透析用穿刺針 特徴と種類と安全

透析用穿刺針 特徴

透析用穿刺針の特徴:選定の要点
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ゲージ(太さ)と血流量

針が太いほど抵抗が下がり、設定血流量の達成やアラーム低減に寄与します。一方で穿刺痛や止血時間などのトレードオフもあります。

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針先形状(カット)の違い

ランセットカット・バックカット・ダルニードルなど、針先の設計で刺入感、皮膚・血管壁への影響、穿刺痕の傾向が変わります。

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安全装置と事故防止

針刺し防止や逸脱事故対策は「針の性能」だけでなく「固定・監視・手順」の設計が要です。安全機能付き穿刺針の活用も選択肢になります。

透析用穿刺針 特徴:ゲージと血流量と痛み

 

透析用穿刺針の最初の分岐は、ゲージ(G)=太さの選択です。一般的に透析では15G~18Gが用いられ、採血で多い21Gより太く、穿刺時の痛みを感じやすい傾向があります。

太い針は内腔が大きく、同じ条件なら流れやすくなります。具体例として、17G・16G・15Gで半径を用いた比較では、15Gは17Gより約2.8倍、16Gより約1.8倍「流れやすい」試算が提示されています(半径の4乗に比例する前提の説明)。

ただし「太ければ常に良い」ではありません。血流量(QB)の設定に対して、針径が合わないと実血流量の低下が起き得るという指摘もあり、少なくともQBに合わせたサイズ選択という観点が重要です。

参考)透析における穿刺の注意点 その2|CEさぼ

現場の意思決定としては、以下のように“目的”を先に固定すると迷いが減ります。

  • 設定QBを安定して回したい(脱血圧/返血圧アラームを減らしたい)→ 太めの検討余地
  • 皮膚が薄い、穿刺痛が強い、止血に時間がかかる→ 無理な太径化は避ける
  • シャント血管の状態(狭窄疑い、穿刺困難)→ 針径だけでなく穿刺角度・部位・針先形状も再評価

「意外に見落とされがち」なのは、ゲージ選択が“患者の痛み”だけでなく、“設定QBと実血流量の乖離”や“回路内凝固リスク”など運転の安定性にも波及する点です。針を細くしてアラームが増え、その結果として手技介入(触る回数)が増えると、感染・誤接続・逸脱のリスクを別経路で上げることもあるため、単純に「細い=優しい」と決め切らない方が安全です。

透析用穿刺針 特徴:針先形状(ランセットカット・バックカット・ダルニードル)

透析用穿刺針は「太さ」だけでなく、針先形状の設計思想が異なります。実務で遭遇しやすい分類として、ランセットカット加工、バックカット加工、ダルニードル(ボタンホール用)が挙げられています。

針先形状の違いは、刺入時の切れ味、穿刺痕、皮膚・血管壁への作用の出方に影響し得ます。特にダルニードルはボタンホール穿刺で用いられる“先端が鈍い針”で、毎回同じ穿刺ルート(トンネル)を通して血管に至る方法として説明されています。

ボタンホールは、通常穿刺と設計が異なるため、同じ「穿刺針」でも評価軸が変わります。痛みが少ない、穿刺が容易、血管へのダメージが少ないといったメリットが語られる一方、トンネル管理(感染を含む)や手技の標準化が重要になります。

参考)ボタンホール(穿刺)

製品情報の例として、ボタンホール関連製品では「通常の透析針より先端とエッジを鈍くしたボタンホール専用針」や「全体がプラスチック製で透明カヌラにより確認しやすい」などの特徴が挙げられています。

参考)https://med.nipro.co.jp/med_eq_category_detail?id=a1U1000000b52zOEAQ

針先形状に関する“独自の見方”としては、穿刺技術の評価を「刺さった/刺さらない」ではなく、「穿刺痕の質(皮膚の割れ方)」「抜針後の止血のしやすさ」「次回の同部位穿刺の難易度」まで含めて記録し、針の種類変更の根拠にすることです。針先形状を変えると穿刺感は変わりますが、真に効いてくるのは2~4週スパンの皮膚・血管の反応であることが多く、短期の印象だけで評価を固定しない方がブレません。

