国立成育医療研究センター薬一覧と授乳中に安全に使用できると考えられる薬

国立成育医療研究センター薬一覧

国立成育医療研究センター 薬 一覧の見取り図
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「医薬品リスト」と「授乳と薬」は別物

院内採用の薬品名リスト(運用・在庫の実務)と、授乳中の安全性評価リスト(リスク評価)は目的が違います。用途を混同すると誤解が起きやすいです。

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まず見るべき列・注意記号

薬品名/成分名/採用区分、さらに麻薬・向精神薬・ハイリスク薬などの区分が判断の出発点になります。

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臨床判断は「相談窓口+根拠」

授乳中など特殊状況では、一覧の丸暗記より「根拠の出所」と「相談導線」を押さえる方が安全です。

国立成育医療研究センター薬一覧の医薬品リスト内服薬の見方

医療従事者が「国立成育医療研究センター 薬 一覧」を探すとき、実務で最も出番が多いのは院内の採用医薬品をまとめた「医薬品リスト」で、少なくとも内服薬についてはPDFとして公開されています。

このリストは「薬品名」「成分名」「採用区分」等が並び、院内外で扱うか(院内外/院外のみ等)といった運用の違いが読み取れる構造になっています。

また、麻薬向精神薬ハイリスク薬などの注意区分が列として付与されており、鑑査・保管・払出・説明の強度を上げるトリガーとして使えます。

現場でありがちな誤解は、「医薬品リスト=推奨薬一覧」と受け取ってしまうことです。

参考)https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/medicine/iyakuhin_naifuku.pdf

実際には、医薬品リストは“採用されている事実”と“運用上の属性”を示すのが主目的で、妊娠・授乳・腎機能など患者背景を加味した安全性判断は別資料に委ねる設計です。

したがって、この記事では「院内採用の一覧(運用)」と「授乳中の薬の一覧(安全性評価)」を分けて、どこまでを一覧で判断し、どこからを追加評価に回すかを整理します。

参考)授乳中の薬の使用について

国立成育医療研究センター薬一覧と授乳中に安全に使用できると考えられる薬の違い

国立成育医療研究センターには、授乳と薬に関する情報として「授乳中に安全に使用できると考えられる薬(50音順)」の一覧表が公開されており、こちらは“授乳期の安全性評価”に主眼があります。

この表は国内外の最新の医学的研究に基づいて作成され、さらに妊娠と薬情報センターに寄せられた相談が多い薬剤を中心に、研究情報をもとに評価して掲載する、という作りになっています。

一方で、抗悪性腫瘍薬は情報が非常に限られる等の理由で表に載せない、精神科系薬も条件(併用・個人差など)で評価が難しいため表に載せない、という掲載方針が明記されています。

ここが重要なポイントで、授乳中の一覧に「載っていない」ことは、ただちに「危険」を意味しません。

参考)授乳中に安全に使用できると考えられる薬 – 50音順 –

研究がないため未掲載でも、同効薬の情報などから授乳中も使用できる可能性がある、とセンター自身が説明しています。

また、自己判断で中止・継続を決めず、必ず医師と相談して決めることが大切だと注意喚起しているため、医療従事者側は「一覧は最終結論ではなく、説明の共通言語」として扱うのが現実的です。

意外と知られていない実務上のポイントは、「院内採用の有無」と「授乳中の安全性」は独立していることです。

たとえば院内で普通に採用されている薬でも、授乳中の評価は別途確認が必要ですし、逆に授乳中に比較的安全とされる薬でも院内採用とは限りません。

だからこそ、検索ワード「国立成育医療研究センター 薬 一覧」に対しては、“どの一覧を探しているのか”を最初に分岐させる記事設計が役立ちます。

国立成育医療研究センター薬一覧の院内製剤と調剤内規の要点

小児領域では、用量調整や剤形の都合から、粉砕・脱カプセル・希釈散などの工夫が避けられない場面が多く、院内のルール(調剤内規)や院内製剤の扱いが安全性に直結します。

国立成育医療研究センターの「調剤内規」には、院内製剤品目や粉砕調剤の扱い、遮光など“製剤的理由”に基づく運用の記載が含まれています。

たとえば院内製剤品目として「ビオチン散」「プログラフ散」などが文中に見られ、また粉砕調剤の対象となる薬剤名が列挙されており、処方・調剤・鑑査時の“暗黙の前提”が明文化されています。

この手の文書が効いてくるのは、外来処方せんの疑義照会よりも、入院・救急・ICU等でスピードが必要な局面です。

参考)https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/medicine/chozai-naiki.pdf

「どの薬が粉砕可か/どの薬が遮光か/どの薬が院内製剤か」を、病棟が口頭で頼りにし始めると、担当者交代で品質がぶれやすくなるため、文書に基づいた共通理解が重要になります。

