アレルギーと1型2型3型4型覚え方
アレルギーの1型の覚え方:即時型とIgEとアナフィラキシー
アレルギー1型(即時型、アナフィラキシー型)は、IgEが肥満細胞(マスト細胞)などに結合して感作され、再曝露で脱顆粒が起きて症状が出る機序が基本です。
現場の“覚え方”は、まず「I=Immediate(即時)」で時間を結び付け、次に「IgE」をセットで固定するとブレません。
代表的な臨床像は、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、食物アレルギー、薬物によるIgE介在性アナフィラキシーなどが典型です。
検査・評価の実務では、特異的IgE(血液検査)や皮膚プリックテストは“原因抗原の同定”に寄与しますが、重症度や誘発リスクの推定は問診(誘因、再現性、同時摂取、運動、NSAIDs併用など)と合わせて判断します。
参考)アレルギー疾患およびアトピー性疾患の概要 – 12. 免疫学…
意外に落とし穴になるのは、症状が「即時=I型」と短絡される点で、例えば食物依存性運動誘発アナフィラキシーのように条件が揃って初めて出るケースがあり、単回の検査値だけで断定しない姿勢が重要です。
また、アトピー性皮膚炎はI型のみで説明できず、病態が複合的になり得る点が、分類を“暗記”で終わらせないポイントです(混合型の例として扱われます)。
- 覚え方の芯:I=Immediate(即時)+IgE+肥満細胞脱顆粒
- 頻出ワード:アナフィラキシー、蕁麻疹、鼻炎、食物、薬物
- ひっかけ回避:検査陽性=発症確定ではない(臨床再現性が鍵)
アレルギーの2型の覚え方:細胞障害とIgG/IgMと輸血
アレルギー2型(抗体依存性・細胞障害型)は、IgG/IgMが“細胞表面や基底膜などの構造”に結合し、補体活性化や貪食、ADCCなどを介して障害を起こす枠組みで理解すると整理できます。
覚え方は「II=“標的が細胞(Cell)”」と決めて、可溶性抗原(III型)と対比させるのが実用的です。
代表例として、血液型不適合輸血やGoodpasture症候群などが教科書的で、国内のまとめ資料でもII型の例として挙げられます。
さらに臨床で重要なのは、2型が「壊す」だけでなく「刺激する/ブロックする」方向にも働きうる点で、Graves病(刺激)や重症筋無力症(遮断)は“抗体が受容体機能に作用する”という臨床推論が効きます。
参考)Hypersensitivity – Wikipedia
この“例外に見える部分”は、分類のアップデートとしてIIa/IIbに分ける考え方もレビューで述べられており、国家試験や院内勉強会の深掘りネタにもなります。
したがって、覚え方としては「II=細胞(膜)に抗体が付く→補体/ADCC→障害、ただし受容体なら刺激/遮断もあり」と一文で言えると強いです。
- 覚え方の芯:II=細胞表面・基底膜+IgG/IgM+補体/ADCC
- 代表例:不適合輸血、Goodpasture
- 意外な重要点:受容体抗体で“刺激/遮断”が起こる(IIbの発想)
アレルギーの3型の覚え方:免疫複合体とアルサスと血清病
アレルギー3型(免疫複合体型、アルサス型)は、可溶性抗原と抗体(主にIgG/IgM)が作る免疫複合体が組織に沈着し、補体活性化と好中球主体の炎症で血管炎などの障害を生む、という流れで押さえます。
覚え方は「III=Immune complex(複合体)+沈着(deposit)」のイメージで、2型(細胞表面)と“抗原の場所”で区別すると記憶が安定します。
典型例としてアルサス反応、血清病、糸球体腎炎、SLEなどが挙げられ、資料にもIII型の例として整理されています。
ここでの“意外な盲点”は、III型の病理が「免疫複合体の沈着」という“結果”で定義されるため、原因抗原は感染症、薬物、自己抗原など多岐にわたり、臨床はかなり多彩になる点です。
