ストーマ 種類と造設 コロストミー イレオストミー
ストーマ 種類の造設期間による分類と臨床判断
ストーマは造設される期間によって、生涯使用する「永久的ストーマ」と治療の過程で一時的に造設される「一時的ストーマ」に分けられます。永久的ストーマは、肛門やその近くに腫瘍や病変があり、切除に伴い肛門を温存できない場合や、肛門の機能不全がある場合に造設されます。特に大腸がんの直腸切断術(マイルズ術)では、肛門を含めて直腸を切除し、S状結腸に永久的ストーマを造設します。
一時的ストーマは、腸の吻合後における縫合不全の予防、腸閉塞による腸の循環不全、または炎症性腸疾患の治療段階で造設されることが多いです。特に前方切除術では、吻合部を保護する目的で右側結腸または回腸に双孔式ストーマを一時的に造設し、術後1~6ヶ月の間に閉鎖します。潰瘍性大腸炎では大腸全摘術後、一時的ストーマが造設されたのち、最終的にストーマを閉鎖して肛門機能の温存を目指す手術計画が立案されます。
近年、縫合技術の進歩により肛門機能温存を期待できるケースが増えています。しかし高齢者では、ストーマのほうが排泄管理がしやすい場合もあり、患者さんの生活背景と術後のQOL向上を考慮した術式選択が重要です。
ストーマ 種類の造設部位による分類と便の性状の違い
ストーマは造設される腸の部位によって、「結腸ストーマ(コロストミー)」と「回腸ストーマ(イレオストミー)」に大別されます。結腸ストーマは、造設部位によってさらに上行結腸ストーマ、横行結腸ストーマ、下行結腸ストーマ、S状結腸ストーマに分類されます。腸の部位によって便の性状が異なることは、ストーマ装具の選択や患者教育において極めて重要です。
回腸ストーマは、小腸の最終部である回腸に造設されるため、栄養や水分がまだ吸収されていない水様便が排泄されます。消化酵素を多く含むため皮膚への刺激性が強く、排泄量も多いため脱水に注意が必要です。装具も水分吸収性が高く、排泄物量に対応できる容量の大きなものが選択されます。
上行結腸ストーマは回腸ストーマと同様に粥状便が排泄され、横行結腸ストーマは泥状から軟便、下行結腸ストーマは軟便から固形便、S状結腸ストーマでは固形便に近い排泄物が排出されます。直腸に近いほど便は固形化し、皮膚刺激性も低下するため、装具の交換頻度や容量の選択基準も異なります。これらの違いを理解することは、患者さんの日常生活の質を大きく左右する要因となります。
ストーマ 種類の開口部による分類と臨床選択基準
ストーマは開口部の数によって単孔式(エンドストーマ)と双孔式(ループストーマ)に分類されます。単孔式ストーマは開口部が1つで、永久的ストーマとして多く選択されます。双孔式ストーマは開口部が2つあり、口側(肛門側に近い側)からは便が排泄され、肛門側(直腸側に近い側)からは粘液が排泄される特徴があります。
双孔式ストーマの中にはさらに分類があります。係蹄式(ループ式)ストーマは、腸の一部をループ状に引き出して造設され、現在では最も一般的な一時的ストーマの方法です。肛門側のストーマは一般的に小さく造設され、ケアがしやすいように配慮されています。分離式ストーマには、二連銃式ストーマと完全分離式ストーマがあります。
多くの場合、永久的ストーマでは単孔式が選択される理由は、患者さんが長期間装具を装着して生活することになるため、より簡潔で排泄管理が明確な構造が望ましいためです。一時的ストーマでは、吻合部を保護する必要があるため、双孔式が選択されることが多く、術後一定期間経過後にストーマ閉鎖術が実施されます。
ストーマ種類と禁制機能による分類および患者管理の実践
ストーマは機能による分類として「禁制ストーマ」と「非禁制ストーマ」に分けられます。禁制ストーマとは、尿や便が自動的に漏れ出さない仕組みを有するストーマで、カテーテルを用いた導尿や導便が可能な特殊な構造を備えています。代用膀胱として知られるコックパウチ、マインツパウチ、インディアナパウチなどが該当し、尿路ストーマにおける一部の術式で採用されます。
一般的に造設される消化管ストーマおよび標準的な尿路ストーマ(尿管皮膚瘻、回腸導管)は「非禁制ストーマ」です。括約筋がないため、腸管内またはストーマ周辺に排泄物が到達すると自動的に排出されます。このため、排泄物を受け止めて貯留するストーマ装具の継続的な装着が不可欠となります。患者教育の際には、非禁制ストーマでは尿意や便意を感じないこと、そのため装具の定期的な交換と皮膚ケアが生涯にわたって必要になることを丁寧に説明する必要があります。
ストーマ 種類と合併症管理における手術術式の関連性
ストーマの管理と合併症予防には、どの手術術式によってストーマが造設されたかを理解することが極めて重要です。直腸切断術(マイルズ術)では、S状結腸に単孔式の永久的ストーマを造設します。肛門部が大きな創になるため、会陰部の創管理が重要な課題となります。ハルトマン手術では、口側の結腸にストーマを造設しながら肛門を残す方法で、高齢者や姑息的治療を必要とする患者さんに対して実施されることが多いです。この場合、残っている肛門からは少量の粘液が排出されるため、パッドなどによる追加的なケアが必要になります。
前方切除術では、腫瘍を切除して腸管をつなぐ吻合が行われ、縫合不全のリスクを軽減するために一時的な双孔式ストーマが造設されます。括約筋間直腸切除術(ISR)では、肛門と外肛門括約筋を温存しながら腫瘍を切除する先進的な術式ですが、肛門括約筋の一部を切除するため便失禁が生じるリスクがあります。直腸周囲には排尿機能や性機能を司る神経が走行しており、これらが損傷されると排尿障害や性機能障害が生じる可能性があるため、自律神経温存術が優先的に行われています。
術後の排便禁制機能は必ずしも術前と同等に保持されないことを念頭に置き、頻便や便失禁の合併症を管理する場合には、失禁用パッドの使用、食事療法、骨盤底筋訓練を組み合わせたアプローチが求められます。
看護師向けの基礎知識サイト「ナース専科」では、ストーマの種類と造設疾患、術式による分類について、図表を交えた詳細な解説が掲載されています。
アルメディアウェブのストーマケア専門情報では、消化管ストーマの分類体系(期間別、部位別、開口部の数による分類)について、医学的根拠を示す分類表が提供されています。

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