さらに、調剤内規は“施設の裁量で決める領域”が多い分、他院の常識をそのまま持ち込むと事故の温床になりやすいので、転院受け入れ時の薬剤確認にも効きます。

なお、院内製剤は「なぜその院内製剤が必要なのか(小児用量・剤形・投与経路)」が背景にあることが多く、単なる一覧よりも“品質の裏付け”が重要です。

参考)小児用院内製剤の安定性試験結果について

成育医療研究センター薬剤部は、繁用される院内製剤の安定性試験を進め、公表している旨を明示しており、院内製剤を「作って終わり」にしない姿勢が読み取れます。

臨床側としては、院内製剤を使うと決めた瞬間に「安定性・保存条件・調製条件(粉砕や混合条件)」をセットで確認する、という運用が安全です。

参考:院内製剤の品質確保(調製・使用の基本的考え方)

日本病院薬剤師会「院内製剤の調製及び使用に関する指針」

参考)https://www.jshp.or.jp/activity/guideline/20230206-2.pdf

国立成育医療研究センター薬一覧の妊娠と薬情報センターの相談実績と使い方

授乳中の薬の一覧表は、妊娠と薬情報センターに多く相談が寄せられた薬剤を中心に、研究情報をもとに評価して掲載している、という点が臨床的に重要です。

つまり、一覧は単なる文献レビューではなく「現場で相談が集まりやすい薬」に寄せた実務的な優先順位を持っており、問い合わせの導線設計まで含めて“医療提供体制の一部”として機能します。

また、センターは「医学は日々進歩しており、研究で情報が変わることがあるため改訂していく予定」と明記しており、固定的な暗記より“最新版参照”が前提の資料です。

授乳中の薬の相談で、医療従事者が患者説明に使いやすいのは、次のような手順です。


・① 患者の薬剤を成分名で確定する(商品名だけだと同名類似が起きやすい)​
・② 一覧に載る/載らないを確認し、「載らない=危険ではない」ことを前置きする​
・③ 表の注意点(大量注射で注意が必要な薬がある、抗悪性腫瘍薬は評価が難しく未掲載等)を踏まえて個別判断に切り替える​

ここでの“意外な落とし穴”は、患者側がネット検索で「安全に使用できると考えられる薬=絶対安全」と受け止めてしまうことです。

センターは「注射で大量に使用する場合は注意が必要な薬もある」と書いているため、用量・投与経路・投与期間で評価が変わる可能性を、医療者が言語化して補う必要があります。

また、精神科系薬は一覧に載らない方針ですが、一部は母乳中濃度を測定した研究が多く、授乳中でも使用できる可能性に触れているため、画一的な禁忌扱いではなく“個別に根拠を探す”姿勢が示されています。

参考:授乳中の薬の安全性評価の注意点(一覧の前提・未掲載の扱い・自己判断の回避)

国立成育医療研究センター「授乳中に安全に使用できると考えられる薬 – 50音順 -」

参考:授乳中の薬の使用に関する総合案内(一覧への導線)

国立成育医療研究センター「授乳中の薬の使用について」

国立成育医療研究センター薬一覧で独自視点のハイリスク薬と院内外のギャップ対策

検索上位の解説は「どの薬が安全か」に寄りがちですが、現場で事故を減らす独自視点としては、「院内外(採用区分)とハイリスク薬の交差点」を点検するのが効きます。

医薬品リストには、院内外・院外のみ等の区分に加えて、ハイリスク薬等の区分が付くため、“院外で継続されやすいハイリスク薬”が見えやすい構造になっています。

この交差点は、退院時・転院時・外来フォロー時にヒヤリハットが出やすく、特に小児では剤形変更(粉砕・懸濁・希釈)も絡むため、一覧の読み方がそのままリスク管理になります。

たとえば、院外のみの薬が多い領域では、家族が薬局で受け取る情報量が施設間でぶれやすく、服薬指導の均一化が難しくなります。

この場合、院内側は「成分名」「用量」「投与間隔」「粉砕・懸濁の可否」「遮光・冷所など保管条件」までを、退院サマリや薬剤情報提供書の粒度で残す方が安全です。

さらに授乳中の患者がいる家庭では、同居家族の薬(母親の処方)と小児の薬(子の処方)が同時進行になり、保管や飲み間違いが起きやすいため、家庭内動線まで踏み込んだ説明が有用です。

実務の小技として、薬剤師・医師・看護師で“同じチェック順”を持つと、チーム医療の中で確認漏れが減ります。

参考)国立成育医療研究センター薬剤師レジデント制度プログラム

成育医療研究センターの薬剤師レジデント制度プログラムでも、医薬品情報管理業務、医療安全管理業務、製剤業務(院内製剤)などが研修内容として挙げられており、薬剤部機能が安全設計の中核にあることが示されています。

つまり、一覧の読み方は薬剤師だけの仕事ではなく、医師側も「どの情報を薬剤部に投げ、どこから自分で判断するか」を共有するほど、スピードと安全性が両立しやすくなります。

参考:院内採用の把握(医薬品リストの具体例)

国立成育医療研究センター「医薬品リスト<内服薬>(2023年2月現在)」