兎眼症 手術 適応と術式と術後管理

兎眼症 手術 適応と基本方針

兎眼症手術の全体像
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適応判断のポイント

保存的治療から手術介入に切り替えるタイミングと、原因別にみた兎眼症の評価ポイントを整理します。

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代表的な術式の整理

ゴールドプレート挿入や瞼板縫合、羊膜移植など、臨床で遭遇しやすい術式の特徴と注意点を概観します。

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術後管理とチーム医療

ドライアイ対策、角膜保護、リハビリを含めた多職種連携の実際をまとめます。

兎眼症 手術 適応判断と保存治療の限界

 

兎眼症の手術適応を検討する際には、まず角膜障害の程度(上皮障害、びらん、潰瘍、穿孔リスク)と自覚症状(痛み、異物感、羞明)を中心に評価し、保存的治療でどこまでコントロール可能かを見極めることが重要になります。

人工涙液やヒアルロン酸点眼、眼軟膏、湿室眼帯、夜間テーピングなどの保存治療で角膜上皮の安定が得られない場合、手術介入の検討時期と捉えるのが一般的です。

特に顔面神経麻痺に伴う兎眼症では、自然回復が期待できる急性期か、麻痺が固定した慢性期かで戦略が大きく変わるため、発症からの期間や神経伝導検査の結果をもとに、手術のタイミングを慎重に判断する必要があります。

一方で、重度の角膜潰瘍や穿孔に至るリスクが高い症例では、麻痺の回復を待たずに、まず角膜保護を優先した手術(タールソラス縫合、羊膜移植など)を選択するケースも少なくありません。

兎眼症 手術 ゴールドプレート挿入と他の上眼瞼術式

上眼瞼側の手術として代表的なのが、上眼瞼皮下へのゴールドプレート(またはプラチナプレート)挿入術で、重みを利用して受動的な閉瞼を得る方法です。

ゴールドプレート挿入は、顔面神経麻痺による麻痺性兎眼に対して広く行われており、眼輪筋機能の回復が見込みにくい症例でも、比較的安定した閉瞼効果が期待できます。

一方で、プレートの位置異常や突出、感染、アレルギー反応などの合併症が知られており、タールソラス縫合や挙筋後転術など、他の上眼瞼手術と比較して患者背景に応じた選択が求められます。

挙筋後転術は、眼瞼下垂術後の過矯正や甲状腺眼症などに伴う兎眼症で、挙筋の作用を弱めて閉瞼しやすくすることを目的としており、機能温存を図りながら兎眼を改善できる点が特徴です。

また、美容目的の二重手術や吊り上げ術後に生じた眼瞼外反性兎眼では、挙筋操作だけでは不十分なことも多く、皮膚・瞼板・支持組織を含めた再建手術が必要となる症例も報告されています。

兎眼症 手術 下眼瞼外反矯正と瞼板縫合・皮弁術

下眼瞼の外反や下制が主体の兎眼症では、瞼板縫合術(瞼板吊り上げ)や外側カンソプラスティーなど、下眼瞼の支持力を高める術式が中心となります。

瞼板縫合術は、下眼瞼皮膚を切開して瞼板を骨膜などに縫合し、外反を矯正する方法で、高齢者に多い弛緩性眼瞼外反や、慢性的な結膜曝露に伴う兎眼症で標準的に用いられます。

瘢痕性兎眼では、単純な縫合操作だけでは改善しないことが多く、瘢痕切除に加えて皮弁形成や皮膚移植、粘膜移植を組み合わせることで、眼瞼の可動性と閉瞼機能を再建していきます。

眼窩減圧術は、甲状腺眼症などで眼球突出が著明な場合に有効で、眼窩骨や脂肪を切除して眼球を後退させることで、兎眼そのものを軽減しつつ、角膜曝露面積を減少させることを目的とします。

外傷性兎眼では、眼輪筋欠損や皮膚欠損が背景にある症例も多く、側頭筋移行術などの再建術を併用することで、静的な閉瞼だけでなく、ある程度の動的閉瞼を回復させた報告もあります。

兎眼症 手術 角膜保護のための羊膜移植・角膜移植

兎眼角膜炎が進行し、角膜上皮欠損や潰瘍が難治化している場合には、角膜表面の再生と保護を目的に羊膜移植が検討されます。

羊膜移植には、角膜実質上に羊膜を貼付する「羊膜グラフト」と、角膜欠損部に充填する「羊膜充填術」があり、病変の深さや広がりによって選択が変わります。

羊膜には抗炎症作用や上皮化促進作用が期待され、兎眼症の根本原因を完全に解決できなくても、角膜障害の進展を抑え、視力予後の改善に寄与することが知られています。

角膜実質が広範囲に障害され、穿孔や瘢痕混濁によって視機能が大きく損なわれている症例では、角膜移植が検討されますが、術後も兎眼が残存する場合には、眼瞼側の追加手術が必須となる点に注意が必要です。

意外な点として、重度の兎眼症例で一時的にタールソラス縫合(上下眼瞼を部分的に縫合して閉瞼させる処置)を行い、その間に羊膜移植や角膜治療を集中的に行う「段階的アプローチ」が有効であった報告もあり、救急外来や集中治療室での応用が議論されています。

兎眼症 手術 リハビリ・QOL支援と医療者の独自視点

兎眼症の手術後も、完全な閉瞼が得られないケースや、涙液動態が変化してドライアイが遷延するケースは少なくなく、点眼スケジュールの最適化や、環境調整(加湿、風の回避、PC作業時のブレイク)など、日常生活レベルでの支援が重要になります。

特に医療従事者が見落としがちなのが、兎眼症患者の睡眠の質で、就寝中の角膜乾燥を恐れて眠りが浅くなり、慢性疲労や集中力低下につながるケースがあるため、ナイトアイシールドやテーピングの実際の使用感を踏まえた指導が求められます。

顔面神経麻痺に伴う兎眼症では、表情筋の非対称性が心理的ストレスや対人不安を増悪させることも多く、術前・術後に心理面への配慮や、必要に応じてカウンセリングやピアサポートにつなぐことが、QOLの観点からは見過ごせません。

また、医療者側の独自視点として、ゴールドプレート挿入や皮弁術の瘢痕が、将来的な再手術や他科(形成外科・美容外科)での処置に影響する可能性を念頭に置き、初回手術時から「次の一手」を想定した切開線・デザインを検討しておくことが、長期的な治療戦略として重要になります。

最近では、J-Stageなどで報告されているような側頭筋移行術や、新しい材料を用いたインプラントの検討も進んでおり、従来の「静的再建」だけでなく、表情と瞬目を少しでも動的に再建する試みが、若年症例や社会復帰を目指す患者にとって大きな意味を持つと考えられています。

兎眼症の原因や一般的な治療、手術適応の整理に役立つ総説的な情報です(兎眼症 手術 適応判断の参考リンク)。

兎眼について 医師解説(Medical DOC)

兎眼角膜炎に対する羊膜移植・瞼板縫合・眼窩減圧など、角膜と眼瞼の手術が表形式で整理されています(兎眼症 手術 術式整理の参考リンク)。

兎眼角膜炎と手術治療(高田眼科)

顔面神経麻痺に伴う兎眼症に対する静的再建の実際や症例写真が掲載されており、術式選択やタイミングのイメージに役立ちます(兎眼症 手術 顔面神経麻痺関連の参考リンク)。

顔面神経麻痺の外科的治療(横浜市立大学形成外科)

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