胃潰瘍は、胃の粘膜が深く傷つき、粘膜下層よりも深部にまで損傷が及んだ状態を指します。
発生メカニズム
胃潰瘍は、胃の防御因子(粘液分泌など)と攻撃因子(胃酸やペプシンなど)のバランスが崩れることで発生します。健康な胃では、粘液が胃壁を保護していますが、この防御機能が弱まると、胃酸によって胃壁が侵食されます。
主な原因
- ヘリコバクター・ピロリ菌感染:胃潰瘍の70~90%の原因とされています。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用
- ストレスや睡眠不足
- 喫煙や過度の飲酒
- 不規則な食生活
症状
- みぞおちの痛み(心窩部痛)
- 胸やけ
- 吐き気や嘔吐
- 食欲不振
- 黒色便(出血を伴う場合)
- 体重減少
- 疲労感や貧血
診断と治療
診断には主に内視鏡検査やX線造影検査が用いられます。治療の主な目的は、症状の早期改善、潰瘍の治癒、再発防止です。
治療方法
- 薬物療法:プロトンポンプ阻害薬(PPI)などの胃酸分泌抑制薬
- ピロリ菌除菌療法(感染が確認された場合)
- 生活習慣の改善:ストレス軽減、禁煙、節酒
- 内視鏡的止血療法(出血を伴う場合)
胃潰瘍の治療後は、定期的な内視鏡検査によるフォローアップが重要です。特にピロリ菌除菌後は、胃がん予防のため年1回の検査が推奨されています。