頭痛眉毛の上の痛み、原因はストレスや病気?病院へ行く前のチェック

頭痛で眉毛の上が痛む原因と対処法

この記事でわかること
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痛みの原因

眉毛の上が痛む際に考えられる、片頭痛や副鼻腔炎などの様々な原因を解説します。

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病院受診の目安

どのような症状があれば病院へ行くべきか、何科を受診すればよいかの判断基準を説明します。

💆‍♀️

セルフケア方法

すぐに実践できる、眼精疲労やストレスを軽減するためのセルフケアやツボを紹介します。

頭痛で眉毛の上が痛む主な原因は?考えられる病気と症状

 

眉毛の上の痛みと一言でいっても、その原因は多岐にわたります。ズキンズキンと脈打つような痛み、締め付けられるような鈍い痛み、鼻の奥から圧迫されるような痛みなど、痛みの種類によって考えられる病気は異なります。医療従事者として、患者さんから「眉毛の上が痛い」と訴えがあった場合、まずはどのような痛みなのかを詳細にヒアリングすることが重要です。痛みの性質、頻度、持続時間、随伴症状などを正確に把握することで、鑑別診断の精度を高めることができます。

眉毛の上の痛みを引き起こす主な原因は、大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分けられます。一次性頭痛は、頭痛そのものが病気であり、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などが含まれます。一方、二次性頭痛は、他の病気が原因で起こる頭痛で、副鼻腔炎や眼精疲労、さらには脳腫瘍や髄膜炎といった命に関わる危険な病気の可能性も含まれます。特に眉毛周辺の痛みを訴える場合、以下の疾患を念頭に置く必要があります。

  • 副鼻腔炎(特に前頭洞炎)👃: 副鼻腔は鼻の周りにある空洞で、眉毛の上あたりには「前頭洞」という空間があります。風邪などをきっかけにこの前頭洞に炎症が起き、膿が溜まることで、眉毛の上や額に圧迫されるような痛みや重い感じが生じます 。黄色や緑色の粘り気のある鼻水、鼻づまり、嗅覚障害、発などを伴うことが多いのが特徴です 。眉毛の上を押すと痛みが強くなる(圧痛)こともあります。
  • 眼精疲労👀: 長時間のデスクワークやスマートフォンの使用により、目のピントを合わせる筋肉(毛様体筋)が凝り固まり、目の周りの血行が悪くなることで痛みが生じます 。目の奥の痛みや頭重感、かすみ目、肩こりなどを伴うことが多く、休憩や睡眠をとることで改善する傾向があります。
  • 一次性頭痛(片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛)🤯:
    • 片頭痛: ズキンズキンと脈打つような強い痛みが特徴で、こめかみから眉毛のあたりにかけて痛むことがあります 。光や音に過敏になったり、吐き気を伴ったりすることもあります。
    • 緊張型頭痛: 頭全体が締め付けられるような鈍い痛みがだらだらと続くのが特徴で、首や肩の筋肉の緊張が原因となることが多いです 。眉毛のあたりに重苦しい痛みを感じることもあります。
    • 群発頭痛: 片側の目の奥や眉毛のあたりをえぐられるような、耐え難い激しい痛みが特徴です 。痛みは数十分から数時間続き、年に数回、群発的に起こります。目の充血や涙、鼻水などを伴うことがあります。
  • 三叉神経⚡: 顔の感覚を支配する三叉神経の第一枝(眼神経)が圧迫されたり、帯状疱疹ウイルスによって障害されたりすると、眉毛の上から額にかけて、電気が走るような、あるいは刺すような鋭い痛みが瞬間的に生じることがあります 。洗顔や化粧など、軽い接触で誘発されることもあります。

