ウロビリノーゲンプラスマイナスの意味と診断的意義

ウロビリノーゲンプラスマイナス判定の基本

ウロビリノーゲン検査の概要
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基本的定義

ビリルビンが腸内細菌で分解された代謝産物の尿中での検出

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正常範囲

±(プラスマイナス)が基準値、健常人でも微量存在

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診断価値

肝胆道系疾患のスクリーニング検査として重要

ウロビリノーゲンプラスマイナス判定の生理学的意味

ウロビリノーゲンプラスマイナス(±)判定は、尿検査における重要な指標の一つです 。健康な人でもわずかに尿中にウロビリノーゲンが検出されるため、この±判定が基準値として設定されています 。

参考)尿検査・便検査|鶴川記念病院|医療法人社団三医会

ウロビリノーゲンは、肝臓で作られるビリルビンという色素が腸内細菌によって分解されて生成される物質です 。正常な生理状態では、ビリルビンが胆汁として十二指腸に排泄され、腸内細菌の作用でウロビリノーゲンに還元されます 。

参考)尿ウロビリノーゲン検査

生成されたウロビリノーゲンの大部分は便として排泄されますが、一部は腸管から再吸収され肝臓に戻り(腸肝循環)、さらに少量が腎臓から尿中に排泄されます 。健常人では1日あたり0.2~3.3mg前後が尿中に排泄されるとされています 。

参考)検尿で異常と言われたら?

ウロビリノーゲン検査における試験紙法の特性

尿ウロビリノーゲン検査は主に試験紙法による定性検査が行われており、この方法には特有の特性があります 。試験紙法では色の変化で結果判定を行うため、陽性の場合は色が変わることで異常を検出できますが、陰性の場合は判定が困難という限界があります 。

参考)尿ウロビリノゲンとは? – 人間ドックと検診予約サイト EP…

通常の人間ドックでは、±(偽陽性)から+(弱陽性)の範囲が正常とされ、++(強陽性)以上が異常値として考えられます 。この検査は0点の実施料で行える簡便な検査として、肝胆道系障害のスクリーニングに広く活用されています 。

参考)https://www.pluswellness.com/dictionary/checkup/002001.html

基準値の設定において、完全に陰性(-)を示すことは必ずしも正常ではなく、むしろ胆道閉塞などの疾患を示唆する可能性があります 。このため、微量の検出を示すプラスマイナス判定が生理的正常範囲として設定されているのです。

参考)尿ウロビリノーゲン(尿検査) – セントラルクリニックグルー…

ウロビリノーゲン陽性時の肝胆道系疾患診断

ウロビリノーゲンが陽性(+以上)を示す場合、複数の肝胆道系疾患が鑑別診断として挙げられます 。急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝がんなどの肝実質障害では、肝機能低下により正常なウロビリノーゲン代謝が障害され、尿中排泄量が増加します 。

参考)尿ウロビリノーゲン(尿)

溶血性黄疸も重要な鑑別疾患です 。溶血性黄疸では、赤血球の大量破壊により大量のビリルビンが生成され、肝臓の処理能力を超えた分がウロビリノーゲンとして尿中に排泄されます 。細菌感染や抗原抗体反応などが原因となることが多いです。
腸閉塞や便秘などの消化器疾患でも陽性を示すことがあります 。これらの状態では、腸内でのウロビリノーゲンの正常な排泄が阻害され、血中への再吸収が増加するためです。陽性の場合は重大な病気の可能性があるため、速やかに専門医を受診する必要があります 。

ウロビリノーゲン陰性時の胆道閉塞性疾患の診断

ウロビリノーゲンが陰性(-)を示す場合は、胆道閉塞性疾患が強く疑われます 。胆石症胆道がん、総胆管閉塞などにより、ビリルビンが腸管に到達できなくなると、ウロビリノーゲンの生成が阻害されます 。
胆石症の診断と治療に関するMSDマニュアル

胆石症の診断方法と治療選択肢について詳細に記載されています

閉塞性胆道疾患では、胆汁の流れが悪くなることでビリルビンの十二指腸への排泄が阻害され、結果としてウロビリノーゲンの生成が減少します 。完全な胆道閉塞があると、便は正常色を失って薄い灰色(粘土色の便)になることも特徴的な所見です 。

参考)ウロビリノーゲン[じんラボ]

抗菌薬の大量投与も陰性の原因となることがあります 。これは腸内細菌叢の変化により、ビリルビンからウロビリノーゲンへの変換が阻害されるためです。薬剤性の変化と器質的疾患を鑑別するため、薬歴の詳細な確認が重要となります。

ウロビリノーゲン検査結果の総合的解釈と臨床応用

ウロビリノーゲン検査の結果は、他の肝機能検査や臨床症状と総合的に判断することが重要です 。特に尿ビリルビンとの組み合わせ解釈は診断的価値が高く、ウロビリノーゲン減少・尿ビリルビン陽性の組み合わせは胆汁通過障害を示唆します 。

参考)尿ウロビリノゲン、尿ビリルビン

💡 臨床応用のポイント

  • ウロビリノーゲン増加・尿ビリルビン陰性:非抱合型ビリルビン産生亢進
  • ウロビリノーゲン減少・尿ビリルビン陽性:胆道閉塞の可能性
  • 両者とも陽性:肝実質障害の可能性

検査結果の解釈においては、患者の症状、既往歴、服薬状況を考慮する必要があります。また、尿の濃縮状態や採取時間なども結果に影響を与える可能性があるため、適切な検体採取条件の確認も重要です 。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/3902f72604e05c3225b851a92d7d0c5bee057a5a

黄疸の病態生理と診断に関する看護師向け解説

ビリルビン代謝とウロビリノーゲンの関係について分かりやすく説明されています

定期的なフォローアップ検査により、治療効果の判定や病態の進行評価に活用できます 。特に肝疾患患者では、ウロビリノーゲンの推移を観察することで、肝機能の改善や悪化を早期に検出することが可能です。無料でのフォローアップ検査を提供している施設もあり、患者の継続的な健康管理に貢献しています 。

参考)尿一般定性 ウロビリノーゲン|臨床検査項目の検索結果|臨床検…