球後視神経炎の視野と中心暗点の検査とMRI

球後視神経炎と視野

球後視神経炎と視野:現場での要点
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「視野」異常は中心暗点が軸

球後型は眼底が一見正常でも、中心暗点・傍中心暗点などの視野変化が早期に手がかりになります。

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視野検査は「やり方」で精度が変わる

中心暗点が強いと固視不良になりやすく、閾値測定の信頼性が落ちる点を前提に解釈します。

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MRIと抗体で「背景疾患」を拾う

典型例でも、重症・非典型・再発例ではNMO/MOGなど鑑別のためにMRIや抗体検査が重要です。


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球後視神経炎の視野と中心暗点の特徴

球後視神経炎では、患者が最初に訴えるのは「見えにくい」「視野が欠ける」「真ん中が見えない」といった視機能の変化で、視野としては中心暗点(または傍中心暗点)から、重症では広範な視野欠損まで幅があります。

日本眼科学会の一般向け解説でも、視神経症(視神経炎)の主症状として、急激な視力低下に加えて中心暗点や上半分/下半分が見えないタイプの視野障害、眼球運動痛などが挙げられており、視野評価が診療の中核になります。

特に球後型は「視神経乳頭には当初所見がなく正常にみえる(球後視神経炎)」とされ、眼底が正常に見える状況で視野異常が決め手になりやすい点が臨床上の落とし穴です。

視野パターンの説明をするときは、「中心暗点=中心が抜ける」だけで終わらせず、患者の生活困難に直結すること(読字、端末作業、運転時の標識認識など)まで言語化すると、訴えと検査結果の整合が取りやすくなります。

参考)Retrobulbar Optic Neuritis Pos…

また、中心暗点が強い症例では中心固視が乱れやすく、中心視野の評価自体が不安定になり得ることが指摘されています。

参考)https://square.umin.ac.jp/jips/meeting-seminar/pdf/sho06_s61r40.pdf

このため「視野が悪い=病勢が急激に進行」と即断せず、検査条件(固視、疲労、理解度)を含めて“視野データの質”をまず確認するのが安全です。

参考:視神経症の症状(中心暗点・上/下半分が見えない・眼球運動痛)と検査(視野・MRI等)の整理

視神経症(視神経炎)|日本眼科学会による病気の解説

球後視神経炎の視野検査とハンフリーの注意点

視神経炎の評価では、視野検査(静的量的検査)を含む一連の機能検査が重要で、日本眼科学会の解説でも視野検査が基本検査として明記されています。

実臨床では自動視野計(例:ハンフリー視野計)がよく使われ、静的検査で片眼5~10分程度かかり、中心30度・中心10度など測定範囲を選べるとされています。

中心暗点が疑われる場合、中心10度(10-2)を追加するだけで「患者の訴えに一致する欠損」を拾えることがあり、中心30度(30-2)だけで片づけない判断が役立ちます。

一方で、中心暗点のある症例では中心固視が悪くなるため、閾値測定を行う静的視野測定は正確を期し難い、という指摘があります。

医療従事者向けに言い換えると、「中心暗点が強いほど信頼性指標(固視不良、偽陰性など)が悪化し、欠損の形が“盛られる/崩れる”」可能性がある、という前提で読みます。

そのため、初回の視野が荒れていても、治療開始前後の比較目的で“同条件での再検”を組み込み、単発データで結論を固定しない運用が現場向きです。

また、視神経炎では中心暗点が典型とされる一方で、非典型的に分節状の視野欠損や水平半盲なども起こり得ることが講演資料で整理されています。

参考)https://cosmic-jpn.co.jp/media/lecture/1467695866-992676.pdf

ここが鑑別の要で、虚血性視神経症などでも水平半盲がよくみられるため、年齢・危険因子・痛みの性状・経過時間と一緒に“視野だけで断定しない”姿勢が必要です。cosmic-jpn+1​

逆に言えば、視野が典型から外れているほど、背景疾患(脱髄、抗体関連、虚血、圧迫など)に踏み込む動機になります。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10117186/

参考:中心暗点があると静的視野測定の精度が落ちる点(視野検査の解釈の注意)

https://square.umin.ac.jp/jips/meeting-seminar/pdf/sho06_s61r40.pdf

球後視神経炎の診断とMRIと血液検査

視神経炎(球後型を含む)の診断は臨床評価が中心ですが、MSDマニュアルでは通常、脳と眼窩のガドリニウム造影MRIが望ましいとされ、腫脹や高信号などが確認されることがある、と整理されています。

MRIは多発性硬化症、MOG抗体関連疾患(MOGAD)、視神経脊髄炎(NMO)の診断にも役立つことがある、とされ、原因推定と再発リスク評価の双方で意味があります。

日本眼科学会の解説でも、視力・眼底・視野に加えて、必要に応じてMRI、血液検査、髄液検査などを行うと明記されています。

現場では「球後だから眼底が正常=軽い」と誤解されやすいのですが、球後型でも背景に多発性硬化症が含まれる可能性が示されており、初発時点での全身評価(神経症状、既往、再発歴)を丁寧に拾う必要があります。rjo+1​