以下の表は、眉毛の上の痛みを引き起こす代表的な疾患とその特徴をまとめたものです。患者さんの症状を整理し、鑑別診断を進める際の参考にしてください。

疾患名 痛みの特徴 主な随伴症状 考えられる原因
副鼻腔炎(前頭洞炎) 眉毛の上や額の圧迫感、重い痛み。押すと痛む。 粘り気のある鼻水、鼻づまり、嗅覚障害、発熱 ウイルス・細菌感染、アレルギー
眼精疲労 目の奥の鈍い痛み、頭重感、しょぼしょぼする感じ。 目のかすみ、肩こり、首こり、吐き気 長時間のVDT作業、度の合わない眼鏡
片頭痛 ズキンズキンと脈打つような拍動性の痛み。 光・音過敏、吐き気、嘔吐、前兆(閃輝暗点など) ストレス、ホルモンバランス、特定の食品
緊張型頭痛 頭全体が締め付けられるような持続性の鈍痛。 肩こり、首こり、めまい、全身倦怠感 精神的・身体的ストレス、姿勢の悪さ
群発頭痛 片側の目の奥をえぐられるような耐え難い激痛。 目の充血、涙、鼻水、鼻づまり、興奮状態 体内時計の乱れ、飲酒、喫煙
三叉神経痛 電気が走るような、刺すような瞬間的な鋭い痛み。 なし(痛みのみ) 血管による神経の圧迫、帯状疱疹

頭痛と眉毛の上の痛み、何科を受診?病院へ行くべき危険なサイン

「眉毛の上が痛い」という症状で、どの診療科を受診すればよいか迷うことは少なくありません。基本的には、最も強く疑われる原因に合わせて受診先を選ぶのが効率的です。

  • 耳鼻咽喉科: 鼻水や鼻づまり、嗅覚障害など、鼻の症状を伴う場合は、副鼻腔炎の可能性が高いため、まず耳鼻咽喉科を受診しましょう 。
  • 脳神経外科・脳神経内科: 「ズキンズキン」「ガンガン」といった拍動性の激しい痛みや、吐き気、めまいなどを伴う場合は、片頭痛や群発頭痛、あるいは脳の病気の可能性があるため、脳神経外科や脳神経内科が専門です 。
  • 眼科: 目の疲れやかすみ、視力低下などを強く感じる場合は、眼精疲労や緑内障などの目の病気も考えられるため、眼科で相談することをお勧めします。
  • 皮膚科: 眉毛の周辺に発疹やピリピリとした痛みがある場合は、帯状疱疹の可能性があるため、皮膚科を受診してください 。

多くの頭痛は命に別状のない「一次性頭痛」ですが、中にはくも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎といった緊急性の高い病気が隠れている「二次性頭痛」もあります。以下の症状は「レッドフラッグサイン」と呼ばれ、危険な頭痛の可能性を示唆します。一つでも当てはまる場合は、様子を見ずに直ちに救急外来を受診するか、脳神経外科のある病院へ連絡してください。

🚨 見逃してはいけない危険な頭痛のサイン(レッドフラッグサイン) 🚨

  • 突然の発症: 「バットで殴られたような」と表現される、突然の激しい頭痛 。
  • 今までにない痛み: これまで経験したことのない、人生で最悪の頭痛 。
  • 神経症状を伴う: 手足の麻痺、しびれ、ろれつが回らない、意識がもうろうとする 。
  • 進行性の痛み: 日に日に、あるいは時間とともに痛みが悪化していく 。
  • 50歳以降の初発: 50歳を過ぎて初めて経験する頭痛 。
  • その他の症状: 原因不明の発熱、首の後ろが硬くなる(項部硬直)、けいれんを伴う。

これらのサインは、脳卒中(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞)や脳腫瘍、髄膜炎、脳動脈解離など、迅速な対応が求められる疾患の可能性があります。特に、くも膜下出血は発症後の経過が非常に悪く、早期の診断と治療が救命の鍵となります。医療従事者としては、患者やその家族からこれらのサインが聞かれた場合、ただちに専門医療機関への受診を強く勧める義務があります。

以下の参考リンクは、日本頭痛学会が作成したガイドラインで、頭痛診療における詳細な情報が記載されています。

参考: 日本頭痛学会 臨床実践ガイドライン

頭痛眉毛の上の痛みに効く!眼精疲労やストレス解消セルフケアとツボ

病院を受診するほどではないけれど、眉毛の上の鈍い痛みが続く…そんな時は、セルフケアを試してみるのも一つの手です。特に、眼精疲労や筋肉の緊張が原因となっている場合に効果が期待できます。ただし、痛みが悪化する場合や、前述の危険なサインが見られる場合は、セルフケアに頼らず医療機関を受診してください。

