増量剤と食品
増量剤 食品の用途:賦形だけでなく物性設計
医療現場で「増量剤」という言葉が出ると“有効成分を薄めるもの”という連想が先行しがちですが、食品(とくにサプリメント形状食品)では、粉体・錠剤・顆粒・カプセル中身の物性を狙い通りに作るための材料として用いられます。増量剤は、一定量を確保して成形や充填を安定させる目的に加え、流動性・分散性・吸湿性・口当たりなどの設計にも関わります。
特に錠剤・ハードカプセルは「規格量に満たないと充填が不安定」「均一性が落ちる」「割れや欠けが出る」といった製造課題が出やすく、増量剤(例:セルロース系、糖系)が工程安定の“現実的な解”になります。
参考)【品質編】添加物
また、粉末スティックやプロテイン、粉末飲料でも、香味素材やビタミン・ミネラルは微量で偏在しやすく、分散を助けて計量誤差を減らす目的で増量剤的な素材が入ることがあります(表示上はデキストリン等で表現されるケースが多い)。
現場で役立つ観点としては、「増量剤=悪」と決め打ちせず、(1)剤形(錠剤/粉末/液体)(2)主成分の含量(高含量か微量か)(3)保存性(吸湿や固結リスク)をセットで見ると、添加の必然性を説明しやすくなります。
増量剤 食品の代表例:セルロース、デキストリン、加工デンプン
食品やサプリで“増量剤っぽい働き”をする代表格は、セルロース系(結晶セルロース、粉末セルロース等)と、デンプン由来の糖質(デキストリン、マルトデキストリン等)です。
セルロース系は錠剤の硬度や形状保持に寄与しやすい、といった説明が一般的で、製造上の扱いやすさから採用されます。
一方、デンプン由来の素材は「溶けやすい」「味の主張が少ない」「粉末のまとまりを調整できる」などの理由で幅広い食品に入ります。
マルトデキストリンはデンプンを部分加水分解して得られ、溶解性に優れるため飲料・粉末食品など多用途で使われる、という位置づけが整理しやすいです。
また、“でんぷん”周りで医療従事者が混乱しやすい点として、食品素材としてのデンプンと、食品添加物としての「加工デンプン(modified starch)」は枠組みが異なることが挙げられます。加工デンプンの表示は、原則として規定された物質名で行う扱いが示されています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/11/dl/s1128-21f.pdf
この違いは、患者が「でんぷん=自然、加工デンプン=危険」と短絡しやすいポイントなので、“用途と規格(規制の枠)を分けて説明する”と納得が得られやすくなります。
参考)多糖類の決まり事~食品表示法について その4 増粘多糖類の範…
増量剤 食品表示基準:一般飲食物添加物と簡略名の考え方
患者から最も聞かれやすいのは「表示に“増量剤”とだけ書いてあるのは何が入っているのか」という点ですが、表示は“自由記述”ではなく制度設計です。一般に食品として飲食に供されているもので、添加物として使われるもの(一般飲食物添加物)にはリストがあり、物質名表示は通知で示された品名で行うことが求められます。
さらに、同じ物質でも「食品素材として使ったのか」「食品添加物として使ったのか」で表示のされ方が変わり得る点が重要です(医療者が患者の表示を見て推定する際の落とし穴になります)。
増粘安定剤の領域では、複数の多糖類を併用した場合に「増粘多糖類」という簡略名が用いられることがある一方で、加工デンプンやCMCなどは一括表示できない、といった運用上のルールも紹介されています。
医療現場での実務に落とすなら、患者が持参した食品・サプリのラベルを見て、次の順で確認すると説明が整理しやすいです。
- 「添加物」欄があるか(ある場合、用途名表示が使われることがある)。
- 「増量剤」「増粘多糖類」などの用途名が書かれているか(“何のための添加か”を示す)。
- その上で、具体名が併記されているか(例:セルロース、デキストリン等)。
増量剤 食品の安全性評価:公定書、GMP、摂取量の現実
安全性の説明では、「毒性の有無」よりも「どの規格に基づき、どう管理され、どれくらい摂るのか」をセットにすると、医療者としての説得力が上がります。日本では食品添加物公定書(例:第9版)が整備され、名称や試験法などが体系化されています。
この“公定書の存在”は、患者の「得体が知れない粉が入っている」不安に対して、「規格と試験に基づいて扱われている成分が多い」という説明の土台になります。
また、医療従事者向けの注意点として、増量剤は食品分野だけでなく医薬品分野でも一般概念として存在し、目的(製剤化、安定化など)で用語が似ているため混同が起こります。医薬品の添加物は“医薬品に添加される物質”であり、食品添加物とは枠が違う、という整理は患者のサプリ併用相談でも有用です。
参考)医薬品添加物とは?種類や使用条件、安全性に関して詳しく解説│…
“あまり知られていないが現場で効く”ポイントとして、患者が「無添加=安心」と言うとき、その“無添加”が何を指すか(保存料なのか、着色料なのか、増量剤なのか)が曖昧なことが多い点があります。サプリ製造の解説でも、増量剤等を使わずに作ること自体は可能だが、品質や製造技術・狙う賞味期限などの事情で添加が増えるケースがある、という文脈が示されています。
このため、患者説明では「ゼロか100か」ではなく、次のように分解すると建設的です。
- 目的:成形・充填・安定化のためか(“ごまかし”目的とは限らない)。
- 体質:糖質制限、FODMAP、下痢しやすさ等で相性が変わる可能性がある(症状ベースで確認)。
- 量:摂取目安量に対して増量剤が主成分になっていないか(“主成分と増量剤の逆転”の視点)。
増量剤 食品の独自視点:患者説明で効く「3つの質問」
検索上位の一般的な解説は「何に入っているか」「危険か安全か」に寄りがちですが、医療現場では“患者の目的とリスクを短時間で仕分ける質問”が一番役立ちます。そこで独自の運用提案として、増量剤が気になる患者には次の3質問で会話を組み立てると、不要な不安を減らしつつ必要な注意も拾えます。根拠のベースは「添加は品質・製造上の目的がある」こと、そして「糖質系素材は摂り方で血糖などに影響し得る」ことです。
- 質問1:その食品(サプリ)で“何を改善したい”ですか?(目的が曖昧だと不安だけが増える)。
- 質問2:摂取後に腹部症状(膨満、下痢、便秘)や血糖の体感変化はありますか?(糖質系の増量剤を疑う入口になる)。
- 質問3:ラベルで「原材料名」と「添加物」欄を一緒に見ましたか?(表示枠の違いが誤解の原因になりやすい)。
この3質問の良い点は、増量剤そのものを“断罪”せずに、患者の体験(症状)と表示(制度)と目的(必要性)を同時に扱えるところです。
特に糖質管理中の患者では、マルトデキストリン等が「主成分ではないが複数の食品から積み上がる」ことがあり得るため、サプリ単体ではなく1日の摂取全体で評価するよう促すと、現実に即した指導になります。
(表示制度の根拠:一般飲食物添加物の位置づけ・表示の考え方)
有用:一般飲食物添加物の表示の根拠(通知別添の位置づけ)
(規格の根拠:食品添加物公定書の体系と試験法の存在)
有用:食品添加物公定書(第9版)総則・一般試験法など、規格の枠組みの確認
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000192874.pdf

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