心室細動と心房細動の違いとメカニズム
心室細動の病態生理と発生メカニズム
心室細動は、心臓の主要ポンプ機能を担う心室で発生する致命的な不整脈です。 心室筋が組織だった興奮を失い、無秩序に細動することで有効な収縮ができなくなり、血液拍出が完全に停止します。
参考)心室細動が起こるメカニズムとその治療について医師が解説
心室細動の主な発生メカニズムには以下があります。
- 心筋梗塞による電気的異常 – 冠状動脈の閉塞により心筋の虚血状態が生じ、数時間以内に心室細動を引き起こす可能性があります
参考)https://medicalnote.jp/diseases/%E5%BF%83%E5%AE%A4%E7%B4%B0%E5%8B%95
- 心筋症による構造異常 – 拡張型心筋症や肥大型心筋症など、心筋の異常により電気的活動が乱れます
- 電解質異常 – カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの電解質バランスの乱れが心筋細胞の興奮性を変化させます
- 遺伝的疾患 – ブルガダ症候群やQT延長症候群などの遺伝的要因による場合もあります
心室細動が発生すると、脳や心臓への血液供給が完全に停止し、意識消失が起こります。 自然に正常心拍に戻ることは極めて稀であり、電気ショック(除細動)による緊急治療が必要となります。
心房細動の特徴と発症機序
心房細動は、心臓の補助ポンプである心房で発生する不整脈で、最も一般的で罹患率の高い不整脈です。 心房内で不規則に電気信号が発生し、心房が痙攣したような状態となります。
心房細動の主要な発症機序は以下の通りです。
- 肺静脈起源の異常電気信号 – 肺静脈という場所から発生する異常な電気信号が主な引き金となることが明らかになっています
参考)心臓と不整脈のおはなし
- 心房内の電気的旋回 – 心房内の一定回路を電気が旋回することで持続的な不整脈が生じます
- 複数の興奮波 – 心房内で複数の異常な興奮波が発生し、心房の協調的収縮が失われます
参考)心房細動
心房細動では、心房の拍動数が1分間に300回以上となり、不規則な心拍により動悸を感じることがあります。 しかし心房は補助ポンプの位置づけであるため、心房の機能低下があっても心臓の基本的な血液拍出は保たれ、直ちに生命に関わることはありません。
参考)心房細動と心室細動の違い
心室細動の症状と緊急対応
心室細動の症状は極めて重篤で、発症と同時に以下の症状が現れます。
- 即座の意識消失 – 有効な血液拍出が行われないため、脳への血液供給が停止し意識を失います
- 心停止状態 – 心臓から血液が送り出されなくなり、心停止と同じ状態になります
- 呼吸停止 – 循環停止により呼吸も停止します
- 脈拍触知不能 – 末梢で脈を触知することができません
心室細動に対する緊急対応は以下の手順で行われます。
即座の電気ショック(除細動)
心肺蘇生法(CPR)
- 除細動と並行して胸骨圧迫による心臓マッサージを実施します
- 脳や重要臓器への血流を維持するために不可欠です
薬物療法
- エピネフリンやアミオダロンなどの薬剤投与を行う場合があります
- ただし薬物単独では効果が限定的で、電気ショックが主体となります
心室細動は「突然死」の主要原因であり、発症から4-6分以内に適切な処置が行われない場合、不可逆的な脳損傷や死亡に至ります。
心房細動の症状と診断方法
心房細動の症状は心室細動と比較して軽度ですが、患者の生活の質に大きく影響します。約40%の患者は無症候性とされており、症状がない場合も多く見られます。
主な症状には以下があります。
- 動悸 – 最も典型的な症状で、不規則で速い心拍を自覚します
参考)心房細動
- 胸部不快感 – 胸の圧迫感や違和感を感じることがあります
- 息切れ・呼吸困難 – 軽労作時や安静時にも息切れを感じる場合があります
- めまい・失神 – 心拍出量の低下により脳血流が不足することで生じます
- 疲労感・倦怠感 – 持続的な疲れや体力の低下を感じます
心房細動の診断には以下の検査が用いられます。
心電図検査
- 12誘導心電図:30秒以上明らかなP波を認めず、RR間隔の絶対不整を認めた場合に診断されます
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=16
- 発作性心房細動では、発作時以外の心電図は正常となるため診断が困難な場合があります
長時間心電図記録
- 24時間ホルター心電図:1日の心電図を連続記録し、間欠的な心房細動を検出します
- 7日以上の長期間ホルター:より稀な発作や短時間の心房細動の診断に有用です
- イベント心電図:症状出現時に患者自身が記録する携帯型心電計です
心エコー検査
- 心臓の構造や機能、血栓の有無を評価します
- 経食道心エコー検査では、心房内血栓をより詳細に観察できます
心房細動は脳梗塞のリスクを高めるため、症状がない場合でも早期診断と適切な治療が重要です。
参考)けやきトータルクリニック-[健康相談室]心室細動と心房細動の…
心室細動と心房細動における治療法の相違
心室細動と心房細動では、その緊急度と病態の違いにより治療アプローチが根本的に異なります。
心室細動の治療
心室細動は医学的緊急事態であり、即座の治療介入が必要です。
- 緊急除細動 – AEDや医療用除細動器による電気ショックが最優先治療です
- カテーテルアブレーション – ブルガダ症候群では心臓外側の特殊心筋をアブレーションし、心室性期外収縮がきっかけとなる場合はその起源をアブレーション治療します
- 植込み型除細動器(ICD) – 再発予防のために体内に除細動器を植込む場合があります
- 基礎疾患の治療 – 心筋梗塞や心筋症などの原因疾患に対する根治的治療を行います
心房細動の治療
心房細動では症状改善と合併症予防を目的とした包括的治療が行われます。
- 薬物療法
- レートコントロール:β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ジギタリス製剤により心拍数を調整します
- リズムコントロール:抗不整脈薬により正常洞調律の維持を図ります
参考)心房細動の治療
- 抗凝固療法:血栓形成予防のため抗凝固薬を使用します
- カテーテルアブレーション – 肺静脈隔離術により心房細動の発生源を遮断します
- 外科的治療 – メイズ手術などの外科的根治術を行う場合があります
治療選択においては、心室細動が「救命」を最優先とするのに対し、心房細動では「症状改善」「QOL向上」「合併症予防」が主な目標となる点で大きく異なります。
参考リンク。
心房細動の詳細な治療ガイドラインについて – 日本循環器学会の治療指針と最新の薬物療法について解説

心室細動の緊急対応と予防について – 東京ハートリズムクリニックによる専門医解説
Based on my research, I now have comprehensive information about ischemic consciousness loss to create a detailed medical blog article. Let me create the article structure and content.