MSDマニュアルでは、非定型または重度の視神経炎では血清中のNMOおよびMOG抗体を検査して確認すべき、とされています。

「視野が中心暗点っぽいから典型で安心」とせず、重症度(視力、両眼性、回復の鈍さ、再発)で検査強度を変えるのが合理的です。

検査オーダーの実務的な観点では、MRIは“視神経そのもの”だけでなく、脳室周囲病変など中枢の脱髄所見評価にもつながる点がポイントです。

この視点を持つと、視野異常を「眼科単独の問題」から「神経免疫疾患の入口」へ再定位でき、紹介・連携(神経内科、救急、入院判断)がぶれにくくなります。

特に再発リスクが高い背景(NMO/MOGADなど)では、将来の視機能予後が変わり得るため、初回からの鑑別が重要になります。

参考:視神経炎のMRI所見・NMO/MOG抗体・治療(ステロイド、血漿交換)の位置づけ

視神経炎 - 17. 眼疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版
視神経炎-病因、病理生理学、症状、徴候、診断および予後についてはMSDマニュアル-プロフェッショナル版へ。

球後視神経炎の治療とステロイドと予後

視神経炎は多くが自然寛解しうる一方で、MSDマニュアルでは、コルチコステロイド治療により回復を早められることがあるが、特発性や多発性硬化症関連では最終視力は経過観察のみと変わらない、という整理が示されています。

同じくMSDマニュアルでは、高用量コルチコステロイドの早期投与がNMOやMOGADなど非典型原因の転帰を改善する可能性があり、反応不良の重度例では血漿交換が用いられる、とされています。

つまり「全例に一律パルス」ではなく、“疑う背景疾患”と“重症度”で治療目的(回復促進か、不可逆障害の回避か)が変わる、という立て付けになります。

予後の話では、典型例の多くは2~3カ月以内に視力がかなり回復するとされる一方、NMOやMOGADでは再発率が高く、特にNMOでは視力回復が不良となる可能性がある、とMSDマニュアルに記載されています。

日本眼科学会の説明でも、特発性視神経炎は自然回復傾向のものもあり治療は程度や病態分類で異なるが、通常は副腎皮質ステロイド等の点滴が用いられる、という臨床の実態に沿う記述です。

このため医療者向け記事としては、視野(中心暗点など)の改善/残存を「治った・治らない」の二択にせず、再発監視と背景疾患評価(MRI/抗体)の継続が要点になります。pmc.ncbi.nlm.nih+1​

治療経過で見落としがちなのは、視力が回復しても色覚異常やコントラスト感度低下が残ることがあり得る点で、MSDマニュアルでも色覚異常が視力障害の程度に比例しないことが多いとされています。

視野が「ぱっと見」改善しても、患者の実感が追いつかない場合は、このズレ(色覚・コントラスト)を説明できると、不要な不安や受診迷子が減ります。

臨床メモとしては、視野の回復評価を“治療直後の1回”で終えず、時間軸(数週~数カ月)で追う設計が安全です。

球後視神経炎の視野と独自視点:中心暗点と固視と検査誤差

検索上位の記事は「中心暗点が出る」「MRIやステロイド」といった大枠を説明することが多い一方で、現場の実害として大きいのが「中心暗点ゆえに固視が崩れ、視野検査そのものが不正確になる」問題です。

中心暗点がある症例では中心固視が悪いので静的視野測定は正確を期し難い、という指摘は、検査結果が“病態の鏡”ではなく“病態+検査条件の合成”になり得ることを意味します。

この視点をチームで共有していないと、①初回視野の欠損が過大評価される→②説明が悲観的になる→③不必要な転院・追加検査が増える、という連鎖が起きやすくなります。

実務での工夫としては、次のような「検査精度を上げる段取り」を先に作ると、視野データが診療の武器になります。shec+1​

✅ 視野検査の取り扱いポイント

  • 検査前に「真ん中が見えにくいと視野がぶれやすい」ことを説明し、焦りを減らす(結果の安定化に寄与)。​
  • 初回は中心30度(30-2)だけでなく、症状が中心なら中心10度(10-2)も検討する。

    参考)視野検査について

  • 信頼性指標が悪い場合は“悪化”と断定せず、短期間で再検してトレンドを見る。​

さらに、鑑別の視点では「中心暗点=視神経炎」ではなく、視神経炎でも非典型的な視野欠損があり得ることが示されているため、視野パターンだけの単純分類を避けます。

日本眼科学会の解説が示すように、視神経症には虚血性、圧迫性、中毒性など多様な原因があり、視野異常は“病名”ではなく“警報”として扱うのが安全です。

この“検査誤差も含めて視野を読む”という一段深い視点を入れると、球後視神経炎の視野評価が、単なる所見列挙から臨床判断の文章になります。