ヴィーンDとフィジオ35の違い

ヴィーンDとフィジオ35の違い

ヴィーンDの成分構成と特徴

 

ヴィーンD輸液は、酢酸を含むリンゲル液にブドウ糖を配合した製剤です。500mLあたりブドウ糖25g（200kcal/L）を含み、ナトリウム130mEq/L、カリウム4mEq/L、カルシウム3mEq/L、クロール109mEq/L、酢酸ナトリウム28mEq/Lで構成されています。この組成により、電解質濃度が血漿とほぼ同じ等張溶液となっており、投与後に細胞外液に留まり循環血液量の補給に優れています。ヴィーンDに含まれるブドウ糖は飢餓時を除き脳細胞と赤血球の唯一のエネルギー源であり、全組織で利用されるため、栄養補給の観点からも重要な役割を担っています。

フィジオ35の組成と維持液としての役割

フィジオ35は、生理食塩液と5％ブドウ糖液を配合した3号液（維持液）に分類されます。一般的に1500～2000mLの投与で1日に必要な電解質と水分を補給できるよう設計されており、カリウムを含む低張電解質輸液です。ヴィーンDのような細胞外液補充液と異なり、細胞外液だけでなく細胞内液にも水分・電解質を届ける特性を持っています。食事・水分摂取が不足している患者さんや軽度の脱水状態の水分・電解質補給に適した製剤であり、長期的な維持管理に用いられることが多いです。

ヴィーンDが適用される臨床場面

ヴィーンDは細胞外液補充液として位置付けられるため、急性期の患者管理に用いられます。出血などによる循環血液量の減少時、ショック状態で血圧が低下しているとき、急速な水分喪失が生じている場合など、細胞外液を迅速に補充する必要がある場面での使用が想定されています。また、術中・術後の初期段階で輸液管理が必要な患者さんにも選択されることが多いです。ヴィーンDに含まれるブドウ糖による栄養補給と、酢酸イオンによる代謝性アシドーシスの是正効果も臨床的メリットとなります。

フィジオ35が選択される臨床背景

フィジオ35を含む3号液（維持液）は、患者さんの日常的な水分・電解質補給を目的とした長期的な輸液管理に適用されます。入院患者さんで経口摂取が困難な場合、軽度から中程度の脱水状態にある患者さん、または腎機能がある程度保たれている安定期の患者さんの維持管理に選択されることが多いです。1500～2000mLの投与で1日分の電解質と水分がカバーされるため、投与量の計算と管理が比較的シンプルであり、看護現場での実用性も高くなっています。

ヴィーンDとフィジオ35の選択基準における重要ポイント

ヴィーンDとフィジオ35を選び分ける際の重要な判断基準は、患者さんの病態の急性度と水分補給の目的です。循環血液量が急速に減少している状態や、血圧が低下しているなど緊急的な細胞外液補充が必要な場合はヴィーンDが選択されます。一方、安定期にあり日常的な水分・電解質の維持管理のみが必要な場合はフィジオ35が適切です。また、腎機能が低下している患者さんではカリウム含有量の少ないヴィーンDが適切な場合もあり、個別の患者背景に基づいた判断が求められます。電解質濃度と浸透圧環境への作用の違いを理解することで、より適切な輸液選択が可能になります。

ヴィーンD輸液の医薬品インタビューフォーム – 興和株式会社による詳細な成分情報と臨床応用
ヴィーンD輸液とヴィーンF、ヴィーン3Gの違いについての公式情報

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