👀 目と体を休ませるためのセルフケア

  • 目を温める: 蒸しタオルや市販のホットアイマスクで目の周りを温めると、血行が促進され、筋肉の緊張が和らぎます 。40℃程度の心地よい温度で5~10分ほど温めるのが効果的です。ただし、炎症による痛み(ズキズキする痛み)の場合は、温めると逆効果になることがあるため、冷やす方がよいでしょう 。
  • 意識的に休憩をとる: パソコンやスマートフォンを長時間使用する場合は、1時間に1回、10分程度の休憩を挟みましょう 。休憩中は遠くの景色を眺めたり、目を閉じたりして、目を休ませることが大切です。
  • 首や肩のストレッチ: 首や肩のこりも眉毛の上の痛みの原因となります 。ゆっくりと首を回したり、肩を上げ下げしたりする簡単なストレッチを取り入れることで、筋肉の緊張をほぐし、血流を改善できます。
  • 睡眠環境を整える: 質の良い睡眠は、心身の疲労回復に不可欠です。寝る前のスマートフォン操作は避け、リラックスできる環境で十分な睡眠時間を確保しましょう。

💆‍♀️ 痛みを和らげるツボ押し

ツボ押しは、血行を促進し、筋肉の緊張を緩和する効果が期待できます 。眉毛の上の痛みには、以下のツボが効果的とされています。心地よいと感じる程度の強さで、ゆっくりと5秒ほど押してみてください。

  • 攅竹(さんちく): 眉頭の内側のくぼみにあるツボ。眼精疲労や頭痛、鼻づまりに効果があるとされています。親指の腹で、少し上に向かって押し上げるように刺激します。
  • 陽白(ようはく): 眉毛の真ん中から指1本分ほど上にあるツボ。前頭部の痛みや眼精疲労に効果的です。人差し指の腹で優しく押します。
  • 太陽(たいよう): こめかみ、眉尻と目尻を結んだ線の少し外側にあるくぼみ。片頭痛や眼精疲労による頭痛の特効薬として知られています 。人差し指や中指で円を描くようにマッサージするのもよいでしょう。
  • 風池(ふうち): 首の後ろ、髪の生え際で、太い筋肉(僧帽筋)の外側にあるくぼみ。後頭部の頭痛や肩こり、眼精疲労に効果があります 。両手の親指をツボに当て、他の指で頭を支えるようにして、頭の重みを利用して刺激します。

これらのセルフケアは、あくまで対症療法です。症状が改善しない場合や、頻繁に繰り返す場合は、背景に何らかの病気が隠れている可能性があるため、専門医に相談してください。

頭痛と眉毛の上の痛みに関わる意外な関係性とは?

眉毛の上の痛みは、これまで述べてきたような直接的な原因だけでなく、一見すると関係がなさそうな、より根本的な身体の状態が影響していることがあります。医療従事者として、患者の生活習慣や体質にも目を向けることで、より深いレベルでのケアにつながる可能性があります。ここでは、あまり知られていない「意外な関係性」をいくつか掘り下げてみましょう。

栄養素との関係性: ビタミン・ミネラル不足 🍽️

特定の栄養素の不足が、頭痛、特に片頭痛の引き金になることが研究で示唆されています。例えば、細胞のエネルギー産生に関わる**ビタミンB2**や、神経の興奮を抑えたり血管の収縮を調整したりする**マグネシウム**は、不足すると片頭痛の頻度が増加することが知られています。実際、海外の頭痛ガイドラインでは、これらのサプリメントによる予防療法が推奨されることもあります。眉毛の上の痛みを伴う片頭痛を繰り返す患者に対しては、食生活の聞き取りを行い、レバー、うなぎ、乳製品(ビタミンB2)、ほうれん草、ナッツ、海藻類(マグネシウム)などの摂取を勧めてみるのも一つのアプローチかもしれません。

ホルモンバランスとの関係性: 特に女性ホルモン 🚺

女性の場合、月経周期に伴う女性ホルモン(特にエストロゲン)の急激な変動が、片頭痛を引き起こすことがあります。これは「月経関連片頭痛」と呼ばれ、月経開始の前後2日以内に起こることが多いのが特徴です。このタイプの頭痛は、通常の片頭痛よりも症状が重く、治療に抵抗性を示すことがあります。患者が月経周期と頭痛の関連性を自覚していない場合も多いため、頭痛ダイアリーをつけてもらい、痛みのタイミングと月経周期を可視化することで、診断と治療方針の決定に役立ちます。

