薬局 分譲依頼書
薬局 分譲依頼書の位置づけと「譲渡・譲受」
薬局の「分譲依頼書」は、他薬局から医療用医薬品を譲り受ける(譲受)/譲り渡す(譲渡)際に、必要な確認事項と記録を1枚に集約するための実務書類です。薬局間の譲受・譲渡は、薬局開設者・管理薬剤師・薬剤師が関係者として順守事項を踏まえて運用することが求められています。特に重要なのは、相手方薬局や医薬品情報を「正確に確認し、書面に残し、保存する」ことです。
薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドライン【概要】(日本薬剤師会・日本保険薬局協会・日本チェーンドラッグストア協会)では、譲受・譲渡の確認・記録・保存を一連の安全管理として整理しています。特段の規制がある医薬品(麻薬等)を除く医療用医薬品を対象にした自主基準である点も押さえておくと、院内の手順書化が進めやすくなります。
また、現場では「分譲=融通」「少量だから簡単でよい」と誤解されがちですが、ガイドライン上は同一法人内であっても順守(双方保存)が明記されており、内部取引でも“書面を省略しない”設計が安全です。さらに、譲受側が「管理状況に疑念がある場合は仕入れの経緯や管理状況を確認する」という視点は、単なる事務処理ではなく品質保証の考え方そのものです。分譲依頼書を「在庫調整の道具」ではなく「トレーサビリティ確保の最低限セット」と再定義すると、記入文化が定着します。
薬局 分譲依頼書に必須の記録事項(医薬品名・規格・製造番号・使用期限)
分譲依頼書で最もミスが起きやすいのが「医薬品情報の粒度」です。ガイドラインでは、医薬品に関する情報として、製造販売業者、医薬品名、規格、数量、製造番号・記号、使用期限(有効期間)を記録することが整理されています。ここが曖昧だと、同一成分・類似規格の取り違い、期限の読み落とし、ロット不明による回収対応の遅れに直結します。とくにロット(製造番号・記号)と使用期限は、後から問い合わせが来たときに「依頼書に書いていない=現物を見ないと不明」になり、再確認のコストが跳ね上がります。
実務上は、分譲依頼書の様式に「医薬品名・規格/製造販売業者名/数量/製造番号・記号/使用期限/薬価/小計金額/分譲価格」などが並ぶ形式が多く、規制区分等(向・毒・劇・要処方・習慣性・日局)に○を付ける欄を設ける例もあります。これは、単に分類を“飾り”で付けるのではなく、受け渡し時の注意喚起(例:向精神薬の取り扱い注意、毒劇の表示確認、要処方の管理)をその場で再点検する仕組みとして機能します。八尾市薬剤師会の「医療用医薬品 譲渡・譲受 書(調剤専用)」のように、記載の日から3年間保存する注意書きや領収書部分まで一体化した様式もあり、監査対応の一貫性を作りやすいです。
意外に見落とされるポイントとして、「直接の容器・被包を開いた分割販売」に該当する場合は、表示の特例(施行規則第216条)で求められる「調剤専用」等の表示確認が絡みます。つまり、分譲依頼書は“書いて終わり”ではなく、現物の表示・包装状態・添付文書の有無を確認したことを裏付ける役割も持ちます。現場ルールとしては、受け取った時点で「ロット・期限・規格」を現物と突合し、その場で訂正できる運用(電話→FAX→対面受領時の最終確認)にしておくと事故が減ります。
薬局 分譲依頼書の保存期間と「対面」運用(3年間保存)
分譲依頼書は、作成したら終わりではなく「保存」までが業務です。ガイドラインでは、譲受側・譲渡側の双方で、必要事項を記載した書面を「記載の日から3年間保存」することが整理されています。この“双方保存”が重要で、どちらか片方だけの保管だと、監査・照会時に記録の整合性が取れず、結果的に両者のリスクになります。保存媒体は紙でもPDFでもよいですが、改ざん防止・検索性・アクセス権(誰が閲覧できるか)まで含めて「薬局内の手順書」に落とし込むのが実務的です。
また、譲受・譲渡は「当該薬局の従事者が対面により、譲渡側(販売・授与)の薬局で行う」という整理がされています。ここはコストや手間の観点で省略したくなる箇所ですが、対面で行うことには、医薬品の包装状態・表示・数量の目視確認、受取者の本人確認、必要ならその場での疑義解消(ロットや期限の読み間違い等)という意味があります。言い換えると、対面運用は“受け渡し事故の最終バリア”です。
分譲依頼書の保管運用で、現場に効くチェック項目を箇条書きで整理します。
✅ 書面の保存
・分譲依頼書(原本またはスキャン)を3年間保存する(譲受・譲渡の双方)。
・検索キーを最低限統一する(年月日/相手薬局名/医薬品名)。
✅ 対面受領の記録
