手指消毒剤 アルボナース
手指消毒剤 アルボナース 成分 ベンザルコニウム塩化物
医療従事者が「手指消毒剤 アルボナース」を評価する最初の軸は、何が“有効成分”で、何が“使用感や運用性を支える添加物”かを分けて理解することです。
アルボースの製品情報では、アルボナースはベンザルコニウム塩化物を有効成分とする手指消毒剤として示されています。
一方、実務上は「アルコール(エタノール)濃度の感覚」が評価を左右します。流通情報として、アルボナースはベンザルコニウム塩化物0.05w/v%に加えて、エタノール59%等を含むという仕様が示されています(販売店の仕様欄に記載されることが多い)。

この“エタノール含有”は、消毒効果の幅や速乾性、使い心地、そして消防法・保管運用の判断にも波及するため、院内で採用品目を整理する際は「有効成分だけで分類しない」ほうが事故が減ります。
また、同じアルボナースでも派生品(例:危険物に該当しない設計をうたうタイプ)では、エタノールの扱いが異なる場合があります。たとえば「アルボナースBP」では、ベンザルコニウム塩化物0.05w/v%に加え、その他成分としてエタノール(65–67 v/v%)等が示され、消防法上の危険物に該当しない旨も記載されています。
同名・類似名で仕様差が生じると、委員会資料やSDS管理台帳、現場掲示(ポスター)の整合が崩れやすいので、購入規格(販売名、容量、剤型)まで固定して運用ルールに落とし込むのが安全です。
【あまり知られていない実務ポイント】
手指消毒剤は“消毒成分”よりも、“現場で実際に塗り切れる物性(乾くまでの時間・滑り・滴下しやすさ)”が遵守率と効果の再現性を左右しがちです。これは感染対策の現場監査で、実施回数は達成しているのにアウトカムが改善しない時に見落とされやすい盲点です。
手指消毒剤 アルボナース 使い方 速乾性
「手指消毒剤 アルボナース」は水洗い不要の速乾性手指消毒剤として案内されており、擦り込みで乾燥させ切ることが設計思想です。
しかし、速乾性製剤ほど“乾く前に次作業へ移る”ミスが増えます。乾燥前に手袋を装着したり、物品に触れると、十分な接触時間(実質的な擦り込み時間)が確保されないまま、手袋内の蒸れ・残留感・刺激感につながり、長期的には手荒れ→遵守率低下の悪循環を招きます。
医療現場の行動設計としては、「手指衛生の5つのタイミング」を基準に、いつ擦式を選ぶかを明確にしておくのが強力です。WHOの枠組みに基づく“5つのタイミング”は、患者接触の前後、清潔操作の前、体液曝露後、患者周辺環境接触後など、具体的な行動に紐づけて提示されています。
この枠組みを使うと、「アルボナースを置いたのに使われない」ではなく、「置き場所がタイミングと一致していない」「動線上でポンプが押しづらい」「携帯ボトルの補充が面倒」といった改善点を、観察で特定しやすくなります。
現場で指導する際の、塗り残しが多い部位チェック(教育で効きます)
- 指先(特に利き手の示指・中指)
- 母指(付け根〜腹)
- 手背(手掌だけで終える人が多い)
- 手首(処置内容によっては重要)
【意外な観点】
監査で「実施しているのに感染が減らない」ケースは、“製剤の問題”より“量と手技のばらつき”が原因のことが多いです。ポンプ1回量が小さい機種や、詰替後の粘度変化で吐出量が安定しないケースもあるため、「1回押し」「2回押し」ルールを現場ごとに決め、乾燥まで擦り込む観察をセットで実施すると再現性が上がります。
手指消毒剤 アルボナース 手荒れ 保湿
医療現場では、手荒れは単なるQOL問題ではなく、手指衛生の遵守率に直結する感染対策課題として扱うべきです。擦式アルコール手指消毒薬(ABHR)に関する研究では、手荒れ(皮膚炎)が手指衛生遵守を妨げる要因になり得ることや、損傷皮膚では病原微生物の定着が起こりやすいことが示唆されています(総説的背景として論文本文に記載)。
http://www.kankyokansen.org/journal/full/03804/038040173.pdf
さらに、同論文では3次元皮膚モデルを用いたin vitro評価として、エタノール単剤のABHRは皮膚刺激性が低かった一方、0.2 w/v%クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)含有製剤では細胞生存率が大きく低下し刺激性ありと判定された、という結果が示されています。
http://www.kankyokansen.org/journal/full/03804/038040173.pdf
この示唆は「CHGが悪い/良い」という単純比較ではなく、“皮膚状態が悪いスタッフに、何を選ぶと継続しやすいか”という運用上の判断材料になります。
アルボナースは保湿成分配合をうたっており、手荒れ配慮という訴求も見られます。
ただし、使用感(べたつかない、しみない)が皮膚刺激性の低さと一致しないことも研究内で指摘されており、「使いやすい=皮膚に優しい」と決めつけない姿勢が重要です。
http://www.kankyokansen.org/journal/full/03804/038040173.pdf
手荒れ対策を“個人の努力”で終わらせないための運用(感染管理・看護管理で効く)
- ハンドクリームの院内採用(成分・香り・塗布タイミングの統一)
- 休憩室・更衣室にも保湿剤を配置(手指衛生ポイント以外に置くのがコツ)
- 皮膚トラブル時の相談導線(産業医・皮膚科・感染対策チームの窓口)
- 手袋内が蒸れる部署では、手袋交換頻度とサイズ適正の再点検
【あまり知られていない“監査の工夫”】
手荒れを訴えるスタッフに「回数を減らす」提案をすると遵守率が崩れます。代わりに“製剤選択(刺激性の少ない系)+保湿の制度化+教育で塗り残し減”の3点セットで介入すると、実施回数を維持したままトラブルを下げやすいです。
手指消毒剤 アルボナース エタノール 消毒 混合
「手指消毒剤 アルボナース」は、ベンザルコニウム塩化物を有効成分としつつ、エタノールを溶剤として含む設計(流通仕様で59%等の記載がある)です。

