前庭神経核 どこ
前庭神経核 どこ:橋と延髄移行部と第四脳室での位置
前庭神経核は、脳幹のうち「橋と延髄の境目(橋・延髄移行部)」を中心に、延髄上部から橋の領域へ連続して広がる大きな灰白質の核群です。
局在の言い方を臨床向けにまとめるなら、「第四脳室底(菱形窩)に沿う背側外側、前庭神経野の深部に並ぶ核の集まり」と説明すると、画像がなくてもイメージしやすくなります。
さらに“どこまで広がるか”というレンジは、外転神経核のやや吻側から舌下神経核吻側部レベルまで、という表現が解剖学的な目安になります。
前庭神経核 どこ:上核と外側核と内側核と下核(4亜核)の配置
前庭神経核は大きく、上核・外側核・内側核・下核の4亜核に分類されます。
上核は第四脳室の外側壁寄りに位置し、背側に上小脳脚がある、という「背側構造とのセット」で覚えると迷いにくいです。
外側核は巨大細胞(Deiters細胞)で有名で、外側前庭脊髄路の起始核として語られやすい一方、背側部と腹側部で入力様式が異なる(一次前庭神経の投射を受けない領域がある)点は、教科書的な一枚絵だけでは見落とされがちです。
前庭神経核 どこ:前庭神経と内側縦束と外転神経核のつながり
「前庭神経核がどこか」を現場で問われる状況の多くは、実は“どの経路の中継点か”の確認です。
前庭神経核は末梢前庭からの一次求心性入力だけでなく、対側前庭神経核や小脳、脳幹網様体など多彩な入力を受け、外眼筋の運動神経核(動眼・滑車・外転)や視床などへ投射します。
眼球運動系への投射は内側縦束(MLF)を介することが重要で、局在の説明では「第四脳室底近傍の前庭核群—MLF—外眼筋核」という“線での理解”が、めまい・眼振の病態把握に直結します。
前庭神経核 どこ:前庭脊髄路(外側と内側)と姿勢制御の臨床対応
前庭神経核の出力で、医療従事者が押さえたい代表が前庭脊髄路です。
外側前庭脊髄路(LVST)は主に外側前庭神経核(Deiters核)から起こり同側性に下行し、姿勢保持、とくに抗重力筋群への影響としてまとめられます。
内側前庭脊髄路(MVST)は内側核・下核などから起こり、頸髄レベルを中心に両側性に下行して前庭頸反射に関与する、と整理すると「体幹・下肢優位か、頸部優位か」の臨床像に結び付けやすくなります。
前庭神経核 どこ:意外に役立つ“病巣推定”の独自視点(嘔気と自律神経)
前庭神経核は平衡・眼球運動だけでなく、自律神経系の諸核とも線維連絡があるため、めまい患者の「嘔気・冷汗・動悸」などを“付随症状”で終わらせず、中枢前庭ネットワークの一部として説明できます。
この視点を持つと、末梢性めまいでも中枢性めまいでも「症状が強い=末梢/中枢」と短絡せず、前庭核群が統合する入力(小脳・網様体・脊髄など)と出力(眼球運動・脊髄・視床)を丁寧に棚卸しする臨床推論につながります。
また、外側核の背側部のように“一次前庭神経が投射しない領域が存在する”という事実は、前庭核を単なる一次中継核として扱う説明の限界を示し、リハや回復機序(中枢適応)の説明を厚くする材料になります。
臨床背景(前庭脊髄路・前庭頸反射、4亜核の機能分担)の参考。
解剖(橋・延髄移行部、4亜核、入力・出力の全体像)の参考。
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%89%8D%E5%BA%AD%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E6%A0%B8