・受取者名(窓口対応者・受領者)を必ず残す。
・受領時にロットと使用期限を現物と照合したことを明文化する(チェック欄でも可)。
✅ 例外ルール
・過去に取引実績があり相手が適法な薬局であることを既に確認している場合、確認の一部を簡略化し得る整理もあるため、どこまで省略するかを薬局内で固定する(担当者の裁量にしない)。
このように「保存」と「対面」をセットで運用すると、分譲が増える繁忙期でも書類品質が落ちにくくなります。
薬局 分譲依頼書での薬局開設許可証(写)と本人確認(身分証明書)
分譲依頼書運用で“最も揉める”のが、相手方確認と本人確認です。ガイドラインでは、譲渡人は譲受人に薬局開設許可証(写)の提供を求め、受取者に本人確認を行うなど正確な情報確認を行い、確認できない場合は譲渡しないことがポイントとして示されています。これは、医薬品が適正流通から逸脱していないことを担保するための入り口です。言い換えると、許可証写しと本人確認は「相手が薬局であること」「来た人が関係者であること」を二段階で担保する仕組みです。
現場では、電話で在庫確認→FAXで分譲依頼書送付→取りに来る、という流れが多いですが、取りに来た人が誰か(薬剤師なのか事務なのか、委任を受けているのか)が曖昧だと事故が起きます。たとえば「名刺は不可、社員証はOK」のように、本人確認資料の扱いが具体的に書かれている解説もあります。本人確認の厳格さは“面倒”に見えますが、後から「誰に渡したか」を証明できないことの方が、はるかに重いリスクになります。
ここでの実務のコツは、分譲依頼書の欄に「薬局開設許可番号」「受取者」「窓口対応者」を入れるだけでなく、運用として次を固定することです。
🔍 本人確認の固定ルール例
・初回取引:許可証写し+受取者の身分証明書提示を必須。
・継続取引:許可証写しは年1回更新(または変更時)+受取者の本人確認は毎回。
・代理受領:委任の確認(社内ルールで可)+受取者を依頼書に必ず記録。
さらに、地域の薬剤師会が運用している「分譲・備蓄センター」では、依頼書に規格・単価・金額・合計金額まで記入して取り違い防止に活用するなど、事務項目が安全対策として組み込まれています。こうした運用を参考にすると、自薬局の分譲依頼書も「監査のための書類」ではなく「現場の取り違いゼロのための帳票」に変わります。
(参考:分譲依頼書の記載項目や申込の注意がまとまっているページ)
分譲・備蓄センター(分譲依頼書作成の注意、会員外の事前申込など)
薬局 分譲依頼書の独自視点:インボイス登録番号と手数料の設計
検索上位の解説では「何を書けばよいか」「保存期間」「本人確認」に焦点が当たりやすい一方、実務でじわじわ効いてくるのが“会計・税務と帳票の一体化”です。例えば、譲渡・譲受書の様式例には領収書欄が付いており、「手数料 330円」や「インボイス登録番号」の記載欄が設けられているものがあります。これは、分譲が単なる物々交換ではなく、価格設定・手数料・消費税の扱いを伴う運用になり得ることを示唆します。つまり分譲依頼書は、薬務・品質だけでなく、経理・監査の整合性を同時に満たす帳票として設計すると、後工程の揉め事(請求の根拠、税込計算、領収の出し忘れ)が減ります。
現場の意外な落とし穴は、「薬価」「分譲価格(10円単位切り上げ)」のようなローカルルールです。ルールが曖昧なまま担当者ごとに運用すると、同じ相手でも請求金額が変わり、信頼関係を損ねます。そこで、分譲依頼書の段階で次のような“会計項目の固定”をしておくと強いです。
💡 会計まわりの固定項目(例)
・分譲価格の算定根拠(薬価準拠/実費/手数料込み等)を薬局内で統一。
・消費税の扱い(内税・外税)と端数処理を明文化。
・領収書発行の要否と、インボイス登録番号の記載運用を決める。
この視点は、医薬品の安全管理と直接関係なさそうに見えて、実際には「書面を残す」「後から追跡できる」ことを強化します。分譲依頼書を“薬務+経理+監査”の交点として作り込むと、スタッフ交代や多店舗展開でも運用が崩れにくいのがメリットです。なお、様式上のインボイス欄や領収書欄の存在は、八尾市薬剤師会の様式例からも確認できます。
医療用医薬品 譲渡・譲受 書 「調剤専用」(領収書・インボイス欄を含む様式例)
(ガイドラインの根拠法令・記録事項・保存期間が整理され、院内手順書化のベースになる)
薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドライン【概要】

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