たとえば関節痛、発熱、皮疹、蛋白尿などが組み合わさるとき、III型の可能性を頭の片隅に置いて補体価や尿所見、必要なら腎病理を考える、という臨床の動線に直結します。
覚え方を実戦化するなら「III=“沈着して詰まる・燃える”→血管/腎/関節に症状が散る」と“臓器分布”まで結びつけるのがコツです。
- 覚え方の芯:III=免疫複合体(可溶性抗原)+沈着+補体+好中球炎症
- 代表例:アルサス反応、血清病、糸球体腎炎、SLE
- 臨床の勘所:全身症状+腎/血管/関節の組み合わせで疑う
アレルギーの4型の覚え方:遅延型とT細胞とツベルクリン
アレルギー4型(遅延型、細胞性免疫型、ツベルクリン型)は、抗体ではなくT細胞が中心で、再刺激でサイトカインなどを介して炎症細胞が集まり、通常48〜72時間でピークを取りやすい枠組みです。
覚え方は「IV=遅い(Delayed)」を起点に、「パッチテスト」「接触性皮膚炎」「ツベルクリン反応」を“遅れて出る代表”として束ねると、記憶が崩れません。
国内資料でも、ツベルクリン反応、接触性皮膚炎、移植片拒絶などがIV型の例として並び、臨床像のイメージ作りに使えます。
さらに深掘りとして、IV型は1種類ではなく、Th1/Th2/CTL/好中球優位などに応じてIVa〜IVdのサブタイプに整理するレビューがあり、薬疹(SJS/TEN)などの理解が一段クリアになります。
この“サブタイプ”を知っていると、同じ「遅延型」でも、好酸球が目立つのか、表皮壊死が主体なのか、膿疱性なのか、と病態の違いを言語化でき、院内カンファレンスで説得力が出ます。
覚え方の実務版は「IV=T細胞、遅延、皮膚(接触)・検査(ツ反)・移植」の3点セットで固定し、余力があればIVa〜dを“臨床像の引き出し”として追加する形が安全です。
アレルギーの1型2型3型4型覚え方:混合型と“現場の見分け”独自視点
Gell & Coombsの分類は強力ですが、実臨床では「1つの疾患=1つの型」と割り切れず、複数型が同時に関与しうる点がレビューでも明記されています。
この前提を覚え方に組み込むと、“国試の暗記”から“現場の推論”に変わり、特に皮膚症状や薬物アレルギーで迷いにくくなります(資料でも薬物アレルギーは複数型に登場します)。
独自視点としておすすめのフレームは、型を当てる順番を「①時間 ②抗原の場所(可溶性か細胞表面か)③主役(IgE/IgG/IgM/T)④補体・沈着・細胞傷害の痕跡」に固定する“診断思考のテンプレ化”です。
たとえば「すぐ出た蕁麻疹」でも、I型が典型とはいえ、薬剤や感染、自己免疫など背景が混ざり得るため、時間軸→再現性→合併所見(喘鳴、血圧低下、粘膜症状)まで確認して安全側に倒す、という運用が重要です。
また、II型とIII型で迷うときは「標的が“細胞表面”ならII、標的が“可溶性抗原で沈着”ならIII」という原理に戻り、腎・血管炎・補体などの情報で詰めると整理できます。
最後に、IV型を疑う場面では「患者の訴えの強さ」より「遅れて増悪する経過(翌日〜数日)」に注目すると、接触皮膚炎や薬疹の見落としが減ります。
- 混合型の前提:1疾患に複数型が関与しうる
- 迷ったら:時間→抗原の場所→主役(抗体/T)→痕跡(補体・沈着・病理)
- 現場の安全策:I型疑いはアナフィラキシー鑑別を優先し、IV型疑いは経過(遅延)を重視
IV型(遅延型)の基礎分類と代表例(ツベルクリン反応・接触性皮膚炎など)の整理に有用:https://www.akita-u.ac.jp/hkc/healthinfo/pdf/allergy/gell_coombs.pdf
I〜IV型の機序(IgE、IgG/IgM、免疫複合体、T細胞)とサブタイプ(IIa/IIb、IVa〜IVd)の深掘りに有用(レビュー):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22794701/

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