兎眼性角膜炎 治療 点眼とテーピングと手術戦略

兎眼性角膜炎 治療 点眼と手術

兎眼性角膜炎治療の全体像
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角膜保護と乾燥予防

人工涙液やヒアルロン酸点眼、眼軟膏で角膜上皮を保護しながら、露出を最小限に抑えるアプローチを整理します。

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テーピングと治療用コンタクト

テーピング固定や治療用コンタクトレンズ、眼帯など、物理的な角膜保護手段の選択と注意点をまとめます。

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手術と全身疾患の評価

羊膜移植や眼瞼縫合などの手術適応に加え、顔面神経麻痺や眼窩病変など原因疾患への対応を解説します。

兎眼性角膜炎 治療 方針と重症度評価

 

兎眼性角膜炎の治療では、まず「角膜上皮障害の深さ」と「露出範囲」を軸に重症度を評価し、そのうえで保存的治療と手術的治療のどこまでを行うかを決めることが重要です。

軽度の点状表層角膜症レベルであれば、1〜2週間程度の点眼・軟膏中心の治療で治癒が期待できますが、中等度以上では3〜4週間以上の経過をみることも多く、早期から物理的な角膜保護を併用する必要があります。

重症度は、蛍光色素染色での上皮欠損の深さや広がりに加え、シルマー試験やBUT測定など涙液の評価を組み合わせると、乾燥の寄与を含めた実態を把握しやすくなります。

また、顔面神経麻痺による閉瞼不全か、甲状腺眼症などによる眼球突出かといった「兎眼の原因」を早期に押さえることで、局所治療だけでなく原因治療の優先度も明確にできます。

基礎疾患の自然経過や改善見込みも、治療の侵襲度を決めるうえで鍵となります。顔面神経麻痺では半年〜1年で回復する例も少なくないため、可逆性が見込める症例では、まずは局所ケアと一時的な角膜保護を重視し、永続的な外科的矯正は慎重に検討することが推奨されます。

兎眼性角膜炎 治療 点眼と眼軟膏の使い分け

兎眼性角膜炎の保存的治療の中心は、人工涙液、ヒアルロン酸点眼薬、眼軟膏などによる角膜の保湿と上皮保護であり、日中と夜間で使い分けることが実臨床では重要です。

日中は防腐剤を含まない人工涙液やヒアルロン酸点眼薬を頻回に使用し、涙液層を補うことで乾燥と摩擦を減らし、上皮の修復を促します。

夜間は閉瞼不全により角膜乾燥が進みやすいため、油性の眼軟膏を塗布しておくことで、睡眠中の角膜露出を緩和し、起床時のびらんや疼痛を予防できます。

角膜に濁りや強い炎症が伴う場合は、ステロイド点眼薬を短期的に併用することもありますが、ステロイドは感染をマスクする可能性があるため、抗菌点眼薬や抗菌軟膏と組み合わせ、定期的な観察の下で使用することが重要です。

参考)https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/kansen2-5.pdf

感染リスクが高い、あるいはすでに感染性角膜炎を合併している場合には、角膜掻爬による検体採取と並行して、広域にカバーできる抗菌点眼を高頻度点眼するプロトコルが一般に推奨されます。

重症の感染性角膜炎では、眼局所投与に加えて全身投与を行うケースもあり、兎眼性角膜炎であっても角膜感染を認めた場合には、一般の感染性角膜炎と同様の厳格な治療体制が必要になります。

兎眼性角膜炎 治療 テーピングと治療用コンタクトレンズ

点眼や軟膏のみでは露出が十分にコントロールできない場合、テーピング、眼帯、治療用ソフトコンタクトレンズ(バンデージコンタクト)が「角膜保護」の柱となります。

テーピングはまぶたを物理的に閉じることで露出面積を減らし、眼帯は外力・乾燥から角膜を守る役割を果たしますが、皮膚の脆弱な高齢者ではテープかぶれや皮膚剥離を起こしやすく、素材選択と貼付方法の工夫が欠かせません。

治療用コンタクトレンズは、角膜表面に物理的なバリアを作ることで、まばたき時の摩擦を軽減し、上皮修復を促す効果が期待されます。

一方で、レンズ装用は微生物付着のリスクを増やすため、抗菌点眼の併用と定期的なレンズ交換、眼表面所見のチェックが重要であり、免疫抑制状態の患者では慎重な適応判断が求められます。

