てんかん 薬一覧
てんかん 薬一覧:第一選択と第二選択
てんかん薬物療法は「発作型・てんかん症候群」と患者背景(年齢、妊娠可能性、併存疾患、併用薬、生活様式)で最適解が変わるため、一覧は“丸暗記”ではなく「選択の地図」として使うのが安全です。
新規発症の部分(焦点)てんかんでは、第一選択薬としてカルバマゼピン、ラモトリギン、レベチラセタムが挙げられ、次いでゾニサミド、トピラマートが推奨されます。
同ガイドの整理では、第二選択薬にフェニトイン、バルプロ酸、クロバザム、クロナゼパム、フェノバルビタール、ガバペンチン、ラコサミド、ペランパネルが提示されています。
🧾臨床で見かけやすい「一覧(抜粋)」を、作用機序の目安も含めて並べます(施設採用・適応・用量は必ず添付文書とローカルルールで確認)。
- Naチャネル系:カルバマゼピン、ラモトリギン、ラコサミド、フェニトイン(焦点発作で頻用だが皮疹/血球減少なども意識)。
- SV2A:レベチラセタム(相互作用は少なめだが精神症状が課題になり得る)。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00070060.pdf
- AMPA受容体:ペランパネル(眠気・ふらつき・精神症状などに注意しながら漸増)。
- GABA系/その他:バルプロ酸(全般発作で重要だが妊娠関連の注意が大きい)、ベンゾジアゼピン系(クロバザム等)、フェノバルビタールなど。
参考)https://www.neurology-jp.org/guidelinem/epgl/tenkan_2018_13.pdf
また、患者向け情報ですが、一般名・商品名対応を含む「主な抗てんかん薬の一覧」を提示している資料は、院内説明や薬剤確認のたたき台として便利です。
参考)https://shizuokamind.hosp.go.jp/epilepsy-info/question/faq5-2/
てんかん 薬一覧:副作用と重大な副作用
抗てんかん薬の副作用は「用量依存(眠気・めまい等)」と「体質依存(薬疹、肝障害、血液障害等)」が混在し、導入初期ほど事故が起きやすい点が重要です。
ラモトリギンは重篤な皮膚障害(SJS/TENなど)が問題となり得るため、用法・用量(特に導入・漸増の速度)遵守が強調されています。
実際にPMDA資料では、一定期間にSJS等の重篤皮膚障害が多数報告され、その中で用法・用量逸脱が一定割合で確認された旨が述べられています。
レベチラセタムは、易刺激性、焦燥、興奮、攻撃性などの精神症状が現れ、自殺企図に至ることもあるとして、添付文書(情報提供資料)に明記されています。
したがって、処方時は「眠気・ふらつき」だけでなく、家庭内トラブルや職場問題として表面化する“いらいら・怒りっぽさ”の変化を家族も含めてモニター対象に入れると見落としが減ります。
なお、ガイドラインの薬剤表でもレベチラセタムの主な副作用として精神症状(不機嫌、易怒性など)が挙げられており、一覧上でも注意喚起ポイントになります。
てんかん 薬一覧:妊娠と女性
妊娠可能年齢の女性では、発作コントロールの重要性と同時に、薬剤による催奇形性・発達への影響を天秤にかける必要があります。
日本神経学会の「てんかん診療ガイドライン2018」第13章(てんかんと女性)では、バルプロ酸を妊娠中に服用した母から生まれた小児のIQ(特に言語性IQ)の低下などが示されている旨が記載されています。
また、同章では薬剤の組み合わせによって催奇形性リスクが増加する可能性にも触れられており、単剤・最小有効量を志向する判断の裏付けになります。
「意外に見落とされやすい現場ポイント」として、妊娠判明後の自己中断は発作悪化→転倒・外傷・低酸素など母体/胎児双方のリスクになり得るため、妊娠前からの計画(薬剤選択、用量、フォロー間隔)が“安全対策そのもの”になります。
日本産科婦人科学会の解説でも、カルバマゼピンやバルプロ酸など一部AEDが葉酸拮抗作用を持ち、神経管閉鎖障害リスクを上げ得ること、葉酸がリスク低減の可能性を示唆する旨が述べられています。
参考)(1)てんかん合併妊娠の問題点 – 日本産婦人科…
(妊娠関連の参考リンク:妊娠合併での論点、葉酸、薬剤の影響の記載)
てんかん 薬一覧:相互作用と併用
抗てんかん薬は、同じ「一覧」でも併用設計になると難易度が一段上がり、薬物相互作用(血中濃度の上下)と副作用プロファイルの“足し算”が同時に起きます。
たとえばガイドライン解説の表では、ラモトリギンはバルプロ酸併用で血中濃度が上昇することが示されており、導入・漸増設計が安全性に直結します。
部分てんかんの基本として「単剤で開始し少量から漸増」「無効時は診断・服薬状況・最大忍容量到達を確認してから次薬へ」という枠組みが提示されているため、一覧は“次に何をするか”の順序決定に使うと実装しやすいです。
実務では、相互作用が少ない薬(例:SV2A系を含む)を軸にして「眠気・ふらつき・気分変調」など生活機能への影響を最小化する設計が求められますが、精神症状など相互作用以外の弱点がある薬もあるため、一覧は“長所だけでなく短所を同じ解像度で見る”のがコツです。
また、焦点発作ではカルバマゼピンが第一選択として紹介される一方、同じ資料内でラモトリギン・レベチラセタムなど複数の選択肢が提示されており、患者背景(運転の有無、皮疹歴、精神症状の既往など)を理由づけにして選ぶ余地があることがわかります。
参考)https://shizuokamind.hosp.go.jp/epilepsy-info/news/n4-4/
てんかん 薬一覧:独自視点の服薬継続
検索上位の「薬一覧」は薬剤名の羅列で終わりがちですが、現場では“選んだ後に継続できるか”が治療成績を左右します。
特にレベチラセタムの易刺激性や攻撃性は、患者本人が副作用と気づかず「性格の問題」「家庭環境の問題」に見えて受診が遅れることがあるため、開始時点で家族へ具体例を示して共有しておくと安全性が上がります。
ラモトリギンの薬疹リスクは「導入初期」と「用量設定」に強く依存し得るため、皮疹のセルフチェック項目(発熱、粘膜症状、眼症状など)を指導し、出現時の連絡先と受診基準を“文章”で渡すと、一覧が実害予防に変わります。
さらに、服薬継続の障壁は副作用だけではなく、発作が落ち着いた後の「自己判断の減量・中断」も含まれます。
ガイドライン解説には、最初の薬剤が無効と判断した場合の次の薬剤選択など“段取り”が示されているため、患者説明でも「効かない時は次の手がある」ことを先に伝えると、自己中断ではなく相談につながりやすくなります。
(重篤薬疹の安全対策:用法・用量遵守、SJS/TEN注意の根拠)
PMDA:ラミクタール錠(ラモトリギン)の重篤皮膚障害と用法・用量遵守
(レベチラセタムの精神症状:易刺激性・攻撃性・自殺企図の記載根拠)
(女性・妊娠に関する章:バルプロ酸と小児IQなど)
日本神経学会:てんかん診療ガイドライン2018 第13章 てんかんと女性

苦手な人もこれで安心! 4つのStepで考える てんかんの精神症状