v型外斜視 手術 下斜筋 過動 水平筋

v型外斜視 手術

v型外斜視 手術の要点
🔎

V型の原因は1つではない

下斜筋過動だけでなく、水平筋附着部異常などが重なると術式が変わるため、術前・術中評価が重要です。

🧠

術中に“見え方”が変わる

術前の斜筋過動が、実は水平筋附着部異常による見かけ(シミュレート)である可能性が報告されています。

🛡️

合併症を前提に設計

充血、感染、術後複視、まれな眼内出血・網膜剥離などの説明と、術後生活指導をセットで組み立てます。


<% index %>

v型外斜視 手術の原因:下斜筋 過動と水平筋 附着部 異常

v型外斜視は、上方視と下方視で水平斜視角が変化する「A-V型斜視(A-V現象)」の枠組みで理解すると整理しやすい病態です。

病因は斜筋機能異常だけで説明できないことがあり、水平筋附着部異常など複数因子が関与しうる点が臨床上の落とし穴になります。

とくに、A-V型斜視手術例を対象にした検討では、A-V型斜視141例中で水平筋附着部異常が49.6%に認められたと報告され、想像以上に「筋の付き方」が関与する可能性が示されています。

参考)302 Found

同報告では、V型斜視では下斜筋過動を高率に認めた、と整理されており、V型外斜視の手術計画では下斜筋の評価が主軸になりやすい一方で、水平筋の“構造的要因”も同時に疑う必要があります。

また重要なのは、術前検査で「斜筋過動」と見えた所見の一部に、水平筋附着部異常による“見かけの斜筋機能異常”が含まれ得る、という指摘です。

この視点を持つと、術前に下斜筋過動が目立つ症例でも、術中所見で水平筋附着部を確認したうえで、trick operation(水平筋付着部を上下に移動させる考え方を含む手技)や斜筋減弱術の組み合わせを再評価する、という戦略が合理的になります。

実務的な術前の整理としては、少なくとも以下を同一フレームで記録すると議論が噛み合います。

  • 上方視・下方視での水平斜視角の差(V型の量)​
  • 下斜筋過動の程度、上斜筋不全の有無(V型で併存し得る)​
  • 回旋の関与(見かけの付着部偏位を疑う場面がある)​

v型外斜視 手術の術式:外直筋 後転と下斜筋 手術の組み合わせ

一般的な外斜視手術の骨格として、外直筋を弱める(例:両外直筋後転術)や、外直筋を弱め内直筋を強める前後転術が用いられる、という整理は多施設で共有されています。

上下成分やパターン成分が絡む場合には、下斜筋の切除などが一般的に行われる、という説明も患者向け資料レベルで明確に示されています。

V型外斜視では「水平手術+下斜筋」へ思考が寄りやすいものの、術前の下斜筋過動が強く見えても、水平筋附着部異常が背景にあると、水平筋の垂直方向の偏位(付着のズレ)自体がVパターン形成に関与している可能性があります。

同報告では、V型斜視において内直筋上方偏位・外直筋下方偏位が多いなど、Vパターンの理論と一致する偏位が示されており、術中の付着部確認が治療方針に影響し得ます。

さらに、水平筋附着部異常が疑われる/確認された症例では、偏位した付着部を上下に移動縫着する(trick operation)を施行し、上方視・下方視の差が大きいものや斜筋過動が強いものに斜筋減弱術を併用した、という運用が紹介されています。

ここで臨床的に“意外”なのは、trick operationのみでも斜筋過動の減弱効果が一部で観察されている点で、斜筋過動が必ずしも斜筋単独の問題ではない可能性を補強します。

手術戦略をチーム内で共有する際は、術式名の羅列よりも、狙っている作用点(水平偏位の是正なのか、パターン差の縮小なのか、下斜筋過動そのものの減弱なのか)を明文化すると、術後の評価が一貫します。

