体外受精料金の内訳と保険適用後の費用

体外受精料金の内訳

この記事でわかること
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保険適用後の料金

2022年4月以降の保険診療での体外受精費用の実際

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治療段階別の費用

採卵から胚移植まで各プロセスにかかる具体的な金額

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自費診療との比較

保険適用と自費診療の違いと選択のポイント

体外受精の採卵料金と個数による費用差

体外受精における採卵料金は、採取できた卵子の個数によって変動します。保険適用の場合、採卵数0個で9,600円、1個で16,800円、2~5個で20,400円、6~9個で26,100円、10個以上で31,200円となっています。採卵できた個数が多いほど料金は上がりますが、自費診療と比較すると大幅に負担が軽減されています。

参考)費用


自費診療の場合、採卵数1~2個で140,250円、3~5個で176,000円と、保険適用の5倍以上の費用がかかることもあります。採卵手術料金として別途55,000円が設定されているクリニックも多く見られます。採卵後に卵子が回収できなかった場合は減額措置を設けている医療機関もあり、保険診療では9,600円、自費では49,500円程度が一般的です。

参考)https://www.ogikubo-ivf.jp/official/wp-content/themes/niji/assets/file/price-list_202501.pdf


採卵には麻酔管理費や採卵材料費も含まれるため、実際の支払い額は基本料金に加えてこれらの費用も考慮する必要があります。クリニックによって料金設定が異なるため、事前に詳細な見積もりを確認することが重要です。

参考)体外受精の平均費用はどのくらい?保険適用についても解説|六本…

体外受精と顕微授精の料金の違い

体外受精(IVF)と顕微授精(ICSI)では、受精方法の違いにより料金が異なります。保険適用の場合、体外受精は卵子の個数に関わらず一律12,600円ですが、顕微授精は卵子1個で14,400円、2~5個で20,400円、6~9個で30,000円、10個以上で38,400円と、個数によって段階的に費用が上昇します。

参考)不妊治療(自費診療)|不妊症検査・治療にかかる主な費用|おお…


顕微授精が高額になる理由は、培養士が高度な技術を用いて1個ずつ精子を卵子に注入する手技料が含まれるためです。自費診療では顕微授精の料金設定がさらに高く、準備費用22,000円に加えて施行費用が1~5個で33,000円、6~9個で66,000円、10個以上で99,000円と設定されているクリニックもあります。

参考)【保険適用】顕微授精の費用と最新の治療について


保険適用前は施設によって顕微授精の料金が体外受精の2倍以上に設定されていることもありましたが、保険適用後は料金体系が明確化され、大きな差はなくなっています。ただし、IMSIやPICSIなどの先進医療を併用する場合は、追加で自費負担が発生します。​

体外受精の胚移植と凍結保存にかかる費用

胚移植の費用は、新鮮胚移植と凍結融解胚移植で異なります。保険適用の場合、新鮮胚移植は約25,500円、凍結融解胚移植は約36,000円が一般的な料金設定です。自費診療では新鮮胚移植が75,000円、凍結融解胚移植が100,000円~120,000円と、保険診療の3倍以上の費用がかかります。

参考)体外受精の費用(保険診療)|妊娠をご希望の方|慶應義塾大学医…


受精卵の凍結保存料金は、保険適用で1~2個21,000円、自費では基本料金35,000円に加えて1本あたり7,000円程度が相場です。凍結保存には継続管理料として年間15,000円~25,000円の費用が別途発生します。胚盤胞培養を行う場合は、保険適用で胚の個数に応じて4,500円~7,500円の加算があります。

参考)生殖補助医療料金表


アシステッドハッチング(AHA)や高濃度ヒアルロン酸含有培養液の使用など、追加処置を行う場合は保険適用で3,000円~10,000円、自費では10,000円~25,000円の費用が別途かかります。これらの処置は医師が必要と認めた場合に実施されるため、すべての患者に適用されるわけではありません。

参考)とこたま|費用について

体外受精の保険適用条件と回数制限

体外受精の保険適用には年齢と回数の制限があります。女性の年齢が治療開始時において43歳未満であることが必須条件で、43歳以上の場合は保険適用外となり全額自費診療となります。年齢制限が設けられている理由は、43歳以上では体外受精による出産率が大きく低下し、流産率や産科合併症のリスクが上昇するためです。

参考)体外受精の保険適用について。条件や費用なども解説


回数制限については、初めての胚移植術に係る治療計画を作成した日の年齢によって異なります。40歳未満の場合は1子につき通算6回まで、40歳以上43歳未満の場合は通算3回までが保険適用の上限です。この回数制限は1子ごとにカウントされ、出産によりリセットされる仕組みになっています。

参考)Shinjuku ART Clinic:不妊治療/体外受精 …


保険適用の回数を超えて治療を継続する場合は自由診療となり、医療機関によって料金が異なります。また、保険診療と自費診療を同時に行う混合診療は認められておらず、一部でも自費診療を選択すると全ての治療費が自費扱いになるため注意が必要です。

参考)保険または自費で迷っているご夫婦へ

体外受精料金の医療費控除と助成金制度

体外受精の治療費は医療費控除の対象となります。人工授精・体外受精・顕微授精の費用、卵子凍結保存料・保管料、医薬品・漢方薬代、医師の紹介料などが控除対象に含まれます。医療費控除を受けるには、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費の合計が10万円を超える必要があり、確定申告で申請します。

参考)不妊治療は医療費控除の対象になる?対象外になる治療や押さえて…


高額療養費制度も体外受精の費用に適用されます。負担する医療費の上限は収入や年齢により異なりますが、2025年1月現在では約8万円が上限額となり、それ以上の支払い分は申請により払い戻しを受けられます。ただし、自費診療の部分は高額療養費制度の対象外となるため、保険適用の治療を選択することで経済的メリットが大きくなります。

参考)不妊治療は保険適用となる?条件や費用、自由診療・先進医療との…


自治体による助成金制度も活用できます。長野県では不育症治療費に対し1回の妊娠につき5万円を上限として助成しており、妻の年齢が40歳未満の場合は通算6回まで利用できます。先進医療を用いた一連の治療についても助成制度があり、保険適用と併用可能な先進医療に対して回数制限なく1回につき助成を受けられます。

参考)不妊治療(先進医療)費用助成事業について


はらメディカルクリニック:保険適用後の不妊治療費用の詳細解説
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