透析用温度計と透析液温度
透析用温度計で透析液温度を確認する理由
透析装置は透析液を患者の体温に近い温度まで加温し、その温度制御と温度モニタリングを行いますが、臨床現場で重要なのは「装置が示す温度」だけでなく「ダイアライザ入口で実際に流れている透析液温度」です。
人工腎臓装置の技術基準では、透析液温度を37℃に設定し、温度が安定した後に供給する透析液温度を測定して精度を確認する試験方法が示されており、測定そのものが前提の発想になっています。
つまり透析用温度計は「念のための道具」ではなく、温度管理を“設定→監視→検証”の循環にするための道具です。
特に、装置内の温度センサ位置と、実際に患者側へ向かう流路(ダイアライザ入口)では、わずかな熱損失や混合条件の違いが出得ます。
その差が患者の寒気・不快感、血圧変動、透析低血圧への対応としての温度操作の効果判定を曖昧にするため、温度計による実測が活きます。
実測があると、例えば「37℃設定だが実測は36.2℃」「治療中に徐々に下がる」など、装置の状態変化を早めに見つけられます。
また、在庫の温度計を“体温計の代用”として使うのではなく、液温測定に適したプローブ・応答性・消毒耐性の観点で位置づけると、点検の質が上がります。
透析用温度計と温度設定と精度の基準
厚生労働省の資料(人工腎臓装置承認基準の技術基準)では、透析液温度を37℃に設定し、安定後に供給する透析液温度を測定し、温度精度は±0.8℃以内であることが判定基準として示されています。
この「±0.8℃」は装置の性能評価の基準ですが、現場の温度計測でも“誤差の許容幅”を考える目安になります。
つまり、透析用温度計で実測した値と装置表示がズレた場合に、単に「温度が違う」で止めず、①測定位置、②測定器の校正、③温度安定時間、④流量条件、のどこに原因があるかを切り分けるのが現実的です。
また、JIS原案として公開されている人工腎臓装置の個別要求事項では、透析液温度を37℃に設定し、ダイアライザ入口で温度を測定して30分記録する、といった評価手順が書かれています。
臨床で毎回30分記録は現実的ではありませんが、「測定位置=ダイアライザ入口」「一定時間の監視」という考え方は、日常点検や定期点検の設計にそのまま転用できます。
さらに、同文書では透析液・補充液の温度設定範囲を33~42℃の範囲外にできない(正当化がない限り)という要求もあり、温度の上限・下限が安全設計の中心にあることが分かります。
温度計を使う側も、単に“37℃かどうか”だけでなく、“許容範囲に収まっているか”“異常な方向へ漂っていないか”を見ます。
参考:人工腎臓装置の技術基準(透析液温度37℃設定、精度±0.8℃など)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001106021.pdf
透析用温度計で見るサーミスタとアラームと温度管理
透析用監視装置では、ダイアライザ入り側の液温度を専用のサーミスタで測定し、温度表示範囲は0.0~99.9℃、温度上限警報値の設定範囲が35.0~40.0℃のように設計されている例があります。
この「サーミスタ+上限警報」は装置内の保護システムの一部で、温度逸脱時にはアラーム作動と流れ停止などの安全状態へ移行する考え方が要求事項としてまとめられています。
ただし現場では、アラームが鳴らない範囲の“じわじわしたズレ”が問題になりがちです(患者の訴えが先に出る、血圧が崩れる、寒気で震える等)。
ここで透析用温度計の価値が出ます。アラームが作動する前の段階で、温度が下がり続ける、あるいは治療開始直後だけ温度がブレる、といった挙動を可視化できるからです。
また、透析液温度だけでなく「補充液温度(オンラインHDF等)」も同様の発想で管理され、温度の試験方法が定義されています。
温度計の運用としては、①治療開始前(温度安定後)、②治療中(患者が寒がる・血圧が不安定などのタイミング)、③洗浄・消毒後の最初の治療前、の3点で測ると“装置のクセ”が見えやすくなります。
測定時の注意点として、プローブ先端を確実に接液させる、流量や環境温度が大きく変動する状況では“安定待ち”を取る、といった基本動作が精度に直結します。
透析用温度計の選定と点検(透析液温度の現場実装)
個人用透析装置の仕様例でも、透析液温度計として0.0~50.0℃表示の項目があり、装置側が温度を表示・管理する前提が一般的です。
一方で、現場の透析用温度計(外部温度計)を選ぶときは、単に測れる範囲よりも「消毒に耐える」「応答が速い」「プローブ形状が測定位置に合う」「記録できる(ロガー機能)」といった要件が運用を左右します。
規格の試験手順では“ダイアライザ入口で測る”“30分記録”など、測定器の連続測定・記録の発想が含まれるため、点検用途ではロガー機能付き温度計が相性良い場面があります。
点検の組み立て例(入れ子にしない簡易版)
- 測定位置を固定する(例:ダイアライザ入口相当の透析液ライン、同じ接続条件)。
- 透析液温度を37℃設定、安定後に実測する(表示値と並べて記録)。
- 透析液流量や環境条件を可能な範囲で揃える(ズレの原因を減らす)。
- ズレが出たら、温度計の校正・電池・プローブ断線・装置側センサ周りの汚れ/結露を疑う。
温度計の管理としては「いつ校正したか」「どの現場で使ったか」「消毒方法」をログ化すると、測定値の信頼性が上がり、上司チェックにも耐えやすい文書になります。
さらに、透析装置のスペック上は透析液温度の調整範囲(例:30~40℃)を持つ製品もあるため、低温透析などの運用を行う施設では“設定値の幅”と“実測の再現性”をセットで評価するのが安全です。
透析用温度計と洗浄・消毒後の温度ドリフト(独自視点)
透析装置は内部の液体流路の清掃・消毒について取扱説明書に基づく運用が求められ、微生物管理プロセスや消毒手順の妥当性確認が要求事項として整理されています。
ここで見落とされがちなのが、洗浄・消毒の“直後”に温度が微妙に安定しにくくなるケースです。
理由は単純な故障だけでなく、流路内の残留液の温度、部材の熱容量、温度センサ周囲の濡れや熱伝達条件の変化など、複合要因で「表示は戻っているのに、ラインの実温が追随しない」状況が起こり得るためです。
このタイプのズレは、アラーム閾値を超えない範囲で発生しやすく、患者の体感(寒気)や血圧変動として先に現れることがあります。
そのため、洗浄・消毒工程の翌治療(または当日最初の治療)だけは、透析用温度計で透析液温度をスポットチェックし、トレンド(開始5分、15分など)を見る運用が“再発防止の仕組み”になります。
もしズレが再現性を持って出るなら、温度センサ(サーミスタ)周辺の状態、ヒータの挙動、温度制御の応答、流量条件の影響を、メーカー点検に繋げる材料にもなります。
「装置表示の温度が正しい前提」を疑うのではなく、「表示と実温の関係がいつ崩れるか」を温度計で把握する、という発想が現場の安全文化として有効です。

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