アレルギーとの関係性: 遅延型フードアレルギー 🍞

一般的に知られる即時型アレルギーとは別に、特定の食物を摂取してから数時間~数日後に症状が現れる「遅延型フードアレルギー(IgGフードアレルギー)」が、慢性的な頭痛の原因となっている可能性も指摘されています。グルテン(小麦)やカゼイン(乳製品)などが原因となることが多いとされますが、科学的根拠についてはまだ議論が分かれている段階です。しかし、原因不明の頭痛に悩む患者の中には、特定の食品を避ける食事療法(除去食)によって症状が劇的に改善するケースも報告されています。他の治療法で効果が見られない場合の選択肢として、頭の片隅に置いておくとよいかもしれません。

顎関節との関係性: 噛み合わせと顎の緊張 😬

顎関節症や、無意識の食いしばり・歯ぎしりは、側頭筋という、こめかみから顎にかけて広がる筋肉を常に緊張させます。この側頭筋の緊張が、関連痛として眉毛の上や目の奥に痛みを引き起こすことがあります。これは緊張型頭痛の一因とも考えられます。朝起きた時に顎が疲れている、口が開きにくいといった症状がないか確認し、必要であれば歯科や口腔外科との連携を検討することも重要です。ナイトガード(マウスピース)の装着が、頭痛の軽減につながることも少なくありません。

これらの視点は、頭痛を単なる「頭の痛み」として捉えるのではなく、全身の状態を反映するサインとして多角的にアプローチする重要性を示しています。患者一人ひとりの生活背景や体質にまで踏み込んだ問診が、根本的な解決への糸口となるでしょう。

頭痛で眉毛の上が痛い時のQ&A

最後に、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。日々の診療や説明の際にお役立てください。

Q1. 眉毛の上が痛いとき、市販の痛み止めを飲んでも大丈夫ですか?
A1. はい、一時的な痛みであれば、市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬など)を服用して様子を見ることは問題ありません。ただし、月に10日以上服用するような状態であれば、薬物乱用頭痛を引き起こす可能性があるため、漫然と使用を続けるべきではありません。痛みが続く、または頻繁に起こる場合は、必ず医療機関を受診してください。

Q2. 子供が眉毛の上の痛みを訴えています。大人と同じ病気を考えればよいですか?
A2. 子供も大人と同様に、副鼻腔炎や片頭痛、眼精疲労などで眉毛の上が痛むことがあります。特に子供の副鼻腔炎は繰り返しやすい傾向があります。また、視力低下に気づかず、無理して物を見ようとして眼精疲労を起こしているケースも考えられます。痛みの訴えが続く場合は、まずはかかりつけの小児科に相談し、必要に応じて耳鼻咽喉科や眼科を紹介してもらうのがよいでしょう。

Q3. ストレスで眉毛の上が痛くなることはありますか?
A3. はい、大いにあります。精神的なストレスは、緊張型頭痛の最大の誘因の一つです 。ストレスによって首や肩、頭部の筋肉が無意識に緊張し、血行が悪くなることで、眉毛のあたりに重苦しい痛みが生じます。また、ストレスは片頭痛を誘発することもあります。リラックスできる時間を作り、趣味や運動などで上手にストレスを発散することが、頭痛の予防につながります。

Q4. 眉毛を抜くと頭痛がするのはなぜですか?
A4. 眉毛を抜く行為そのものが直接的な頭痛の原因となることは稀ですが、いくつかの可能性が考えられます。眉毛周辺には三叉神経の末端が分布しており、毛を抜く刺激がこの神経を興奮させ、痛みを誘発することがあります。また、毛抜きで皮膚や毛穴に炎症が起きたり、長時間同じ姿勢で集中したりすることで、筋肉が緊張して頭痛につながる可能性も考えられます。

Q5. 片頭痛と診断されていますが、いつも眉毛のあたりが痛みます。これは普通のことですか?
A5. はい、普通のことです。片頭痛の痛みはこめかみに多いとされていますが、前頭部(おでこや眉毛のあたり)や後頭部、頭頂部など、頭のどこにでも起こりえます 。痛む場所が毎回同じである必要もありません。痛みの場所だけで自己判断せず、医師の診断に基づいて適切な治療を続けることが大切です。

眉毛の上の痛みという一つの症状にも、様々な原因が潜んでいます。医療従事者として、多角的な視点を持ち、患者さんの訴えに真摯に耳を傾けることで、適切な診断と治療に繋げていくことが求められます。


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