テオフィリン徐放U錠徐放錠違い用法持続時間注意点

テオフィリン徐放U錠と徐放錠の違い

割線のあるテオフィリン徐放U錠200mgと400mgは分割してはいけません。

📋 この記事の3つのポイント
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持続時間で区別される2種類

12~24時間持続型(1日2回)と24時間持続型(1日1回)では用法が異なり、一般名処方での取り違えが多発しています

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治療域と中毒域が近接

有効血中濃度は5~20μg/mLで、20μg/mLを超えると中毒症状が出現する可能性があるため慎重な管理が必要です

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徐放製剤の取り扱い注意

割線がある製剤でも分割すると徐放性が失われ、急激な血中濃度上昇により副作用リスクが高まります

テオフィリン徐放錠の持続時間による分類

 

テオフィリン徐放製剤は持続時間によって2つのタイプに分類されています。この分類の違いを理解しないと、患者さんの服薬コンプライアンスを低下させるだけでなく、治療効果にも影響を及ぼす可能性があります。

12~24時間持続型に該当するのがテオドール錠やテオロング錠、そしてテオフィリン徐放錠「サワイ」「日医工」などのジェネリック医薬品です。これらは基本的に1日2回(朝食後と就寝前、または朝夕食後)の服用が原則となっています。製剤設計として約8時間から最大24時間かけて徐々に薬物を放出する構造になっており、1日を通して安定した血中濃度を維持するためには2回の投与が推奨されます。

一方、24時間持続型にはユニフィルLA錠、ユニコン錠、そしてテオフィリン徐放U錠「トーワ」が含まれます。

つまり「U」が重要な識別ポイントですね。

これらは1日1回(通常は夕食後または就寝前)の服用で24時間にわたって効果を持続させる設計になっています。特にユニフィルLA錠は「LA」が「Long Acting(長時間作用型)」を意味し、ユニコン錠の「ユニ」は「一つの(=1日1回)」という意味を含んでいるとされています。

ファーマシスタの記事では一般名処方での調剤ミスについて詳しく解説されています

この持続時間の違いは製剤学的な技術の差によるものです。24時間持続型は特殊なマトリックス構造やコーティング技術により、より長時間にわたって薬物を徐々に放出する仕組みを実現しています。そのため生物学的同等性試験においても、Tmax(最高血中濃度到達時間)やAUC(血中濃度時間曲線下面積)などの薬物動態パラメータが12~24時間持続型とは異なることが示されています。

医療従事者として注意すべきは、一般名処方の記載です。処方箋には「【般】テオフィリン徐放錠200mg(12~24時間持続)」または「【般】テオフィリン徐放錠200mg(24時間持続)」と明記されていますが、この括弧内の記載を見落とすと全く異なる用法の薬剤を調剤してしまうことになります。

テオフィリン徐放U錠の製剤学的特性

テオフィリン徐放U錠「トーワ」は、ユニフィルLA錠を標準製剤とした生物学的同等性が確認されているジェネリック医薬品です。この「U」は「Uni(ユニ=1つ)」を意味しており、1日1回投与を表す記号として使われています。

製剤学的な構造を見ると、テオフィリン徐放U錠は特殊なマトリックス構造を採用しています。有効成分であるテオフィリンが高分子ポリマーのマトリックス中に均一に分散されており、消化管内で水分を吸収しながら徐々に膨潤し、マトリックスの表面から中心に向かって段階的に薬物を放出していく仕組みです。

この製剤の重要な特徴として、200mg錠と400mg錠には割線が入っています。どういうことでしょうか?一見すると分割可能に見えますが、実際には分割してはいけない製剤なのです。2025年12月に東和薬品株式会社は、テオフィリン徐放U錠の添付文書を改訂し、「本剤は割線により分割して使用することはできない。本剤を分割・粉砕しないこと」という注意喚起を追記しました。

分割した場合の溶出試験データを見ると、分割前は規定通りの徐放性を示していたものが、分割後には初期の溶出速度が著しく増加し、徐放性が損なわれることが確認されています。具体的には、分割することでマトリックス構造が破壊され、薬物と溶出液の接触表面積が急激に増加するため、本来なら24時間かけて徐々に放出されるはずの薬物が短時間で大量に放出されてしまうのです。

これは患者さんにとって深刻なリスクです。テオフィリンの有効血中濃度域は5~20μg/mLと非常に狭く、20μg/mLを超えると悪心、嘔吐、頭痛、不眠、振戦、頻脈、不整脈などの中毒症状が出現する可能性があります。さらに重篤な場合には痙攣、意識障害、心室頻拍などの生命に関わる症状に進展することもあります。