重症の点状表層角膜炎や、兎眼を伴う症例では、一時的に眼瞼縫合(タールソラフィー)を行い、機械的に閉瞼を確保するという選択肢もあります。

参考)点状表層角膜炎とは

その際、術後数日で創縁が癒着するため、4〜5日程度で抜糸して再開瞼し、必要であれば再度縫合を行うという古典的な術後管理も報告されており、長期に縫合しっぱなしにしない工夫が視機能の維持に寄与します。

参考)手術メモ(IV) (臨床眼科 3巻10号)

兎眼性角膜炎 治療 手術と羊膜移植・眼瞼形成の実際

保存的な兎眼性角膜炎 治療で改善が乏しい重症例では、羊膜移植や角膜移植など角膜自体への手術、眼瞼形成術や眼窩減圧術など原因に応じた外科的治療が検討されます。

羊膜移植は、母体の羊膜を角膜表面に移植して上皮欠損を覆う方法であり、角膜潰瘍や穿孔例では、羊膜を「代用角膜実質」として充填するテクニックも用いられ、上皮の再生と疼痛軽減に寄与します。

角膜移植は、穿孔や瘢痕が高度で視力予後が大きく損なわれている症例に適応され、ドナー角膜を用いて病的角膜を置換しますが、手術侵襲や拒絶反応、術後乱視などのリスクがあり、保存的治療や羊膜移植で対応できない症例に限って慎重に選択されます。

一方、眼瞼側の手術としては、瘢痕性兎眼に対する皮弁形成術、眼球突出が原因の兎眼に対する眼窩減圧術などがあり、まぶたや眼窩の解剖学的異常を是正することで、露出の根本的な改善を図ります。

参考)https://www.acuvue.com/ja-jp/memamori/eye-health/51/

顔面神経麻痺による兎眼では、神経回復を待つ間の一時的な眼瞼縫合や、金属ウェイトを上眼瞼に挿入して閉瞼を補助する手術が選択肢となることもあります。

参考)兎眼(症状・原因・治療など)|ドクターズ・ファイル

特に長期の麻痺が予想される場合、角膜保護と整容性のバランスをとりながら、患者の生活の質に配慮した術式選択が求められ、初回から「完全閉瞼」ではなく「部分タールソラフィー」を選ぶなどの細かな工夫が実践されています。

兎眼性角膜炎 治療 ICU・在宅でのアイケアと看護の独自ポイント

ICU入室患者や重症児など、全身管理下で意識レベルが低い症例では、兎眼性角膜炎が「サイレント」に進行しやすく、看護師主導の早期介入プロトコルが重要な役割を果たします。

重症患者では、機械的刺激を避けつつ、定期的なフルオレセイン染色で露出性角膜症(exposure keratopathy)をチェックし、発症前は看護師判断によるアイケア、発症後は標準化された医師指示下での管理へ移行する二段階の運用が提案されています。

在宅や介護施設では、テーピングや眼帯が継続的に必要になることも多く、本人が自己管理できない場合、介護者に対して「点眼の頻度」「軟膏の量」「テープの貼り方」を図や写真を用いて具体的に指導することが、治療アドヒアランスと角膜保護の両立に直結します。

参考)兎眼(よくある目の病気 6) | 京橋クリニック眼科

意外なポイントとして、眉毛や睫毛へのテープ固定位置を少し変えるだけで皮膚トラブルが減る、夜間だけ湿潤環境を保つゴーグル型保護具を併用するとテーピング回数を減らせるなど、小さな工夫が長期ケアの負担軽減に役立つことが報告されています。

参考)https://www.med.tottori-u.ac.jp/jushoji/files/23451.pdf

また、兎眼性角膜炎の患者は、ドライアイや点状表層角膜炎など他の表層疾患を合併しやすいため、単に「閉じない目」への対処にとどまらず、全体の眼表面環境を整える視点が重要です。

そのため、医師・看護師・視能訓練士・在宅スタッフが、点眼スケジュール、保護具の選択、再診タイミングなどを共有し、多職種で「角膜を守るチーム」を組むことが、再発や重症化を防ぐうえでの実践的な鍵となります。

参考)https://www.jseptic.com/nursing_paper/np_70.pdf

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