一包化加算 条件 日数違い
一包化加算 条件の要点:対象患者と医師の了解
一包化加算は現在、制度上は「外来服薬支援料2(旧一包化加算)」として整理され、評価の中心は“ただ分包した”ではなく“服薬管理支援として一包化+必要な指導+継続的フォロー”にあります。
算定に当たって重要なのは、薬局側が必要性を判断し、当該薬剤を処方した保険医の「治療上の必要性」および「服薬管理に係る支援の必要性」について了解を得ることです。
つまり「患者さんが希望したから」「機械が空いていたから」という説明だけでは弱く、医師との合意形成(電話・トレーシングレポート等を含む)を“記録として残す”運用が安全です。
算定対象になりやすい患者像(現場の実感として想定しやすい例)を挙げると次の通りです。
- 多剤併用で飲み忘れ・飲み間違いが起きやすい(服用時点が多い、処方変更が多い等)。
- PTPから取り出す動作が困難(手指巧緻性低下、視力低下、認知機能低下など)。
- 服薬カレンダー等の併用が必要(支援の一貫として一包化を位置付ける)。
監査視点では「なぜその患者に、なぜ今回必要だったか」が見られます。
薬歴には、(1)背景(飲み忘れ等の事実やリスク)(2)医師の了解の取得(3)一包化した範囲と工夫(4)交付時の指導内容(5)次回フォローの観点、の5点を文章で残すと説明力が上がります。
一包化加算 条件:2剤以上と服用時点の重複
算定要件の中核は「2剤以上の内服薬」または「1剤で3種類以上の内服薬」を、服用時点ごとに一包化する点です。
ここで勘違いが起きやすいのが「2剤以上なら何でもOK」ではなく、“服用時点が重複していること”を前提に一包化の意味が成立する、という実務上の解釈です(例:朝食後と朝夕食後のように同一時点を共有するなど)。
さらに「一包化とは何か」の定義は明文化されており、錠剤等は直接の被包(PTP等)から取り出して行うことが記載されています。
このため、輪ゴムで束ねただけ、ホチキス止めだけ、といった行為は“一包化そのもの”とは評価されにくく、算定根拠として弱くなります(現場では患者利便のために行う場合があっても、算定は別問題として切り分けが必要です)。
また、服用時点が重ならない処方が混じるケースでは、どこまでが外来服薬支援料2(旧一包化加算)の範囲かを意識する必要があります。
制度上、「処方箋受付1回につき1回算定」という縛りがあり、対象となる範囲を広げすぎると他加算との関係や説明が難しくなります。
参考:一包化(外来服薬支援料2)の定義・算定の考え方(公式Q&Aを含む)
一包化加算 日数違い:42日以下と43日以上の計算
日数の考え方はシンプルに見えて、現場では「一包化した日数」と「処方の投与日数」がズレることでミスが起こります。
外来服薬支援料2(旧一包化加算)は、投与日数が42日分以下の場合「7日またはその端数を増すごとに34点」、43日分以上は投与日数にかかわらず一律240点です。
日数計算のイメージ(42日以下の代表例)です。
- 1~7日:34点
- 8~14日:68点
- 15~21日:102点
- 22~28日:136点
- 29~35日:170点
- 36~42日:204点
- 43日以上:240点(以後は日数に依存しない)
「端数を増すごとに」の意味は、例えば9日なら“8~14日枠”として68点になる、という切り上げです。
ここでの落とし穴は、処方が28日でも、実際に一包化したのが14日分だけ(患者の服用状況や処方変更見込みで一部のみ実施等)というケースで、算定すべき日数が“28日”ではなく“一包化した日数”側で評価される点です。
もう一つ重要なのが、分割調剤をした後に2回目以降で一包化する場合の扱いで、「1回目から通算した日数に対応する点数」から「前回まで請求した点数」を差し引く、という差額計算が明示されています。
分割調剤が絡むとレセコン入力は薬局ごとの仕様差が出やすいため、運用ルール(誰が、どのタイミングで、通算日数を確認するか)を決めておくとヒューマンエラーを減らせます。
一包化加算 日数違い:処方内で日数が異なるときの判断
同一処方箋内で、A剤は28日、B剤は14日、C剤は7日といった「日数違い」は珍しくありません。
このとき実務でまず確認したいのは、「一包化の要件を満たす“組み合わせ”がどれか」「実際に一包化した日数はどれか」です。
ポイントは“どれか1剤でも長い日数があれば、その日数で必ず算定できる”という単純化ではなく、要件を満たす範囲・一包化した範囲を言語化できるかです。
例えば、服用時点が重複する2剤以上の内服薬を一包化したが、そのうち一部の薬剤は日数が短く途中で終了する、という場合には、どこまでを一包化して交付したのかが算定の根拠になります。
現場での「返戻を減らす」ためのチェック項目は次の通りです。
- 一包化の対象薬剤(どのRpか)を薬歴に明記する。
- 一包化した期間(例:14日分、28日分)を明記する。
- 日数が揃わない場合の運用(短期薬を別包にした理由、識別性の工夫)を記録する。
- 医師の了解の取り方(いつ、誰が、どんな内容で)を残す。
参考:算定要件・点数・分割調剤時の差額計算・併算定不可の整理(実務で参照しやすい)
一包化加算 条件:独自視点のリスク管理(湿気・安定性・事故予防)
検索上位では「点数」や「要件」中心になりがちですが、医療安全の観点では“一包化したことで新しいリスクが増える”点を先に押さえると、薬剤師・薬局としての説明が強くなります。
外来服薬支援料2(旧一包化加算)は「識別を容易にする」「飲み忘れ・飲み誤りを防ぐ」目的が明記されているため、薬局内では「患者ごとのリスクとベネフィット」を評価して一包化の範囲を決めるのが本筋です。
意外と見落とされやすいのが、以下のような“品質・運用”の事故ポイントです(単に文字数を増やす話ではなく、監査・クレーム・医療事故を避ける現実的な論点です)。
- 湿気・光で劣化しやすい薬が混在すると、患者の保管状況によって品質変化のリスクが上がる(保管指導が必須)。
- 一包の中身が増えるほど識別性は下がるため、印字・色分け・服用時点の表示など“識別を容易にする工夫”が重要になる。
- 処方変更が多い患者では、長期間まとめて一包化すると廃棄・残薬が増え、結果として服薬管理が難しくなることがある(7日~14日単位で段階的に導入するなど)。
- 「患者が開封できない」問題に対しては一包化が有効な一方、開封後の飲み忘れ(袋を開けて置きっぱなし等)という別の事故パターンもあるため、生活導線に合わせた指導が必要。
こうした視点を薬歴に反映するコツは、「患者の困りごと(事実)→リスク評価→一包化という介入→介入後に確認する指標」をセットで書くことです。
例として、次回来局時に「残薬」「服用タイミングのズレ」「一包の未開封数」などを確認項目に入れると、外来服薬支援料2が“単なる分包作業の評価ではない”ことを示しやすくなります。
必要に応じて、服薬アドヒアランス支援や多剤併用に関する研究動向も参照すると、院内(医師)への説明が通りやすい場面があります。
例えば、医療者向けの総説やポリファーマシー対策資料に触れた上で、当該患者の状況に合わせて「一包化+支援」を提案すると、疑義照会が“単なる確認”から“共同意思決定”に近づきます。
(有用情報:制度の条文・留意事項ベースで、医師の了解・記録・分割調剤・併算定不可までまとまっている)
外来服薬支援料2(旧一包化加算)留意事項まとめ

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