テニス肘の症状と診断から治療まで

テニス肘の症状

テニス肘の主な症状
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動作時の痛み

物を持ち上げる、タオルを絞る、手首を使う動作で肘外側から前腕にかけて痛みが発生

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安静時の状態

初期は安静時に痛みがないが、重症化すると安静時や夜間にも痛みが持続

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圧痛部位

上腕骨外側上顆を押すと痛みが走り、肘の外側に明確な圧痛点がある

テニス肘の初期症状と特徴

テニス肘の正式名称は上腕骨外側上顆炎といい、肘の外側にある上腕骨外側上顆という骨の突出部分に痛みが生じる疾患です。初期段階では、物をつかんで持ち上げる動作やタオルをしぼる動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みが出現します。

参考)href=”https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.html” target=”_blank”>https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.htmlamp;#x300C;href=”https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.html” target=”_blank”>https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.htmlamp;#x30C6;href=”https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.html” target=”_blank”>https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.htmlamp;#x30CB;href=”https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.html” target=”_blank”>https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.htmlamp;#x30B…


多くの場合、安静時には痛みがなく、特定の動作をした時だけ痛みを感じるのが特徴です。フライパンを持つ、ペットボトルの蓋を開ける、草むしりをするなど、日常生活の何気ない動作で痛みが誘発されます。

参考)テニス肘・ゴルフ肘 (肘の外側や内側が痛い)


40代、50代の中年以降に発症しやすく、男女差はほとんどありません。テニスをしていなくても、日常動作や仕事で腕を使い過ぎることで発生することがあります。

参考)肘外側の痛み、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)をご存知ですか

テニス肘の重症化した際の症状変化

テニス肘が重症化すると、初期症状とは異なる深刻な症状が現れます。重症化した場合、湿布で応急処置をしても一時的にしか痛みが引かず、根本的な原因が解消されていないため、しばらくするとまた痛み出すことが多いです。

参考)テニス肘が重症化するとどうなる?症状の変化や重症化させない方…


特に注意すべきなのは、安静にしていても痛みが続くようになる点です。初期のころは安静にすると痛みが治まりますが、重症化すると特定の動作をしていなくても痛みがあるため、日常生活への影響が大きくなってしまいます。​
さらに進行すると、箸やコップを持つ姿勢を維持できなくなり、握力の低下や夜間の痛みに悩まされるケースもあります。じんじんとした痛みを感じたり、痛みで目が覚めるということもあるため、重症化する前に整骨院や医師に相談することが重要です。​

テニス肘の発症メカニズムと関連筋肉

テニス肘は、手首を反らす動作を繰り返し行うことによる過剰な負荷や、加齢に伴う腱の柔軟性低下が原因となって、上腕骨外側上顆に付着する腱が炎症を起こし発症します。

参考)テニス肘|指・手首・肘|整形外科治療|東京都渋谷区代官山|D…


肘の関節は上腕骨、尺骨、橈骨の3つの骨で構成されており、テニス肘には長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋の3つの筋肉が関係しています。特に短橈側手根伸筋の腱に負荷が何度もかかることで、痛みが起こることが多いと報告されています。

参考)テニス肘・ゴルフ肘(上腕骨外側上顆炎、上腕骨内側上顆炎)|日…


筋肉は腱に変化して骨に付着しますが、この部分は異なる組織が接着しているため、エンテシス(付着部)と呼ばれ、炎症の好発部位となります。テニスでラケットを振る際の衝撃が手首から肘の付け根の腱に伝わり、腱に炎症・痛みを発症させるのがテニス肘の基本的なメカニズムです。

参考)テニス肘の治療|世田谷区成城の整形外科|世田谷かくた整形外科…

テニス肘の診断方法と検査

テニス肘の診断は、おもに医師による問診と、痛みを誘発するいくつかの簡単な検査によって行われます。肘の外側にある上腕骨外側上顆を押したときの圧痛の有無を確認し、テニス肘なら外側の骨を押すと痛みます。

参考)テニス肘、ゴルフ肘


代表的な診断テストとして、Thomsen(トムセン)テストがあります。肘を伸ばした状態で、手をグーにして握り、手首を伸ばした状態で、検者が手首を曲げる方向に抵抗を加えて痛みが出れば陽性です。

参考)テニス肘とは?症状・原因・治療法など – OKP with …


Chairテストでは、患者に肘を伸ばしたまま手で椅子を持ち上げてもらい、痛みが誘発されるかを確認します。中指伸展テストでは、検者が中指を上から押さえるのに抵抗して、患者に肘を伸ばしたまま中指を伸ばしてもらいます。

参考)上腕骨外側上顆炎(テニス肘)とは – 岐阜市 – 森整形外科…


レントゲン撮影では異常がみられないことが多く、MRIを撮影すると肘の外側の筋肉(腱膜)が損傷した部分や短橈側手根伸筋腱に変性が見られることがあります。必要に応じて超音波(エコー)検査も行われ、他の病気との区別をすることもあります。​

