薬剤調整料とはと算定要件と点数

薬剤調整料とは

薬剤調整料とは:最初に押さえる3点
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何を評価する点数か

薬局の「調剤技術」に関する評価のうち、薬剤の調製・監査など“対物業務”を点数化したものを中心に整理します(用語の混同が多い領域です)。

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算定要件の核

薬の区分(内服・屯服・外用・注射等)と「1剤」「1調剤」「1処方」の数え方が実務の要点です。

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よくある誤り

加算(無菌製剤処理加算、自家製剤加算、計量混合調剤加算等)との関係、記録要件、併算定可否の理解不足がトラブル要因になります。

薬剤調整料とはの定義と調剤技術料

 

薬剤調整料(実務上は「薬剤調製料」として扱われることが多い領域)は、薬局で行う薬剤の調製・取り揃え・監査といった基本的な対物業務を評価するための点数体系として理解されます。

近年の改定では「調剤料の廃止」を背景に、薬剤の種類・区分ごとに算定点数が整理され、薬局現場の業務の“何に点数が付いているのか”が見えやすくなる一方、名称の混同(薬剤“調整”と薬剤“調製”)が起こりやすい点に注意が必要です。

医療従事者向けの説明では、「調剤基本料(薬局の基本体制の評価)」と「薬剤調製料(調製という作業の評価)」は別物であり、薬剤調製料は医薬品区分によって点数が変わる、という切り分けが最初の理解の近道です。

薬剤調整料とはの点数と内服薬と外用薬

点数表では、例えば内服薬は「1剤につき(3剤分まで)24点」、外用薬は「1調剤につき(3調剤分まで)10点」、屯服薬は「21点」など、区分ごとに評価単位(1剤/1調剤/1回)が明確に定められています。

ここで重要なのは、内服薬の“1剤”と外用薬の“1調剤”は同じ数え方ではないため、処方設計(例えば同一成分の剤形違い、用法違い、混合の有無)によって算定の見え方が変わることです。

また、浸煎薬や湯薬、内服用滴剤など頻度が高くない区分も点数表に載っているため、該当処方が来たときに「例外扱いで見落とす」ことがないよう、院内・薬局内で早見表を整備しておくと安全です。

薬剤調整料とはの算定要件と注射薬

注射薬については、点数表上「処方箋受付1回につき26点」とされ、日数や調剤数に依存しない評価として整理されています。

加えて、注射薬の無菌調製が絡む場合には、無菌製剤処理加算の対象(中心静脈栄養用輸液、抗悪性腫瘍剤、麻薬を含む注射薬の混合・充填など)と点数が別立てで示されており、薬剤調製料とは別レイヤーで管理するのが実務的です。

なお、無菌製剤処理加算は改定で算定要件が追加された例があり(麻薬の注射薬を無菌的に充填し製剤する場合の追記など)、院内手順書・クリーンベンチ運用・記録様式の見直しを、改定年に合わせて必ず行う必要があります。

薬剤調整料とはの加算と自家製剤加算

薬剤調製料そのものに加えて、調製の難易度・手間・リスクに応じた加算が設計されており、代表例として「麻薬等加算」「自家製剤加算」「計量混合調剤加算」「無菌製剤処理加算」が点数表に並びます。

自家製剤加算は、剤形(内服・屯服・外用)や製剤内容によって点数が異なり、例えば内服薬では「7日分につき20点(錠剤等)」などの形でルール化されています。

意外に見落とされがちなのは、供給不足への配慮として自家製剤加算の算定基準が緩和された改定が紹介されている点で、供給不安定な薬剤が絡む場合ほど「代替手段としての製剤」と「算定可否」の両面を同時に点検する必要があります。

薬剤調整料とはの独自視点:監査リスクと疑義解釈

独自視点として強調したいのは、薬剤調整料(薬剤調製料を含む周辺点数)は“作業が発生したら自動で算定”と誤解されやすい一方で、実地指導・返戻・監査の観点では「点数表の単位(1剤/1調剤/1回)の読み違い」が最も説明困難なミスになりやすい点です。

さらに、厚生労働省の疑義解釈資料は、特定項目の取扱い(施設基準の考え方や、過去の問の廃止など)が更新されることがあり、運用の前提が静かに変わることがあります。

薬局内では、①改定時の変更点(加算要件追加や例外)②疑義解釈の更新(廃止・読み替え)③自薬局の算定ロジック(レセコン設定と手運用)の3つを同じタイミングで突合する“点検日”を設けると、ヒヤリハットを早期に潰せます。

厚労省の疑義解釈資料(改定後の運用の考え方、取扱いの変更・廃止が確認できる)

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001581579.pdf

日本薬剤師会の調剤報酬点数表(薬剤調製料・無菌製剤処理加算・各種加算の点数が一覧で確認できる)

https://www.nichiyaku.or.jp/files/co/pharmacy-info/2024/24.pdf

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