ストレス潰瘍 ガイドライン
ストレス潰瘍 ガイドラインの適応:敗血症とリスク因子
ストレス潰瘍(stress-related mucosal disease)対策は、ICUでの「臨床的に重要な上部消化管出血」をどれだけ減らせるか、という一点に集約されます。
そのため近年のガイドラインや推奨は、“ICU患者だから全員”ではなく、「出血リスク因子がある患者に絞る」方向で語られます。
敗血症領域では、Surviving Sepsis Campaign 2021が「敗血症/敗血症性ショックで、消化管出血のリスク因子がある成人にはストレス潰瘍予防を提案する(suggest)」としています。
参考)Surviving Sepsis Campaign Guid…
つまり、敗血症そのものがリスクを上げ得る一方で、「リスク因子があるか」を確認してからSUPを考える設計です。
“リスク因子”の代表例としては、古くから一貫して「人工呼吸管理」「凝固障害」が中核で、ここに重症度(ショック、重症敗血症など)や既往(最近の上部消化管出血など)が加わる形で整理されることが多いです。
実務では、オーダー開始時点でリスク因子をチェックリスト化し、電子カルテ上で「開始理由」を残すだけでも、漫然投与の抑制に効きます。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4733456/
また日本語の枠組みとしては、日本版敗血症診療ガイドライン2020(J-SSCG2020)がCQとして「ストレス潰瘍」を立て、抗潰瘍薬の投与だけでなく“中止判断”も問いに含めています。
参考)(旧版)日本版敗血症診療ガイドライン2020 – Minds…
「開始」だけでなく「いつやめるか」をCQにしている点は、現場運用に直結する重要ポイントです。
参考:日本版敗血症診療ガイドライン2020の掲載ページ(CQ22でストレス潰瘍のCQが一覧化されており、投与と中止判断の位置づけが把握できます)
(旧版)日本版敗血症診療ガイドライン2020 – Minds…
ストレス潰瘍 ガイドラインの薬剤選択:PPIとH2RA
SUPの薬剤として、現場ではPPI(プロトンポンプ阻害薬)かH2RA(H2受容体拮抗薬)が中心になります。
文献的には、どちらも「出血リスクを下げる」方向のデータがありつつ、死亡率のようなハードアウトカム改善は一貫して示しにくい、という前提があります。
そのうえで臨床判断に影響しやすいのが有害事象です。
胃酸抑制が強いほど、院内肺炎やCDIなどが増える可能性が問題になり、薬剤選択は“出血予防”と“感染リスク”の綱引きになります。
参考)ストレス潰瘍予防のためにプロトンポンプ阻害薬使用の入院患者は…
日本語の解説でも、ストレス潰瘍予防は重要な管理要素としつつ、胃酸分泌抑制薬による肺炎やCDIの増加が懸念される、という整理が繰り返し強調されています。
参考)2.ストレス潰瘍予防—適切にリスクを評価し,常に中止を検討す…
実際に、入院患者のコホート研究では「ストレス潰瘍予防目的でPPIを用いた群が、H2RA群よりCDIリスクが高い」ことが示された、という紹介もあり、期間が長いほどリスクが上がる示唆が述べられています。
したがって、薬剤選択の現場的な考え方は次のように組み立てると説明しやすいです。
- 出血リスクが高い(人工呼吸管理+凝固障害など)ならSUPを強く検討する。
- 感染リスク(抗菌薬曝露、免疫不全、ICUでのCDI既往など)を踏まえ、PPI一択にせずH2RAも選択肢に入れる。
- “始めたら終わり”にしない(次のH3で扱う中止基準が本体)。
参考:Surviving Sepsis Campaign 2021(敗血症でGI出血リスク因子がある場合にSUPをsuggestと明記されています)
Surviving Sepsis Campaign Guid…
ストレス潰瘍 ガイドラインの中止:ICUと経腸栄養
SUPでいちばん現場差が出るのは、「開始」よりも「中止」の運用です。
J-SSCG2020がCQとして「抗潰瘍薬の中止の判断」を独立して掲げているのは、まさに“漫然継続”が質改善ポイントであることを示唆しています。
実装のコツは、「リスク因子が消えた瞬間を見つける」よりも、「中止を検討するイベント」を決めてしまうことです。
例えば、次のようなタイミングは中止判断のトリガーにしやすいです(施設方針と患者背景で調整)。
- 人工呼吸器から離脱した。
- 凝固障害が改善した(血小板・凝固能が安定し、出血イベントもない)。
- 経腸栄養が安定して入り、循環も落ち着いた(腸管灌流が戻った)。
