糖尿病性腎症 ステージ 症状 尿蛋白 eGFR

糖尿病性腎症 ステージ 症状

この記事で押さえる要点
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ステージは「尿アルブミン/尿蛋白」と「eGFR」で判定

糖尿病性腎症病期分類は、UACR(尿中アルブミン/Cr比)またはUPCR(尿蛋白/Cr比)とeGFRの組合せで整理されます。

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初期は自覚症状が乏しい

第1期〜第2期は「症状がない」こと自体が落とし穴で、検査設計とフォロー頻度が実務の差になります。

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eGFR30未満はアルブミン尿に関係なく重症側

eGFR30未満は尿所見を問わず第4期相当として扱い、鑑別診断と薬剤・栄養・腎代替療法の準備を急ぎます。

糖尿病性腎症 ステージ 分類 尿蛋白 eGFR

 

糖尿病性腎症の「ステージ(病期)」は、尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)または尿蛋白・クレアチニン比(UPCR)と、推算糸球体濾過量(eGFR)で定義されます。

2023年の改訂では、枠組み(カットオフ)は2014年の考え方を踏襲しつつ、病期名がCKD重症度分類や国際的な表記と整合しやすい名称へ整理されました。

臨床現場の説明では「尿(アルブミン/蛋白)=糸球体障害のサイン」「eGFR=腎機能の残り具合」という二軸で語ると、検査値の意味づけが患者にも伝わりやすくなります。

【病期の実務的な読み方(2023/2014の定義は同じ)】

参考)https://jsn.or.jp/academicinfo/ckd/dm_nephro.pdf

  • 第1期(正常アルブミン尿期):UACR 30未満 かつ eGFR 30以上
  • 第2期(微量アルブミン尿期):UACR 30〜299 かつ eGFR 30以上
  • 第3期(顕性アルブミン尿期):UACR 300以上 または UPCR 0.5以上 かつ eGFR 30以上
  • 第4期(GFR高度低下・末期腎不全期):eGFR 30未満(UACR/UPCRは問わない)
  • 第5期(腎代替療法期):透析療法中 または 腎移植

「eGFR30未満は尿所見にかかわらず第4期」とする点は、診療の優先順位(腎不全合併症評価、紹介のタイミング、腎代替療法の準備)を一気に切り替えるトリガーとして重要です。

また、正常アルブミン尿でも糖尿病性腎症の存在を否定できないこと、特にeGFR60未満では糖尿病性腎症“以外”のCKD鑑別が必要なことが明記されています。

参考:病期分類(2014改訂)の表と注意点(eGFR30未満の扱い、鑑別診断の重要性)がまとまっています。

https://jsn.or.jp/academicinfo/ckd/dm_nephro.pdf

糖尿病性腎症 ステージ 症状 むくみ 倦怠感

糖尿病性腎症はステージが進むまで自覚症状が乏しく、第1期・第2期では「ほとんど自覚症状がない」とされます。

一方で第3期以降になると、むくみ、息切れ、食欲不振、倦怠感など腎機能低下や体液貯留に関連する症状が目立ちやすくなります。

この“症状の出なさ”は患者の受療行動を遅らせるため、医療者側が「症状がない=安心ではない」を検査値で可視化し続ける必要があります。

【症状をステージで言語化するコツ】

参考)糖尿病性腎症|板橋区徳丸|糖尿病・腎・高血圧 ふくはら内科ク…

  • 第1〜2期:症状が乏しいため、尿アルブミン(または尿蛋白)の推移が主戦場。
  • 第3期:蛋白尿が目立ち始め、むくみ等が“出てきてしまう”段階として説明する。
  • 第4期:腎不全症状(倦怠感、食欲低下など)や合併症評価が中心となり、療養計画の密度が上がる。

なお「むくみが出た=腎症が進んだ」と短絡しないよう、心不全、薬剤(Ca拮抗薬など)、低栄養などの併存要因も同時に棚卸しすると説明の精度が上がります。

糖尿病性腎症 ステージ 症状 アルブミン尿 早期

2023年分類では、微量アルブミン尿が早期診断に必須のバイオマーカーであるだけでなく、顕性アルブミン尿への移行や大血管障害リスクとも関連する点が強調されています。

そのため、eGFRが60以上であっても微量アルブミン尿の“早期発見”が重要、と明記されています。

現場では「eGFRが保たれている=大丈夫」になりやすいので、UACRの位置づけ(腎臓だけでなく心血管リスクの鏡)として説明を統一するとチーム医療が回りやすくなります。

【見逃しやすいポイント(実務)】​

  • UACRは運動・発熱・尿路感染・月経などで変動し得るため、単回ではなく“持続性”で評価する。
  • 第2期判定は鑑別診断を行ったうえで診断する旨が注記されており、検査値だけで即断しない。
  • 「正常アルブミン尿期でも腎症を否定できない」ため、眼底所見や罹病期間、他合併症の文脈で総合判断する。

参考:2023年分類の定義・注釈(正常アルブミン尿でも否定できない、eGFR60未満の鑑別、シスタチンC eGFRの有用性など)が原文で確認できます。

https://cdn.jsn.or.jp/data/DKD2023.pdf

糖尿病性腎症 ステージ 症状 鑑別診断 CKD

糖尿病患者でeGFR60未満の場合はCKDに該当し、糖尿病性腎症以外のCKDが存在しうるため鑑別診断が必要だと整理されています。

また、eGFR30未満は尿アルブミン値/尿蛋白値にかかわらず第4期に分類されますが、特に正常アルブミン尿・微量アルブミン尿の場合は糖尿病性腎症以外のCKD鑑別が必要と明記されています。

この「尿がきれいなのにeGFRが落ちている」ケースは、医療者が“糖尿病だから腎症”と決め打ちしやすい一方で、診断の分岐点になりやすいのが実務の怖さです。

【独自視点:eGFRの“見かけ”を疑う(意外に効くチェック)】​

糖尿病性腎症の議論はアルブミン尿に目が行きがちですが、2023年分類の注記では「血清クレアチニンに基づくeGFR低下を認めた場合、血清シスタチンCに基づくeGFR算出で、より正確に腎機能を評価できる場合がある」とされています。

高齢者・低筋肉量ではクレアチニンが低く出やすく、逆に“腎機能が良く見える/悪く見える”両方のズレが起こり得るため、病期判定や薬剤調整の前に評価法の妥当性を確認する価値があります。

この観点をチームで共有しておくと、「ステージが急に悪化した」ように見える場面で、検査の再確認(採血条件、測定法、シスタチンC追加)という安全な一手が取りやすくなります。



月刊糖尿病 第151号(vol.15 No.4 2023)特集:糖尿病性腎臓病・腎硬化症の病態と診療