テニス肘と鑑別すべき関連疾患

テニス肘の主な原因である短橈側手根伸筋のすぐ近くには、橈骨神経が走行しています。この神経が圧迫されることで起こる橈骨神経管症候群という疾患があり、テニス肘と症状が類似するため、鑑別が必要です。

参考)テニス肘の症状と重症度チェック|初期〜慢性までの痛みの見分け…


肘の痛みを生じる疾患として、内側上顆炎(ゴルフ肘)もあります。物を持って体に寄せるような恰好で手首や肘を使い過ぎることによって、肘の内側にある内側上顆に過度な負担がかかり、炎症が起こって痛みが生じます。

参考)肘の痛みが生じる疾患について医師が解説


その他、肘部管症候群や変形性肘関節症、関節リウマチなどの疾患も肘の痛みを引き起こすため、詳細な問診と検査により正確な診断を行うことが臨床現場では重要です。​

テニス肘の保存療法とリハビリテーション

テニス肘の治療は、基本的に保存療法が選択されます。保存療法には、非ステロイド性抗炎症薬を用いながら安静にし、自然経過で症状が緩和されるケースが多くあります。症状が落ち着くまでは、テニスなどの誘発動作を控えることが推奨されます。

参考)テニス肘の治し方


リハビリテーションは、ステロイド注射のような即効性はありませんが、中・長期的に見ると最も効果が高いという調査報告もあります。ストレッチや筋力トレーニング、適切な動作指導を理学療法士の指導のもと行い、必要に応じてテーピングによる負担軽減も実施します。

参考)テニス肘の保存治療について : 井出整形外科クリニック


超音波治療や体外衝撃波治療(ショックウェーブ)などの物理療法も組み合わせながら進めていきます。体外衝撃波治療は、皮膚の上から衝撃波を患部に当てることによって、痛みの原因になっている炎症血管と疼痛神経を減らし症状を改善する先進的な治療法です。

参考)テニス肘 治療法 上腕骨外側上顆炎 再生医療 もやもや血管 …


薬物療法では、炎症症状がある場合に非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の内服や湿布などの外用薬を使用しますが、内服薬の長期使用は胃への副作用などに注意が必要です。​

テニス肘の予防とストレッチ方法

テニス肘を予防するには、日頃から手首や指をストレッチすることで筋肉・腱の柔軟性を高めることが重要です。効果的なストレッチとして、肘を伸ばした状態で手のひらを下に向け、肩の高さまで上げた後、反対側の手で手首を下に向けて引っ張り、指を曲げて30秒間保つ方法があります。

参考)テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の改善に効くストレッチを紹介!原…


前腕甲側のストレッチでは、一方の腕を手のひらを下にして前へ伸ばし、伸ばした腕の手首を下に曲げ、もう一方の手で手首を下へ引っ張ります。肘の外側が伸びている状態を実感しながら10秒保ち、1日に5回程度おこなうと効果的です。​
注意しなければいけないのは、痛みがあるときにストレッチをすると症状が悪化する可能性がある点です。安静にして肘の痛みがやわらいだ後、様子を見ながら少しずつ手首や指のストレッチを行い筋肉・腱の柔軟性を高めていきます。

参考)https://setoseikei.com/2024/01/20/sports-injury-tennis-elbow/


痛くない程度に1日3回おこなうと効果的で、テニス肘の予防だけでなく、けがや疲労の蓄積を回避するためにもストレッチは有効です。

参考)テニス肘ストレッチ (上腕骨外側上顆炎 ストレッチ)

テニス肘の発症リスクが高い職業と活動

「テニス肘」という呼び名は、この疾患がテニス愛好家に多く発症し、特にテニスのバックハンドによる負担で発症することから名づけられました。テニスプレーヤーに発症が多いのは、「ラケットを振る」という同じ動作を何度も繰り返し行うことで、ストレスを受け続けた腱の付け根の筋肉が炎症を起こしてしまうためです。

参考)外側上顆炎(ひじの痛み・テニス肘) |いしがみ整形外科|川越…


しかし、スポーツをする人以外でも発症することがあり、家事などで手首をよく使う主婦の方、重いフライパンを振る料理人や工事現場で交通整理をする方など肘に負担がかかる動作をする仕事の方にも発症します。

参考)テニスしないのにテニス肘?|まえだ整形外科・手のクリニック|…


パソコン(キーボード・マウス)を使うデスクワークの方や、最近はゲームや動画を見るなど長時間スマートフォンを持ったり操作をすることでも発症することがあるため、「スマホ肘」と呼ばれることもあります。​
体幹の筋力が低下する、または筋や腱の組織が弱くなってくる30~50代以降によく起こるため、30代を迎えた方は重作業やスポーツの前にはストレッチを行うことが推奨されます。

参考)テニス肘の原因は?放置したらどうなる?|港北区の綱島あお整形…

参考になる情報として、日本整形外科学会の公式ページにテニス肘に関する詳細な解説があります。

日本整形外科学会 – テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
慢性的なテニス肘に対する最新の治療アプローチとして、脂肪由来間葉系幹細胞を用いた研究報告もあり、6ヶ月後の評価で疼痛スコアやQuickDASHスコアが有意に改善したという結果が示されています。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7838228/