セレコックスとロキソニンの違い
セレコックスのCOX-2選択的阻害メカニズム
セレコックス(セレコキシブ)は、COX-2を選択的に阻害する唯一の日本承認薬剤です 。セレコキシブの選択性は、COX-1とCOX-2の立体構造の違いを利用したものです 。
参考)http://www.hakatara.net/images/no9/9-6.pdf
COX-2では内部構造のポケットにスルホンアミド基が結合し、その酵素活性を阻害します 。この構造的特徴により、アラキドン酸がCOX-2の活性部位に到達できず、プロスタグランジン産生が抑制されます 。
セレコキシブの作用機序の特徴:
- 炎症局所に誘導されるCOX-2を選択的に阻害
- COX-1への影響を最小限に抑制
- 胃粘膜保護作用を維持
ロキソニンの非選択的NSAIDs作用
ロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム水和物)は、COX-1とCOX-2を非選択的に阻害する薬剤です 。体内でプロドラッグとして働き、活性代謝物に変換されて効果を発揮します 。
参考)https://www.pmda.go.jp/drugs/2007/P200700006/80012600_21900AMZ00003_F100_1.pdf
ロキソニンの作用機序:
- COX-1とCOX-2を両方阻害
- プロスタグランジンの生成を広範囲に抑制
- 速やかな鎮痛・抗炎症効果
この非選択的阻害により、胃の粘膜を保護するCOX-1も抑制されるため、胃腸障害のリスクが高くなります 。
セレコックスとロキソニンの副作用プロファイル比較
セレコックスの主な副作用:
ロキソニンの主な副作用:
- 消化器症状(胃痛、吐き気、嘔吐)
- 腎機能障害
- アレルギー反応(皮膚疹、かゆみ)
- 血液障害(稀)
セレコックスは胃への負担が少ないとされていますが 、心血管系リスクについては注意が必要です 。
セレコックス効果発現時間と持続性
セレコックスの効果発現時間は、抜歯後疼痛における400mg単回投与で約28分と報告されています 。これはロキソニンの30分〜1時間と比較して遜色ない速さです 。
セレコックスの薬物動態的特徴:
- 半減期が比較的長い(約12時間)
- 1日2回の服用で効果維持可能
- 作用持続時間が長い
一方、ロキソニンは効果持続時間が約6〜8時間と短く、1日3回の服用が必要です 。慢性疾患の管理において、セレコックスの服用回数の少なさは患者のアドヒアランス向上に貢献します 。
セレコックスとロキソニンの併用禁忌と相互作用
NSAIDs同士の併用について:
一般的に、セレコックスとロキソニンの併用は推奨されません 。併用による効果の増強は認められず、消化器系の副作用のリスクが増すからです 。
参考)【Q】NSAIDs同士の併用は可能か? – CloseDi
併用禁忌の理由:
- 効果は増さず副作用の頻度のみ増加
- 胃腸障害などの副作用リスクが高まる
- 同様の作用機序による効果の重複
NSAIDs2剤以上の併用は副作用の頻度のみが増加し、効果の増強は望めないことが明らかになっています 。医療従事者は患者の薬歴を十分に確認し、不適切な併用を避ける必要があります。