鬱サプリメント
鬱サプリメントとセントジョーンズワートのエビデンス
医療現場で「鬱サプリメント」として最も話題になりやすいのが、ハーブのセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)です。厚生労働省eJIMの医療者向け情報では、セントジョーンズワートは何世紀にもわたりメンタルヘルスに用いられてきた一方、うつ病に対する有効性のエビデンスは確固たるものではない、という立て付けが明確に示されています。

臨床で重要なのは、「効く・効かない」の二択に落とすよりも、患者が“効果がありそう”と感じて継続しやすい背景(自然由来、処方が要らない、口コミでの拡散など)を理解した上で、リスクを具体的に言語化して共有することです。eJIMの同ページでも、サプリメントは重篤な副作用の可能性があり、通常医療の代わりに用いたり受診を先送りしたりしないよう注意喚起しています。

また「欧州ではうつ病に広く処方される」という文脈は、患者にとって強い説得材料になりますが、同時に“医薬品的に扱われ得るほど作用がある”ことの裏返しでもあります。作用がある以上、併用禁忌・併用注意に準じた安全設計が必要で、ここを曖昧にすると薬剤性のトラブルが起こります。患者説明では、「サプリだから弱い」ではなく「サプリでも薬に影響する成分がある」と具体例で伝えると理解が進みます(例:代謝が変わって薬の効き目が落ちる)。

鬱サプリメントと相互作用:医薬品の効果減弱
セントジョーンズワートの最大の論点は相互作用です。eJIMでは、セントジョーンズワートが多くの薬の効果を減弱させる可能性があること、そして薬効のわずかな変化でも重篤な合併症につながり得る点が強調されています。

さらに、eJIMの「うつ病に対するセントジョーンズワートについて知っておくべき5つのこと」では、経口避妊薬、ジゴキシン、一部のHIV薬や抗がん剤などを例に、処方薬の有効性が制限される可能性に触れています。患者が「気分のためのサプリ」として飲み始めても、実際に問題になるのは“別目的の薬”であることが多く、ここが見落とされがちです。

現場対応としては、問診の粒度がすべてです。患者は「薬は飲んでいない」と言いながら、避妊薬、外用以外の慢性薬、頓用薬、漢方、そしてサプリを“薬ではない”カテゴリで申告しないことがあります。薬歴聴取では「処方薬」より先に「健康食品・サプリ」「海外通販」「ハーブティー」まで含めて尋ねると拾えます。
加えて、重要な“意外な落とし穴”が中断です。厚労省の注意喚起(セント・ジョーンズ・ワートと医薬品の相互作用)では、特定の薬を服用中でSJW含有食品を摂取している患者が、急な摂取中止により好ましくない症状が現れるおそれがあるため十分な注意が必要、とされています。つまり「飲み始め」だけでなく「急にやめる」ことでも、薬物動態が揺れて危険域に入る可能性があり、ここは患者教育の要点になります。
鬱サプリメントと抗うつ薬:セロトニン関連副作用
セントジョーンズワートは、抗うつ薬との併用で「セロトニンに関連した副作用が増加し、重篤になる恐れ」があるとeJIM(医療者向けハーブ情報)で説明されています。患者側は「気分に良いもの同士」を足し算しがちですが、医療者側は“作用点が重なる可能性”として引き算で評価する必要があります。

同様に、eJIMの解説ページでも、セントジョーンズワートとある種の抗うつ薬の併用により、抗うつ薬が標的としている脳内化学物質であるセロトニンが生命を脅かすほど上昇する可能性がある、と明記されています。ここは「危
