溶連菌感染症の症状と特徴を解説

溶連菌感染症の症状

溶連菌感染症の主な症状
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発熱とのどの症状

38〜39℃の高熱とのどの強い痛みが突然起こります

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特徴的な舌と発疹

イチゴ舌や全身に広がる赤い発疹が見られます

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風邪との違い

咳や鼻水がほとんど出ないのが特徴です

溶連菌感染症の初期症状と潜伏期間

溶連菌感染症は、感染してから2〜5日程度の潜伏期間を経て症状があらわれます。初期症状として最も特徴的なのは、38〜39℃の突然の高熱と、のどの強い痛みです。口蓋垂や扁桃部分が赤く腫れ、扁桃に白い膿のような付着物(白苔)が見られることもあります。

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発熱に伴って頭痛や全身倦怠感があらわれ、嘔吐や腹痛、下痢などの胃腸症状を伴うこともあります。首の前側のリンパ節が腫れることが多く、触ると痛みを感じる場合もあります。風邪やインフルエンザと似た症状ですが、溶連菌感染症では咳や鼻水、鼻詰まり、くしゃみなどの症状があまり現れないという大きな特徴があります。

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溶連菌感染症の特徴的な皮膚症状と発疹

溶連菌感染症の代表的な症状として、全身に広がる赤く細かい発疹があります。発疹は高熱とのどの症状に続いて、12〜48時間後に首や胸、手首、足首などから出現し、次第に全身に広がっていきます。発疹はザラザラとした質感で「紙やすり状」と表現され、かゆみを伴います。

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特に首やわき、太ももの付け根などの柔らかく衣服でこすれやすい場所から始まることが多く、顔は赤くなりますが口のまわりだけが白く抜ける「口囲蒼白」という特徴的な所見が見られることもあります。この全身に細かい赤い発疹が密生して出現する状態は「猩紅熱」と呼ばれ、溶連菌が産生する毒素によって引き起こされます。発疹は約1週間で治まりますが、その後、発疹があった部分の皮膚がむけてくる「落屑」が起こり、これは3週間程度続きます。

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参考リンク:猩紅熱の詳しい症状と特徴について解説しています

溶連菌による紅斑・猩紅熱 – 豊田市

溶連菌感染症のイチゴ舌と口腔内の変化

溶連菌感染症では、舌に特徴的な変化が見られることがあります。舌の表面に赤いブツブツが現れ、イチゴのような見た目になるため「イチゴ舌」と呼ばれます。イチゴ舌は治療されていない溶連菌感染症の時に出てきやすい傾向があり、溶連菌感染症の診断の重要な手がかりとなります。

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のどを診察すると、咽頭や扁桃が赤く腫れており、扁桃部分に白いブツブツが付着していることがあります。また、軟口蓋に小さな点状の出血が見られることもあり、これも溶連菌感染症に特徴的な所見です。炎症が強い場合には、いわゆる「のどちんこ」の部分も腫れることがあります。口角炎ができることもあり、口のまわりに不快な症状が複数重なることもあります。

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溶連菌感染症の子どもと大人の症状の違い

溶連菌感染症は3歳から10歳の子どもに多く見られる病気ですが、大人も感染することがあり、年齢によって症状の現れ方に違いがあります。子どもでは発熱、のどの痛み、首のリンパ節の腫れに加えて、イチゴ舌や猩紅熱による全身の発疹が典型的にあらわれます。特に子どもでは、丹毒や蜂窩織炎といった皮膚に炎症が起こり赤く腫れ上がる症状や、とびひのように水ぶくれが膿に変わって広がる症状が見られることもあります。

参考)溶連菌感染症の原因・症状・対処法。大人の感染や気づかず放置し…


一方、3歳以下の乳幼児や大人は感染しても典型的な症状が現れず、軽症で済む傾向があります。大人の場合、発熱が38℃以上になることもありますが、子どもほど高熱にならないこともあり、のどの痛みや倦怠感が主な症状となります。熱がなくて少しのどが痛い程度で終わることもあり、こういう軽症例は溶連菌感染症と気づかず放置してしまうリスクがあるため要注意です。

参考)http://senoopc.jp/disease/strept.html

溶連菌感染症の合併症リスクと注意すべき症状

溶連菌感染症で最も注意が必要なのは、適切な治療を行わなかった場合や治療を中途半端に終えてしまった場合に起こる合併症です。主な合併症として、急性糸球体腎炎リウマチ熱、結節性紅斑などがあり、これらは初期治療をきちんと行わないと発症するリスクが高まります。

