高速液体クロマトグラフィーと液体クロマトグラフィーの違い

高速液体クロマトグラフィーと液体クロマトグラフィーの違い

高速液体クロマトグラフィーと液体クロマトグラフィーの技術比較

高速化技術

ポンプによる高圧送液で測定時間を大幅短縮

🔍

性能向上

分離能力と検出精度が従来比で飛躍的に向上

⚙️

装置構成

送液ポンプ、カラム、検出器の統合システム

高速液体クロマトグラフィーの基本原理と特徴

高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、液体の移動相をポンプによって加圧してカラムを通過させ、分析種を固定相及び移動相との相互作用の差を利用して高性能に分離して検出する方法です 。HPLCの最大の特徴は、従来の液体クロマトグラフィーとは異なり、高い圧力で移動相を流すことで短時間での測定が可能となった点にあります 。
参考)Home – 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ってなに…
この技術により、測定が短時間になっただけでなく、従来の液体クロマトグラフィーに比べ高性能に分析することができるようになりました 。💧 現在使用されている液体クロマトグラフィーのほとんどはHPLCであるといっても過言ではありません 。
HPLCは試料に含まれる複数の溶質成分を迅速かつ同時に定性・定量が可能で、高精度の装置群により構成されるため分析値の再現性にも優れています 。この技術的優位性により、現代の分析化学分野において不可欠な存在となっています 。
参考)HPLC(高速液体クロマトグラフィー)の基礎を分かりやすく解…

液体クロマトグラフィーの基本概念と分類

液体クロマトグラフィー(LC)は、移動相が液体のクロマトグラフィーの総称であり、物質が固定相(カラム)とこれに接して流れる移動相(液体)との親和力の違いから一定の比率で分布し、その比率が物質によって異なることを利用して分離する方法です 。🔬
参考)https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E9%AB%98%E9%80%9F%E6%B6%B2%E4%BD%93%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%83%88%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BCamp;mobileaction=toggle_view_desktopamp;printable=yes
クロマトグラフィーは移動相と固定相の種類により、ガスクロマトグラフィー(移動相は気体)と液体クロマトグラフィー(移動相は液体)に大別されます 。液体クロマトグラフィーはさらに、固定相が液体であるか固体であるかによって細かく分類されます 。
参考)クロマトグラフィー – 分析基礎知識
液体クロマトグラフィーには、イオン交換、逆相、順相、サイズ排除(ゲル濾過)、アフィニティーなど様々な分離方法があり、測定対象に応じて最適な方法を選択できます 。この多様性が、幅広い分析ニーズに対応できる理由となっています。

高速液体クロマトグラフィーの装置構成と検出技術

高速液体クロマトグラフシステムは、主に移動相を送液するためのポンプ、試料を導入するためのインジェクタ、成分を分離するためのカラム、成分を検出するための検出器、クロマトグラムを記録・解析するためのデータ処理装置から構成されます 。⚙️
参考)装置 – 高速液体クロマトグラフ – 分析基礎知識
検出器には多くの種類が存在し、光学検出器としてUVD(紫外可視吸光検出器)、DAD(フォトダイオードアレイ検出器)、RID(示差屈折率検出器)、FLD(蛍光検出器)などが一般的です 。また、電気的な検出原理を利用したCorona CAD、CDD、PADなども使用されています 。
さらに、分析種の質量/電荷比(m/z)に基づいて分離、定性、定量が可能な質量分析計(MS)も多用されており、シングル四重極、トリプル四重極、イオントラップ、Orbitrapなどに分類されます 。これらの多様な検出技術により、幅広い化合物の高精度分析が実現されています。

高速液体クロマトグラフィーの分離モードと医療応用

高速液体クロマトグラフィーは、用途に応じて逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィーの3つの分離モードを選択できます 。逆相クロマトグラフィーは最も頻繁に用いられる手法で、低極性のカラムに高極性の溶媒を流すことによって、炭素鎖の短い成分から長い成分までを溶出させます 。📊
参考)高速液体クロマトグラフとは?HPLCの基礎や用途・使用目的を…
医療分野では、HPLCを医療現場で使用する際の課題を解決するLM1010高速液体クロマトグラフのような専用機器が開発されています 。この装置は抗てんかん薬抗精神病薬、不整脈用剤、抗がん剤、免疫抑制剤など多様な薬剤の治療薬物濃度モニタリング(TDM)に活用されています 。
参考)LM1010 高速液体クロマトグラフ : 日立ハイテク
武田薬品工業では、クロマトグラフィー技術に特化したベンチャー企業「ChromaJean」が設立され、独自のアルゴリズムに基づくクロマトグラフィー技術を製薬企業に提供しています 。この技術は、分離条件探索から精製完了まで標準化・自動化することで、作業者のスキルに依存しない最適な分離・精製条件を迅速に見出すことができます 。
参考)【武田薬品工業】クロマトグラフィー部門独立し新会社、受託サー…

高速液体クロマトグラフィーの最新技術動向と産業展開

近年では、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)技術がさらなる高速化と高分離能を実現しており、従来のHPLCを上回る性能を提供しています 。UHPLCは明確にHPLCと区別されており、より高い分解能を持つことが特徴です 。🚀
参考)https://www.ikedarika.co.jp/ikeda_bureau/contents/hplc202410.html
食品分析分野では、蒸発光散乱検出器(ELSD)を用いたグラジエント分析による希少糖の分析や、サイズ排除モードによる食用油脂の分子量測定など、多様な応用事例が報告されています 。また、食品中のリコペンのような機能性成分の分析にも活用されています 。
参考)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による食品の分析 : …
抗体医薬品の品質管理分野では、高濃度の塩を含む移動相に対する耐久性に優れたイナートUHPLCシステムが開発され、モノクローナル抗体(mAb)や抗体薬物複合体(ADC)の分析に応用されています 。このような技術革新により、HPLCは医薬品開発から品質管理まで幅広い分野で重要な役割を果たしています。
参考)高速液体クロマトグラフィーによる抗体医薬品の分析事例 : 分…