ここで混同しやすいのが、「院内で薬剤を混ぜて“強くする”」という発想です。消毒薬の混合(併用)については、メーカーFAQでも目的や注意点が整理されており、たとえばエタノール+クロルヘキシジンの併用で即効性と持続性を期待する、といった説明があります。

ただし、これは「現場で勝手に混ぜる」ことを推奨する話ではありません。実務では、混合による濃度変化・安定性・皮膚刺激・材質影響・表示の不整合(薬機法・SDS・院内手順書のズレ)が問題になりやすいので、“最初から製剤として設計されたものを採用する”のが原則です。
また、手指消毒剤を環境清拭に流用する、逆に環境用を手指に使う、といった誤用も起きがちです。ラベル・色・保管場所の統一は、教育より強い安全対策になることがあります。
【臨床で役立つ意外な情報】
消毒効果の議論は「何%なら効くか」に偏りがちですが、実際には“汚れ(有機物)”“乾燥完了までの擦り込み”“必要量”の寄与が大きく、濃度だけ合わせても現場成績が改善しないことが多いです。さらに、消毒薬は“足し算”で強くなるとは限らず、混ぜ方次第で刺激やリスクだけ増えることもあります。
手指消毒剤 アルボナース 独自視点 手指衛生 設置 動線
検索上位の解説は「成分・効果・価格・容量」になりやすい一方で、医療現場の成果を左右するのは“設置と動線設計”です(ここが独自視点です)。
「手指消毒剤 アルボナース」をどれだけ優れた製剤として採用しても、WHOの“手指衛生5つのタイミング”に対して、ボトルが「その瞬間に手が届く場所」にないと遵守率は上がりません。
現場導入で効く設置ルール(部署ごとに最適化)
- 🛏️ベッドサイド:入室直後に見える位置(カーテン・柵で死角にならない)
- 🚪出入口:入退室の一時停止が起きる場所(ドアノブ直前より“少し手前”が押されやすい)
- 🧪検体・処置エリア:清潔操作の“直前”に手指衛生できる位置(物品に触れる前)
- 🧯補充動線:詰替・交換が1分で終わる収納(在庫が別室だと途端に欠品します)
運用を強くする小技(感染対策チームの監査に使える)
- 「空容器が出たら写真+時間」を簡易ログにし、欠品時間を可視化する
- 新人教育は“手技”より先に“タイミングと場所”を身体で覚えさせる
- 手荒れ申告が増えた部署は、製剤変更前に「乾燥前に手袋」「量不足」「高頻度の手洗い過多」を観察する(原因の切り分けが早い)
有用な参考(手指衛生のタイミングを現場教育に落とし込める)
有用な参考(擦式アルコール手指消毒薬の皮膚刺激性を、3次元皮膚モデルで比較した研究の本文)
http://www.kankyokansen.org/journal/full/03804/038040173.pdf

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