テルビナフィンの副作用
テルビナフィンの重篤な肝障害のリスク
テルビナフィンの最も注意すべき副作用は重篤な肝障害で、発現率は0.01%(1万人に1人程度)とされています 。 肝不全、肝炎、胆汁うっ滞、黄疸等が報告されており、死亡例も確認されています 。 投与開始後2カ月以内に発症することが多く、発疹、皮膚そう痒感、発熱、悪心・嘔吐、食欲不振、倦怠感等の随伴症状を伴います 。
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重篤な肝障害の早期発見のため、投与開始後2カ月間は月1回の肝機能検査を必ず実施し、その後も定期的な検査が必要です 。 γ-GTP、AST(GOT)、ALT(GPT)、LDH、ALPの上昇が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うことが重要です 。 患者には肝機能検査の重要性について十分説明し、だるさや黄疸などの自覚症状についても注意深く観察する必要があります 。
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テルビナフィンによる血液系副作用の監視
テルビナフィンは汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少などの重篤な血液系副作用を引き起こす可能性があります 。 これらの副作用も死亡例が報告されており、咽頭炎、発熱、リンパ節腫脹、紫斑、皮下出血等の随伴症状に注意が必要です 。 定期的な血液検査(血球数算定、白血球分画等)により早期発見に努める必要があります 。
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血液系副作用の発現頻度は比較的低いものの、一旦発症すると重篤化する可能性が高いため、患者には感染兆候や出血傾向について注意深く観察するよう指導することが重要です 。 白血球減少や貧血の検査値異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な治療を開始する必要があります 。 特に高齢者や既往歴のある患者では、より慎重な監視が求められます 。
参考)https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1105/20201012140338_7399_upd_pdf_tmp_doc_txt.pdf
テルビナフィンの消化器系症状と対処法
テルビナフィンの副作用で最も頻度が高いのは消化器症状で、胃部不快感が3.4%〜3.6%、腹痛が1.2%〜3.4%、下痢が2.3%の頻度で発現します 。 悪心も2.4%の患者で報告されており、これらの症状は投与初期に現れることが多いとされています 。 食後投与により消化器症状の軽減が期待できるため、必ず食後に服用するよう患者に指導する必要があります 。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00068677
胃部膨満感、食欲不振、口渇、嘔吐、舌炎なども報告されており、症状の程度により投与継続の可否を判断します 。 症状が軽微な場合は経過観察とし、症状が持続・悪化する場合には投与中止を検討します 。 胃薬との併用には注意が必要で、一部の薬剤では相互作用による血中濃度の変動が報告されているため、併用薬の確認が重要です 。
テルビナフィンによる皮膚症状とアナフィラキシー
テルビナフィンは重篤な皮膚症状として中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性全身性発疹性膿疱症、紅皮症(剥脱性皮膚炎)を引き起こす可能性があります 。 これらの重症薬疹は生命に関わる可能性があるため、発疹、紅斑、水疱等の皮膚症状が現れた場合には直ちに投与を中止する必要があります 。
参考)テルビナフィン錠125mg「タカタ」の効能・副作用|ケアネッ…
ショック、アナフィラキシーも報告されており、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行います 。 アナフィラキシーは急速に進行する可能性があるため、初回投与後は特に注意深い観察が必要です 。 過去にテルビナフィンでアレルギー症状を起こしたことがある患者には絶対に投与してはいけません 。
参考)テルビナフィン錠125mg「サワイ」の効能・副作用|ケアネッ…
テルビナフィンの横紋筋融解症と薬剤性過敏症症候群
テルビナフィンによる横紋筋融解症は頻度不明ながら重要な副作用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇(CPK上昇)、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とします 。 これらの症状が認められた場合には直ちに投与を中止し、急性腎不全の予防を含む適切な処置を行う必要があります 。 筋症状や脱力感を訴える患者では、CK値の測定を検討すべきです 。
参考)医療用医薬品 : テルビナフィン (テルビナフィン錠125m…
薬剤性過敏症症候群や亜急性皮膚エリテマトーデスも稀ながら報告されており、発熱、リンパ節腫脹、皮疹等の多彩な症状を呈することがあります 。 これらの症候群は診断が困難な場合があり、原因不明の発熱や皮疹が持続する場合には、テルビナフィンとの関連性を考慮する必要があります 。 早期診断と適切な治療により予後の改善が期待できるため、疑診例では専門医への相談も重要です 。
参考)テルビナフィンの特徴