胆汁酸トランスポーター阻害薬の一覧と薬効分類・副作用・作用機序

胆汁酸トランスポーター阻害薬の一覧

胆汁酸トランスポーター阻害薬の一覧と薬効分類・副作用・作用機序
💊
胆汁酸トランスポーター阻害薬の一覧と特徴

・胆汁酸トランスポーター阻害薬は、国内では「グーフィス錠(一般名:エロビキシバット水和物)」が代表的な医薬品です。
・薬効分類は「胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬」で、便秘症に対する新規治療薬として注目されています。
・IBAT阻害作用により回腸末端部での胆汁酸再吸収を抑制し、大腸への胆汁酸流入が増加、腸管内の水分分泌促進・消化管運動促進といった効果を発揮します。
・世界初の胆汁酸トランスポーター阻害薬としてグーフィスは2018年から臨床使用され、慢性便秘症に有効性が認められています。

代表的な薬剤一覧

  • グーフィス錠5mg(エロビキシバット水和物:EAファーマ)
  • 海外ではイベトグリム(イベトグリム・アーク、米国商品名:IBAT阻害薬・臨床試験段階)などの開発が進行中

製剤情報や薬価、薬物動態については、

KEGG MEDICUS(グーフィス添付文書) に詳細記載があります。

臨床現場では胆汁酸製剤やコレスチラミンとの相互作用も報告されています。

🧬
胆汁酸トランスポーター阻害薬の作用機序と生理学的意義

・IBAT(イレウム胆汁酸トランスポーター)は、胆汁酸の再吸収を担う重要な膜タンパクです。
・エロビキシバットは回腸末端部IBATを阻害することで胆汁酸の大腸流入を促進し、水分分泌増加・消化管運動亢進(Dual action)による排便促進をもたらします。
・従来の下剤とは作用点・メカニズムが根本的に異なり、腸管運動低下型・便秘型IBS患者にも対応できる新規選択肢です。
・胆汁酸の大腸腔内濃度上昇によるCFTR刺激やTGR5受容体刺激が細胞内cAMP増大、水分分泌促進につながることが示唆されています(グーフィス作用機序紹介ページ)。

・本薬剤開発は腸管生理学の応用例としても興味深く、腸内環境変化・腸管ホルモン系との関連など今後の研究が期待されています。

📑
胆汁酸トランスポーター阻害薬と副作用・薬物相互作用

・主な副作用は腹痛(23.2%)、下痢(14.4%)、腹部膨満、悪心など消化器症状のほか、肝機能異常、浮動性めまい、頭痛、ほてり、発疹、貧血などが報告されています。
・胆汁酸製剤(ウルソデオキシコール酸等)の作用減弱や、アルミニウム含有制酸剤・コレスチラミンとの併用注意が必要です。
・P-糖蛋白質阻害作用により一部薬剤(ジゴキシン、ダビガトラン等)との血中濃度変化にも注意が必要です。

・薬物相互作用一覧・副作用詳細は

KEGG MEDICUS 今日の臨床サポート

を参照ください。

🔬
胆汁酸トランスポーター阻害薬の薬効分類と臨床応用

・薬効分類は消化管運動変容薬・下剤(胆汁酸トランスポーター阻害薬)で、従来型の刺激性下剤や塩類下剤とは異なります。
・慢性便秘症診療ガイドライン2021でも新規治療選択肢とされ、生活習慣変容・腸管運動異常型患者の第一選択薬として推奨されています。
・薬用量は5mg-15mg(グーフィス錠)を用い、臨床成績として排便回数増加・便性改善が報告されています。大腸癌術後、糖尿病性便秘、高齢者便秘にも有用です。
・今後はIBAT阻害薬の応用展開(胆汁酸吸収障害型疾患/胆汁酸性下痢等)や、がん・肝疾患領域での使用も期待されています(EAファーマ胆汁酸情報参照)。

🌏
独自視点:胆汁酸トランスポーター阻害薬の未来と新規開発動向

・国内外ではグーフィス錠のほか、海外でIBAT阻害薬(イベトグリム等)の臨床試験が進められており、今後はさまざまな疾患への適応拡大が予想されます。
・新しい胆汁酸代謝異常・腸内環境解析技術の進展で、病態別パーソナライズド治療にもつながる可能性があります。
・胆汁酸代謝異常が関与する疾患(肝疾患・非アルコール性脂肪肝炎・過敏性腸症候群)領域では、IBAT阻害薬の新規治療薬開発が期待されています。
・腸内細菌叢や腸管免疫、腸-脳相関との関連―腸内環境・メタボリック疾患・精神神経疾患に対する未来アプローチも提案されつつあります。

・日本発の新薬として海外展開も進みつつあり、日本の消化器治療の新たな潮流となることが期待されています。