トリメトプリム副作用と安全性

トリメトプリムと副作用

トリメトプリムの主要副作用
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皮膚症状

発疹、かゆみ、蕁麻疹などの皮膚反応が最も頻発

電解質異常

高カリウム血症、低ナトリウム血症の発現リスク

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血液障害

血小板減少、白血球減少などの血液系副作用

トリメトプリムの皮膚副作用と発疹症状

トリメトプリムの使用において最も頻発する副作用は皮膚症状です 。発疹、かゆみ、蕁麻疹が0.1~5%未満の頻度で報告されており、これらは軽度であっても自己判断せず、すぐに服用を中止して医療従事者に相談することが重要です 。
参考)くすりのしおり : 患者向け情報
より重篤な皮膚障害として、スティーブンス・ジョンソン症候群のような重篤な状態の可能性もあるため、発熱を伴う広範囲の赤い発疹、水ぶくれ、ただれなどが現れた場合は直ちに服用を中止し、医療機関を受診する必要があります 。また、皮膚血管炎(白血球破砕性血管炎、IgA血管炎など)も頻度不明ながら報告されています 。
参考)バクタ配合錠の効果・副作用を医師が解説【細菌感染症に】 – …
日光過敏症(光線過敏症)も注意すべき副作用の一つで、日光による過度の日焼け、かゆみ、色素沈着を引き起こすことがあります 。患者には直射日光への暴露を避けるよう指導することが重要です。
参考)バクタ|感染予防、治療薬|くすり事典|よくわかる腎移植

トリメトプリムによる高カリウム血症とその機序

トリメトプリムは遠位尿細管上皮細胞基底膜のNa+/K+-ATPaseを阻害することで、低ナトリウム血症および高カリウム血症を引き起こすことが知られています 。この機序により、腎機能正常者においてもST合剤1日2錠を6週間継続した場合、17%の患者で血清カリウム値が1mEq/L以上上昇することが報告されています 。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjnp/9/3/9_363/_pdf/-char/ja
特にRA系阻害薬(ACE阻害薬ARB)服用中の高齢患者では、ST合剤併用により突然死のリスクが1.38倍に増大することが明らかになっています 。これは高カリウム血症による致死性不整脈が原因と考えられており、ACE阻害薬またはARB服用中のST合剤投与では、高カリウム血症による入院リスクが7倍に増大することが知られています 。
参考)RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍…
臨床的には、ANCA関連血管炎患者のニューモシスチス肺炎予防目的でのST合剤投与中に高カリウム血症を来した症例も報告されており、陽イオン交換樹脂の処方により血清カリウム値が正常化した事例があります 。
参考)https://jsn.or.jp/journal/document/54_5/615-621.pdf

トリメトプリムの血液系副作用

トリメトプリム使用時の重篤な副作用として、様々な血液障害が挙げられます 。再生不良性貧血溶血性貧血、巨赤芽球性貧血、メトヘモグロビン血症、汎血球減少無顆粒球症、血小板減少症などが頻度不明で報告されています 。
参考)https://vet.cygni.co.jp/include_html/drug_pdf/kouseibussitu/BK1579-02.pdf
特に注意すべきは血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)で、これらは血小板減少、破砕赤血球の出現を特徴とし、生命に関わる重篤な副作用となり得ます 。また、0.1%未満の頻度で顆粒球減少、頻度不明で血小板減少が起こることも報告されています 。
参考)バクタ配合錠の効能・副作用|ケアネット医療用医薬品検索
これらの血液系副作用の早期発見のため、定期的な血液検査による白血球数と血小板数のモニタリングが不可欠です 。患者には異常な出血傾向、発熱、感染症状などに注意するよう指導することが重要です。
参考)トリメトプリムとスルファメトキサゾール – 16. 感染症 …

トリメトプリムの消化器系・その他の副作用

消化器系副作用として、吐き気、嘔吐、下痢が一般的に報告されています 。その他、食欲不振、便秘、腹痛、胃不快感、舌炎、口角炎・口内炎なども0.1~5%未満の頻度で発現します 。稀ではありますが血便の報告もあります 。
参考)Table: トリメトプリムとスルファメトキサゾール-MSD…
肝機能への影響として、AST・ALT上昇が0.1%未満の頻度で、黄疸、Al-P上昇が頻度不明で報告されています 。腎機能に関しては、BUN上昇、血尿などの腎障害が頻度不明で発現することがあり、特に腎機能が低下している患者では腎不全のリスクがあります 。
精神神経系副作用では、頭痛が0.1~5%未満、めまい・ふらふら感、しびれ感が0.1%未満の頻度で報告されています 。その他、発熱・熱感、血圧変動、関節痛、筋痛なども認められることがあります 。

トリメトプリム副作用のモニタリングと対策

トリメトプリムの安全使用には、適切なモニタリングと予防策が必要です。まず、皮膚症状については患者への十分な説明と観察が重要で、軽微な発疹であっても自己判断せず医療従事者への報告を徹底する必要があります 。
高カリウム血症の予防には、特にRA系阻害薬服用患者では血清カリウム値の密なモニタリングが必須です 。腎機能低下患者では、クレアチニンクリアランスに応じた用量調節が推奨されており、Ccr 30mL/min以下では通常の1/2量、Ccr 15mL/min未満では投与を避けることが望ましいとされています 。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00070053.pdf
血液系副作用の早期発見のため、定期的な血液検査による白血球数、血小板数、ヘモグロビン値の確認が不可欠です。患者には異常な出血傾向、持続する発熱、感染症状などの症状について指導し、これらの症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診するよう説明することが重要です 。