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  • 急性糸球体腎炎:溶連菌感染症が治癒してから10〜14日程度経過後に発症する腎炎で、顔面やまぶた、足のむくみ、血尿、高血圧が主な症状です
  • リウマチ熱:感染後1〜5週間で発症し、発熱に加え関節痛や心炎、輪状紅斑、皮下結節が特徴的です
  • 結節性紅斑:主に脛に現れる赤色の皮疹で痛みを伴い、色素沈着としこりが残ります
  • その他:中耳炎副鼻腔炎肺炎髄膜炎敗血症などの重症化、血管性紫斑病なども報告されています

回復後に顔がむくんでいる、尿量が少ない、呼吸が苦しそう、動悸や息切れがある、関節痛があるといった症状が見られたら、すぐに医療機関を受診する必要があります。合併症の発生率は溶連菌感染症にかかった人の1%以下ですが、長期治療が必要だったり後遺症を残すこともあるため、初期治療をきちんと行うことが極めて重要です。

参考)子どもの病気

参考リンク:溶連菌感染症の合併症について詳しく解説しています

溶連菌感染症による合併症とは? 予防するには? – みんなの家庭の医学

溶連菌感染症の診断方法と検査の重要性

溶連菌感染症の診断は、特徴的な症状の観察と検査の組み合わせで行われます。診断方法には主に「迅速検査」「培養検査」「抗体検査」の3つがあります。

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最も一般的に使用されるのは迅速診断キットで、綿棒でのどの菌を採取し、約5〜15分程度で陽性・陰性の判定ができます。この検査は病院内ですぐに結果がわかるため、診察と同時に診断が確定し、適切な治療を速やかに開始できるという利点があります。咽頭培養検査は、綿棒でのどの菌を採取して培養したのちに判定する方法で、たった数個の溶連菌でも検出できる高感度な検査ですが、結果が出るまでに数日を要します。

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抗体検査は血液中の抗体の上昇を確認する方法で、ASOやASKといった項目が上昇しているかを調べます。検査前に抗生物質を服用すると正確な判定ができなくなることがあるため、自己判断で薬を服用せず、まず医療機関を受診することが大切です。溶連菌感染症は放置すると心臓や腎臓に合併症を起こす可能性があり、また周囲の人に感染するリスクもあるため、早期に検査を受けて診断・治療することが重要です。

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溶連菌感染症の治療期間と服薬管理

溶連菌感染症の治療には、溶連菌に効く抗菌薬が使用されます。通常、ペニシリン系の抗生物質を10日間しっかりと内服する必要があり、抗菌薬の種類によっては服用期間が異なることもあります。抗菌薬は病気の原因となっている溶連菌を退治する大変重要な薬で、熱やのどの痛みといった症状をやわらげる薬とともに処方されます。

参考)https://caps-clinic.jp/yourenkin/


治療を開始すると、1〜2日で熱が下がり、のどの痛みも軽くなってきます。発疹も3〜4日で消えていきますが、皮がむけていくこともあります。症状が改善しても、処方された抗生剤を最後まできちんと飲み切ることが極めて重要です。途中で服薬を止めてしまうと、溶連菌が完全に除菌されず、後に重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。​
抗生剤をきちんと飲むと、リウマチ熱などの合併症を起こす確率は1/100以下に下がることが報告されています。治療中は医師の指示に従って服薬を継続し、症状が改善した後も指定された期間は薬を飲み続けることが、自分自身の健康を守るだけでなく、家族や周囲の人への感染拡大を防ぐためにも必要です。

参考)溶連菌感染症

溶連菌感染症の予防と家庭内感染対策

溶連菌感染症は飛沫感染や接触感染によって広がるため、予防対策が重要です。感染者の咳やくしゃみから放出される唾液の飛沫を吸い込むこと、または感染者が触れた物に接触した後に自分の口や鼻を触ることで感染する可能性があります。

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予防策としては以下の対策が効果的です:​

  • 定期的な手洗いとうがいの徹底
  • 咳エチケットの実践とマスクの着用
  • 感染者との密接な接触を避ける
  • 感染者の使用したタオルや食器は共有せず、定期的に消毒する
  • 唾液や鼻水などで汚染された物を適切に消毒する

溶連菌感染症は家庭内での感染がよく見られるため、兄弟間での感染に特に注意が必要です。感染した子どもがいる場合は、個人用品を他の子どもと分けることが重要で、他の家族も検査を受けることを検討すると良いでしょう。基本的な感染対策をしっかり行い、菌を体内に入れないことが最も効果的な予防法となります。

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