日本呼吸器学会からも注意喚起が出されています

飲みにくさを訴える患者さんに対しては、錠剤を分割するのではなく、規格の小さい100mg錠への変更や、顆粒剤が選択可能な12~24時間持続型への切り替えを検討する必要があります。薬物動態が異なるため切り替えの際には処方医への疑義照会が必須です。

テオフィリン製剤の調剤時における取り違えリスク

薬局ヒヤリハット事例収集・分析事業の報告によると、テオフィリン徐放製剤に関する調剤過誤は毎年複数件報告されており、特に一般名処方が増加した2012年以降、その傾向が顕著になっています。

最も多い事例が「持続時間の異なる製剤の取り違え」です。例えば、処方箋に「テオフィリン徐放錠200mg(24時間持続)1日1回夕食後」と記載されているにもかかわらず、薬剤師がテオドール錠200mg(12~24時間持続)を調剤してしまうケースです。この場合、本来1日1回でよい薬を1日2回服用する用法で患者さんに渡してしまうことになり、服薬アドヒアランスの低下につながります。

逆のパターンも報告されています。「テオフィリン徐放錠200mg(12~24時間持続)1日2回朝夕食後」の処方に対して、ユニフィルLA錠200mg(24時間持続)を調剤してしまう事例です。これは患者さんの血中濃度が不安定になるリスクがあります。1日2回投与すべきところを1日1回用の製剤にしてしまうと、1日のうちで血中濃度が治療域を下回る時間帯が生じ、喘息発作や呼吸困難などの症状コントロールが不十分になる可能性があります。

さらに注意が必要なのが、処方箋の入力ミスと調剤の二重過誤です。ある事例では、一般名処方の「テオフィリン徐放錠200mg」を見て、薬剤師はテオドール錠200mgを調剤したのに、事務員がレセコンにユニフィルLA錠200mgを入力してしまい、薬剤情報提供書と実際の調剤薬が一致しないという事態が発生しました。これは監査機能が適切に働かなかった典型例です。

調剤過誤を防ぐ対策として重要なのが「ダブルチェックの徹底」と「薬効分類番号の確認」です。テオフィリン徐放錠の薬効分類番号は9桁ありますが、持続時間の違いは9桁目に反映されています。12~24時間持続型は「2251001F3」で始まり、24時間持続型は「2251001G1」となっています。処方箋監査時にこの番号を確認することが基本です。

また、処方医への疑義照会も重要な安全策になります。初回処方や他院からの継続処方の場合、患者さんが以前どのタイプのテオフィリン製剤を使用していたか確認することで、不適切な変更を防げます。特に入院中にテオフィリン製剤が変更されているケースでは、退院後の処方で元の製剤に戻すべきかどうか、医師が意図的に変更したのかを確認する必要があります。

テオフィリンの血中濃度管理と副作用リスク

テオフィリンは治療域(5~20μg/mL)と中毒域(20μg/mL以上)が極めて近接している薬物です。

つまり血中濃度管理が極めて重要ですね。

この特性を理解していないと、患者さんに重篤な副作用をもたらすリスクがあります。

血中濃度が10μg/mL以下の場合、気管支拡張作用が不十分で喘息症状のコントロールができない可能性があります。一方、20μg/mLを超えると中毒症状が出現し始めます。初期症状としては悪心、嘔吐、頭痛、不眠、不安感などの比較的軽度な症状が現れますが、血中濃度がさらに上昇すると振戦(手足のふるえ)、動悸、頻脈、不整脈といった症状に進展します。

特に注意すべきは、血中濃度が30μg/mLを超えた場合です。この濃度域では痙攣発作、意識障害、昏睡、心室頻拍、心房細動などの生命を脅かす重篤な症状が出現する可能性が高くなります。実際の症例報告では、テオフィリン中毒による死亡例も存在しており、決して軽視できない問題です。

血中濃度が上昇しやすい状況として、まず高齢者が挙げられます。高齢者では肝機能や腎機能が低下していることが多く、テオフィリンの代謝・排泄が遅延するため、通常用量でも血中濃度が上昇しやすくなります。添付文書でも高齢者には低用量(例えば200mg/日)から開始することが推奨されています。

薬物相互作用も重要なリスク因子です。シメチジン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、シプロフロキサシン、エノキサシンなどの抗菌薬は、テオフィリンの代謝酵素であるCYP1A2を阻害するため、併用によりテオフィリンの血中濃度が上昇します。また、フルボキサミンなどのSSRI抗うつ薬も同様の相互作用を示します。

