善玉菌の種類と医療従事者が知るべき健康効果

善玉菌の種類

善玉菌の分類と特徴
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主要善玉菌

ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌など多種多様

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医療応用

プロバイオティクスとして臨床活用

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腸内バランス

悪玉菌と日和見菌との最適な比率維持

善玉菌のビフィズス菌と主要特性

ビフィズス菌は腸内細菌の最優勢菌群の一つで、大腸内に生息する代表的な善玉菌です。酢酸や乳酸を産生することで腸内環境を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑制する重要な役割を担っています。

参考)https://shop.mizkan.co.jp/blogs/fiber/good-bacteria

医療現場では、ビフィズス菌の投与により整腸作用のほか、免疫機能の強化が期待されています。特に注目すべきは、ビフィズス菌が産生する短鎖脂肪酸や乳酸が腸内を弱酸性にするだけでなく、腸の免疫活性や粘膜のバリア機能を高める作用があることです。

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最近の研究では、加熱殺菌したビフィズス菌でも抗ストレス効果が認められており、生菌だけでなく死菌の医療応用も期待されています。軽度認知障害患者に対するビフィズス菌摂取により認知機能改善効果が報告されるなど、従来の整腸作用を超えた多様な健康効果が明らかになっています。

参考)加熱殺菌したビフィズス菌が抗ストレス効果をもたらす—医薬品等…

善玉菌の乳酸菌の種類別機能性

乳酸菌は主に小腸の下部から大腸にかけて生息し、糖から乳酸を産生する菌群です。代表的な乳酸菌には、サーモフィルス菌、ラクトコッカス菌、アシドフィルス菌、カゼイ菌、ヘルベティカス菌などがあり、それぞれ異なる特性を持っています。

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サーモフィルス菌は粘質物を形成することで、ヨーグルト製造時の硬さや離水防止に寄与します。ラクトコッカス菌は凝乳作用をサポートし、チーズやサワークリームの製造に使用されています。

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免疫機能の向上において、ラブレ菌やガセリ菌、R-1乳酸菌などが特に注目されており、風邪やインフルエンザの予防効果が期待されています。これらの乳酸菌は周辺環境を弱酸性に保つことで悪玉菌の繁殖を抑制し、腸内環境の改善に貢献しています。

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善玉菌の酪酸菌による健康維持機能

酪酸菌は大腸内に生息し、酪酸を産生する菌の総称です。酪酸菌の最も重要な特徴は、他の善玉菌との共生により酪酸の産生量が増加することです。
酪酸菌が産生する酪酸は、免疫細胞に働きかけて腸の炎症を軽減する可能性があることが研究報告されています。また、乳児期の酪酸産生が多い場合、アトピーや喘息の発症リスクが軽減することも報告されており、アレルギー性疾患の予防において重要な役割を果たします。

参考)https://shop.mizkan.co.jp/blogs/fiber/clostridium-butyricum

酪酸には腸のpHを下げて悪玉菌の過剰増殖を抑制する作用があり、さらに腸のぜん動運動を刺激することで便通改善にも寄与します。酸やアルカリ、熱、抗菌薬に対する耐性があることも酪酸菌の特徴的な性質です。

善玉菌のバクテロイデス菌と免疫調節

バクテロイデス菌は人の腸内細菌叢を占める割合の多い菌で、難消化糖類を利用して生育できる特性を持っています。肥満の人ではバクテロイデス菌が減少していることが知られており、肥満予防における重要な指標となっています。

参考)Vol.119(3) 健康・栄養に関する学術情報 「バクテロ…

バクテロイデス菌は免疫機能調節において特に重要な役割を果たしており、IgA抗体の産生に関与していることが研究により明らかになっています。ノトバイオートマウスを用いた試験では、バクテロイデス菌が小腸免疫器官であるパイエル板におけるIgA抗体の産生誘導能を示すことが確認されています。
バクテロイデス門の細菌が食べ物を分解する際に排出される短鎖脂肪酸は、脂肪細胞に働きかけて脂肪の取り込みを抑制し、肥満を防ぐ効果があります。このため、バクテロイデス菌は「ヤセ菌」としても注目されています。

参考)https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/146.html

善玉菌のアッカーマンシア菌による次世代プロバイオティクス効果

アッカーマンシア・ムシニフィラは、腸の粘液層(ムチン)を分解してエサにするユニークな腸内細菌で、近年「究極の善玉菌」として注目されています。この菌は腸の粘膜を適度に刺激して粘液の産生を促し、腸壁を厚く強化する働きがあります。

参考)アッカーマンシア菌・フィーカリバクテリウムで腸内環境改善 -…

アッカーマンシア菌は腸上皮細胞間のタイトジャンクションと粘液層におけるバリア機能を高める作用があるため、血管内へのリポ多糖類の侵入を防ぎます。これにより代謝性エンドトキシン血症による慢性炎症を抑制し、メタボリック症候群や糖尿病の予防が期待できます。

参考)オーソモレキュラー医学会

成人32名を対象とした研究では、アッカーマンシア菌の死菌群でプラセボ群よりも総コレステロール、体重、脂肪重量、ヒップ周囲などが低下することが確認されています。また、PD-1阻害剤の作用を増強させる効果も報告されており、がん治療における補助的な役割も期待されています。

参考)【気になる菌シリーズ】アッカーマンシア・ムシニフィラについて…

2021年には、低温殺菌されたアッカーマンシア菌が「肥満をコントロールする食用菌」として欧州食品安全機関(EFSA)に承認されるなど、国際的にも医療応用への期待が高まっています。

参考)内視鏡医師の知識シリーズ – 福岡の苦しくない内視鏡専門医療…