とは変更で疑義照会が必要なケース
局方品の変更で現場が最も迷うのは、「局方品だから後発扱いで自由に変えられる」という誤解です。実務的には、先発・後発の区別がない局方品(薬価基準の区分が空欄/区分なしとして扱われることがある)では、後発品への変更調剤ルールがそのまま適用できず、疑義照会が必要となる、という整理がよく採られます。実際、変更調剤ルールの解説資料でも「先発・後発の区別がない局方品への変更は疑義照会が必要」という趣旨が示されています。
ここで重要なのは、疑義照会が必要になる理由が「局方品だから」ではなく、制度上「先発→後発」等の枠組みに当てはめられない(=同等性の扱いが制度的に整理されていない)から、という点です。例えば、同じ局方名でもブランド(銘柄)ごとに添加物や使用感が異なり得て、患者影響(塗布感、刺激感、賦形剤アレルギーなど)につながることがあります。したがって、患者同意や在庫都合の説明だけでは足りず、処方医の意図確認が必要になる場面が現実に起こります。
参考)局方品は銘柄変更(変更調剤)不可!?〜後発医薬品の存在しない…
- 「局方品=全部変更OK」ではない(区分と処方記載で変わる)。
- 「先発・後発の区別がない局方品」は、変更調剤の一般ルールに乗りにくい。
- 疑義照会の要否は、局方収載の有無だけで決めない。
局方品とは変更で一般名処方と変更調剤
局方品の話題は、一般名処方と絡むとさらに複雑になります。解説記事では「局方品は、一般名記載の場合のみ可能」といった形で整理されることがありますが、実際には「処方せんの記載」「区分」「ルール(疑義照会・患者同意・情報提供)」の三点を同時に満たすかで判断が分かれます。少なくとも、局方品の銘柄名処方をそのまま別銘柄に置き換えることは、安易に行うべきではない、とする実務解説が見られます。
また、局方品は古くからある医薬品が多い一方で、「特許が切れて後から承認された製品でも、後発品ではなく局方品扱い(区分なし)になる」ような説明もあり、単純に“後から出た=後発”と決めつけられない点が実務上の落とし穴です。これにより、在庫・採用品目の都合で「後発へ変更」のつもりで動いたのに、制度上は局方品扱いで、疑義照会が必要だった、という齟齬が起こり得ます。
表にすると、現場の判断軸は次のようになります。
| 観点 | 確認ポイント | 現場で起こりがちな誤解 |
|---|---|---|
| 処方せん記載 | 一般名か銘柄名か | 一般名なら何でも同等に置換できる |
| 区分 | 先発・後発の区別があるか/ないか | 局方品=後発品の一種 |
| 手続き | 疑義照会・患者同意・説明 | 患者同意だけで足りる |
※上の「区分なし局方品は疑義照会が必要になり得る」という方向性は、変更調剤ルール解説資料でも示されています。
局方品とは変更と一変と軽微変更
「局方品とは変更」で検索してたどり着く記事は、調剤(保険・処方せん)上の変更を中心に述べるものが多い一方、製造販売業者側の“薬事上の変更”も同じ「変更」という言葉で語られるため、医療従事者でも混線しがちです。日本の薬事手続きでは、承認事項の変更には「一部変更承認申請(一変)」や「軽微変更届出」といった枠組みがあり、局方改正(規格・試験法の改正や新規収載等)に伴って対応が求められることがあります。第十八改正日本薬局方の制定に伴う通知では、「規格を日本薬局方に改めるのみ」など、一定条件では一変や軽微変更を“直ちに”要しない扱いが明記されています。
この通知は、医療現場の「変更調剤」とは別世界の話ですが、供給側の変更が現場に影響することがあります。例えば、局方改正で試験法・規格の考え方が変われば、メーカーは承認書上の「規格及び試験方法」や「成分及び分量又は本質」等の対応を迫られ、結果として製品の表示や添付文書、出荷切替のタイミングが変わることがあり得ます。PMDA関連のQ&Aでは、一変承認後は原則として変更前製品の出荷は認められず、例外的に「製品切替え時期設定一変」の考え方が示され、さらに局方等の改正があってもその期間中に別の一変・軽微変更を原則行えない旨が整理されています。
- 調剤の「変更」:処方せん・保険ルール・疑義照会が中心。
- 薬事の「変更」:承認書(規格/製法等)・一変/軽微変更が中心。
- 局方改正の影響:製品の切替や供給計画に波及し、現場の採用・在庫にも影響し得る。
局方品とは変更の独自視点:標準品と試験法が現場に与える違和感
検索上位では「疑義照会の要否」や「変更調剤の可否」が中心になりがちですが、実は“局方の標準化”が進むほど、現場の肌感覚とズレるケースがあります。理由は、局方が担保するのは基本的に「規格・試験で評価できる品質」であり、使用感(外用ののび、基剤の好み)、匂い、患者の納得感など、臨床の受容性すべてを規格化するわけではないからです。だからこそ、局方名が同じでも、患者にとっては「同じ薬」ではなく「別物」に感じられることがあり、変更調剤の説明が難しくなります。
このギャップを埋める実務のコツは、「局方=最低限の品質基準」と「患者体験=臨床的な同一性」を分けて説明することです。特に皮膚科外用、含嗽、坐薬、点眼など“使い心地”がアドヒアランスに直結する剤形では、局方名が同じでも、患者の反応を観察し、必要なら処方医へフィードバックして採用品目を調整する方が安全です。局方品の変更で揉める多くの場面は、制度解釈だけでなく、この「体験価値の差」を見落としたときに起きます。
参考:日本薬局方の位置づけ(法令根拠・構成・改正の情報)
参考:第十八改正日本薬局方の制定に伴う承認申請等の取扱い(局方改正時の一変・軽微変更の考え方)
参考:一変承認後の製品切替え時期設定(出荷切替の扱い、局方改正があっても期間中に原則一変・軽微変更できない等)
https://www.pmda.go.jp/files/000209188.pdf

【第3類医薬品】日本薬局方 希ヨードチンキ 50mL ×10