PMDAからは徐放性製剤の取り扱いについて注意喚起が出されています

逆に血中濃度を低下させる薬物もあります。フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシンなどはCYP1A2を誘導するため、テオフィリンの代謝が促進され血中濃度が低下します。喫煙も同様にCYP1A2を誘導するため、喫煙者では非喫煙者に比べてテオフィリンのクリアランスが約1.5~2倍増加することが知られています。

食事の影響も考慮が必要です。テオフィリン徐放製剤は基本的に食事の影響を受けにくい設計になっていますが、高脂肪食と一緒に服用した場合、吸収速度が変化する可能性があります。そのため毎日同じタイミング(食前・食後を統一)で服用することが推奨されます。

テオフィリン製剤における医療従事者の独自視点での実践的対応

テオフィリン製剤を適切に管理するためには、処方箋の形式的なチェックだけでなく、患者さんの状態を総合的に評価する視点が求められます。

まず服薬指導時には、患者さんの服用歴を詳細に確認することが重要です。「今まで朝と夜の2回飲んでいましたか、それとも夜だけでしたか」という質問一つで、持続時間の異なる製剤への誤った変更を検出できます。患者さんの中には薬の名前を正確に覚えていない方も多いため、実際の錠剤の色や形、大きさを聞き取ることも有効です。テオドール錠は白色、ユニフィルLA錠は淡黄色、ユニコン錠は白色といった外観の違いを把握しておくと役立ちます。

テオフィリン製剤を服用している患者さんには、副作用の自己チェックポイントを具体的に説明することが効果的です。「吐き気や頭痛が続く場合は、薬の血中濃度が高すぎる可能性があります」「手が細かく震えるような症状が出たら、すぐに医師に相談してください」といった形で、患者さん自身が副作用の早期発見に参加できるようにします。

調剤室のシステム面でも工夫が可能です。レセコンのマスタ登録時に、テオフィリン徐放錠の商品名に「12-24h」「24h」といった注釈を追加しておくと、ピッキング時の視覚的な確認がしやすくなります。また、処方箋入力時に用法とテオフィリン製剤の持続時間が一致しない場合にアラートを出すようなシステム設定も有効です。

薬局によっては、テオフィリン製剤専用のチェックシートを作成しているところもあります。「□持続時間の確認(12-24h/24h)」「□用法の確認(1日2回/1日1回)」「□前回処方との比較」「□併用薬のチェック(相互作用)」「□患者の副作用症状の確認」といった項目を設けることで、チェック漏れを防ぐことができます。

特に在宅医療に関わる薬剤師にとって、テオフィリン製剤の管理は重要な業務です。高齢者や寝たきりの患者さんでは、服薬状況を正確に把握することが難しい場合があります。残薬確認時に錠剤の数だけでなく、服用パターンの変化にも注意を払う必要があります。「前回は朝夕2回飲んでいたのに、今回は夜だけ飲んでいる」といった変化があれば、製剤の変更があったのか、それとも患者さんが自己判断で服用回数を減らしているのかを確認すべきです。

病院薬剤師の場合、入院時持参薬の確認が重要な役割になります。患者さんが持参したテオフィリン製剤が院内採用薬と異なる場合、単純に切り替えるのではなく、持続時間や用法の違いを考慮した処方提案を行う必要があります。例えば外来でユニフィルLA錠400mg 1日1回夕食後を服用していた患者が入院し、院内採用がテオドール錠のみの場合、テオドール錠200mg 1日2回朝夕食後への変更を提案することになりますが、総1日量が同じでも血中濃度推移が異なる可能性があるため、症状の観察や必要に応じた血中濃度測定を提案することが望ましいです。

患者さんへの情報提供ツールとしては、お薬手帳への記載内容も工夫できます。単に薬剤名を記載するだけでなく、「この薬は1日1回夕食後(24時間持続型)」といった注釈を加えることで、他の医療機関を受診した際にも適切な情報伝達が可能になります。また、「この薬は割ったり砕いたりしないでください」という注意書きを強調することも重要です。

薬剤師として定期的なフォローアップも欠かせません。テオフィリン製剤を長期服用している患者さんには、3~6ヶ月ごとに副作用症状の有無を確認し、必要に応じて医師に血中濃度測定を提案することが、安全な薬物療法の継続につながります。特に併用薬が追加・変更された場合は、薬物相互作用の観点から注意深く経過を見守る必要がありますね。


【第1類医薬品】ミルコデ錠A 24錠