参考)初心者にオススメ!透析でのシャント(VA)穿刺 穿刺針の種類…

透析用穿刺針 特徴:ボタンホールとダルニードル

ボタンホール穿刺は、皮膚表面からシャント血管壁までの間に“固定された穿刺ルート(ボタンホールトンネル)”を作り、そのルートに先端が鈍い針(ダルニードル)を通して穿刺する方法として説明されています。

トンネルは、同じ箇所を複数回通常穿刺して作る方法や、専用キットを使う方法があるとされます。

ボタンホール用の製品群には、トンネル作製を簡便にする作製キット、ボタンホール専用の穿刺針などがあり、コンセプトとして“通常穿刺針との役割分担”が明確です。

臨床の落とし穴は、「ボタンホール=痛みが少ない」というイメージが先行し、トンネルの清潔管理や痂皮(かさぶた)対応など、感染予防の基本動作が“作業化”しやすい点です。穿刺が容易になるほど、手順の丁寧さが相対的に低下しやすいので、標準手順(誰がやっても同じ)を作ることが結局いちばんの安全装置になります。

参考リンク(ボタンホールの概念、トンネル、ダルニードルの説明)。

MediPress透析|ボタンホール(穿刺)

透析用穿刺針 特徴:安全装置と針刺し防止

透析関連の感染予防・安全の文脈では、穿刺針を「安全装置つきのものを用いる」こと、穿刺後の針はリキャップしないことなど、針刺し防止に関する記載があります。

また、透析用血液回路の標準化基準では、採血・注射に用いるアクセスポートは針刺し事故回避の観点からニードルレス等の安全デバイスを使用し、金属針を刺入して使用するニードルアクセスポートは禁止とする旨の説明があります。

つまり「透析の安全」は、穿刺針そのものの選定だけでなく、回路側の“針を使わない設計”も含めたシステムで達成する、という思想が一貫しています。

製品側の例としては、安全機構付きの透析針が流通しており、固定翼や回転翼、背面オリフィス等の設計特徴が示されています。

参考)https://www.medicalexpo.com/ja/prod/kb-medical-group/product-130404-1073600.html

ここでのポイントは、「安全装置=刺した後の話」になりやすいことです。穿刺針の安全機構は針刺し事故対策として有効ですが、透析中の大事故(大量出血)に直結しやすいのは“逸脱”なので、次のセクションの固定・監視とセットで語らないと片手落ちになります。

参考)https://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/19-3/19-3_5.pdf

参考リンク(穿刺針は安全装置付き、リキャップしない等の感染予防の考え方)。

日本透析医学会|透析施設における標準的な透析操作と感染予防(PDF)

透析用穿刺針 特徴:逸脱防止と固定と観察(独自視点)

透析中の穿刺針逸脱は、出血という形で短時間に重篤化し得るため、固定・観察・チェック体制が最重要課題の一つとされています。

逸脱防止の考え方として、確実な穿刺と固定方法の工夫、気泡検出感度・警報設定などを適切に行うことが挙げられ、さらにチェックシート運用、ペア穿刺、ダブルチェック・トリプルチェックといったチーム手順が紹介されています。

ここが「穿刺針の特徴」記事で“意外に刺さる”のは、穿刺針のスペック比較よりも、実際に事故を減らす要素が「固定・運用・監視」というプロセス側に多いからです。

独自視点としての提案は、穿刺針の選定を「固定の再現性」から逆算することです。つまり、針の翼(固定翼/回転翼など)の形状、チューブの取り回し、テープ固定のテンションが、同じ手順で“毎回同じ”になりやすい針・キットを優先します。

理由は単純で、固定が標準化しやすいほど、個人差(うまい人/慣れていない人)によるリスク差が縮まり、透析室全体の安全が上がるためです。

この観点でのチェック項目は、次のように整理できます(現場導入しやすい粒度に落とすのがコツです)。

  • 固定が崩れたときの“崩れ方”が予測できる(突然抜けるより、まず緩む等)
  • 体動が多い患者でもチューブ牽引が針に直結しにくい取り回しにできる
  • 観察点が明確(翼の位置、テープの浮き、出血サイン、圧アラームの変化)
  • 申し送りで共有できる言葉がある(「今日は返血側は回転翼で固定が安定」等)

参考リンク(穿刺針逸脱の防止対策、チェック体制や固定の工夫)。

日本透析医学会|穿刺針逸脱の防止対策(PDF)

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