参考)https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0883944117305294
- ICUから一般病棟へ転棟した(“ICUだから”で続いていた投与を止める契機)。
意外に見落とされるのが、経腸栄養(enteral nutrition)の位置づけです。
参考)Which ICU patients need stress…
機械換気患者を対象に、早期経腸栄養が入っている状況でPPI(例:pantoprazole)追加の上乗せ効果を検討したランダム化試験では、消化管出血がそもそも低頻度で、群間差が大きく出にくかった、という報告があります。
この文脈は「経腸栄養が入るならSUPが不要な患者もいるかもしれない」という議論につながり、ガイドライン運用上は“経腸栄養開始=中止検討の合図”として扱うと合理的です。
また、感染リスクの観点では、投与期間が長くなるほどCDIなどの懸念が増える可能性が指摘されており、終了予定日(レビュー日)をあらかじめオーダーに埋め込む工夫は有効です。
- 例:オーダー時に「48~72時間後レビュー」「人工呼吸離脱で中止検討」などをセット化する。
- 例:薬剤部・ICU薬剤師が毎日レビューし、適応が外れた患者をフィードバックする。
ストレス潰瘍 ガイドラインの注意点:肺炎とCDI
SUPは「出血を減らす」ための介入ですが、同時に「感染症を増やし得る」介入でもあります。
特にICUでは、人工呼吸器関連肺炎(VAP)を含む院内肺炎のリスク要因が多く重なるため、“PPIを入れたことによる上乗せリスク”を過小評価しやすい点が落とし穴です。
日本語の解説でも、胃酸分泌抑制薬の使用が肺炎やClostridioides difficile感染症の増加と関連し得る、という懸念が述べられています。
さらに、入院患者のデータベース研究を扱った記事では、ストレス潰瘍予防でPPI使用はH2RA使用よりCDIリスクが高かった、という結果が紹介され、使用期間が長いほどリスクが高い可能性にも触れています。
ここから導ける実務上の“ガイドライン的態度”はシンプルです。
- SUPの適応は「リスクが高い患者に限定」し、低リスクには使わない。
- 使うなら「最短期間」を意識し、毎日中止可否を確認する。
- CDIリスク(広域抗菌薬、免疫不全、ICU、長期入院など)を踏まえて、PPI固定ではなく選択肢を持つ。
ストレス潰瘍予防は“患者安全”の一部ですが、感染症の有害事象まで含めて患者安全です。
「出血ゼロを目指すために感染を増やす」構図になっていないか、チームで振り返ることが、ガイドラインの精神に合致します。
ストレス潰瘍 ガイドラインの独自視点:オーダー設計と中止の仕組み
検索上位の多くは「適応」「薬剤(PPI/H2RA)」「リスク因子」までを説明しますが、実際の医療安全・品質改善は“オーダーの設計”で差がつきます。
ここでは独自視点として、ガイドライン知識を「続かない仕組み」に落とす方法を具体化します。
まず、SUPのオーダーは「開始理由」と「レビュー日」をセットにします。
- 開始理由(例):人工呼吸管理、凝固障害、最近の上部消化管出血など。
- レビュー日(例):48~72時間後、あるいは経腸栄養開始時点。
- 中止条件(例):人工呼吸離脱、凝固障害改善、ICU離室。
次に、ICUラウンドの定型フレーズに組み込みます(チェック項目化)。
- 「ストレス潰瘍予防:適応はまだあるか?」
- 「経腸栄養:入っているか?入っているならSUPの継続理由は?」
- 「CDI/肺炎リスク:抗菌薬の種類・日数、下痢症状、感染対策は?」
さらに、退室・転棟時の薬剤整理(medication reconciliation)を強制イベントにします。
SUPは病棟に“持ち越されやすい”薬の代表で、ICUを離れるタイミングは中止の最大のチャンスです。
この運用は「ガイドラインに従う」という抽象論より、結果的にガイドラインが狙う“適正使用”を達成しやすい実践論です。
最後に、敗血症診療の流れと合わせると説明しやすくなります。
Surviving Sepsis Campaign 2021は、敗血症でGI出血リスク因子がある場合にSUPをsuggestしつつ、早期経腸栄養も提案しています。
この2つをセットで捉えると、「必要な人にはSUP、栄養が入ってリスクが下がれば中止」という運用に自然に落ち、チーム内の合意形成もしやすくなります。

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