特に「水平筋の前後転」と「付着部の上下移動」の混同はディスカッションを壊すので、オーダー用紙や術前カンファで用語を統一すると安全です。

v型外斜視 手術の術中所見:perilimbal approachと水平筋 確認

A-V型斜視の治療方針決定では、手術時に水平筋付着部を確認する必要性がある、と明確に述べられています。

その理由は、術前診断の斜筋機能異常の中に、水平筋附着部異常による“見せかけ”が含まれる可能性があるためで、術中の実見が診断を更新し得るからです。

同報告では、この確認のために結膜切開はfornix incisionよりperilimbal incision(perilimbal approach)が適切である、と記載されています。

つまり、V型外斜視の手術は「予定術式を実行する」だけでなく、「水平筋の付着部を観察し、必要なら計画を微修正する」という二段構えの設計が推奨される、という含意になります。

臨床的には、以下のような場面で“術中確認の価値”が上がります。

  • 術前の下斜筋過動が左右差大で、説明がつきにくいとき。​
  • V型の量が大きいのに、斜筋所見が軽い/不整合なとき。​
  • 既手術眼で、過去の付着部や瘢痕の影響が疑われるとき(術式選択がより複雑化しやすい)。​

また、水平筋附着部異常の偏位は半筋幅程度の軽度が多いが、軽度でもA-V型の差が大きくなり得る、と述べられており、「ズレが軽いから無視できる」とは限らない点が注意点です。

v型外斜視 手術の合併症:複視 充血 感染と術後 指導

斜視手術では術後1か月程度の充血がある、と一般向けにも明記されています。

合併症としては、麻酔薬アレルギー、感染、術後に物が二重に見える(複視)可能性が挙げられ、複視に対してはアイパッチやプリズムを用いることがある、とされています。

また、非常にまれだが眼内出血や網膜剥離を起こす可能性がある、という説明も含まれており、説明文書には希少重篤事象まで含めた記載が望まれます。

術後の注意点として、感染予防の観点から「1週間は眼および周囲を洗えない」「スポーツや屋外作業は1週間控える」「プールや温泉は1か月控える」など、具体的な制限が提示されています。

V型外斜視は小児症例も多く、保護者の実行可能性(洗顔・入浴・登園/登校・部活動)まで踏み込んで説明しないと遵守率が落ちやすいため、生活導線に合わせた指導文の作成が実務上の工夫になります。

医療従事者向けの運用では、術後複視を「異常の兆候」としてだけでなく、「眼位が変わった結果として一時的に顕在化し得る症状」として説明するかで、患者の不安と受診行動が変わります。

そのうえで、プリズムや遮閉の適応、いつまで経過観察しどの時点で再評価するか(外来フォロー設計)までテンプレ化すると、説明の質が均一化します。

v型外斜視 手術の独自視点:術前の下斜筋 過動は“真”か“見かけ”か

V型外斜視の診療では「下斜筋過動→下斜筋手術」という短絡が起きやすい一方で、術前に観察された斜筋機能異常の中に、水平筋附着部異常による“見せかけの斜筋機能異常”が含まれる可能性がある、と報告されています。

この視点は検索上位の一般解説では省かれがちですが、術式選択と再手術率(少なくとも“術式ミスマッチ”)に影響するため、医療従事者向け記事では強調する価値があります。

実際、水平筋附着部異常の存在はA-V型斜視の約半数で報告されており、しかも“偏位方向”は理論上のA-V形成機序と一致していた、とされています。

つまり「斜筋所見がある=斜筋が主因」とは限らず、水平筋側の構造・付着が斜筋過動に似た運動パターンを作る可能性を前提に、術中確認を組み込むべき、という結論が導けます。

この“真か見かけか”を現場で言語化するために、カルテ記載を次のように分けるとチームの意思決定が速くなります。

  • 観察所見:下斜筋過動(grade)、V型差(上方視/下方視の差)、回旋の有無。​
  • 仮説:斜筋機能異常が主因の可能性/水平筋附着部異常が関与する可能性。​
  • 計画:術中に水平筋付着部を確認し、所見でtrick operationや斜筋減弱の配分を調整する。​

参考:A-V型斜視で水平筋附着部異常・斜筋機能異常の頻度、見かけの斜筋機能異常、perilimbal approachの必要性

https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/JJOS_PDF/95_698.pdf

参考:斜視手術の一般的な術式(外斜視の外直筋後転など)、下斜筋切除、合併症と術後注意点の具体例

https://www.sugita.or.jp/operation/squint.html