スティーブンス・ジョンソン症候群と症状

スティーブンス・ジョンソン症候群と症状
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初期症状の特徴

発熱は38℃以上の高熱を呈し、頭痛、せき、全身倦怠感が先行症状として認められます。

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皮膚病変の進行

顔面・体幹に赤色または紫色の平坦な発疹が出現し、急速に拡大していきます。

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水疱形成とびらん

発疹中央に水疱が形成され、軽い接触でも容易に破裂してびらんへ進展します。

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粘膜症状の重症化

結膜充血、眼脂、角膜上皮障害、口腔粘膜びらん、排尿・排便時痛が見られます。

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全身状態の悪化

多臓器障害、敗血症、呼吸器症状など生命を脅かす合併症が発生する可能性があります。

スティーブンス・ジョンソン症候群と症状

スティーブンス・ジョンソン症候群における発熱と全身症状

 

スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)は、薬剤性の反応または感染症を契機として発症する重篤な皮膚粘膜疾患です。医療従事者として理解すべき最初の特徴は、急性期における全身症状の出現です。患者は通常、38℃以上の高熱を呈し、同時に頭痛、咳、全身倦怠感を訴えます。これらの症状は非特異的なため、初期段階では上気道感染や流感と誤診されやすい傾向にあります。

薬剤が原因の場合、症状の発症は当該薬剤の使用開始から1~3週間後となることが多いため、用薬歴の詳細な聴取が診断の鍵となります。全身倦怠感は次第に増強し、患者は著しく具合が悪くなり、悪寒を伴う周期的な発熱が認められるようになります。この段階で放置すると、急速に皮膚・粘膜病変が進展するため、高熱とともに皮膚症状が出現した場合には迅速な医学的介入が必須です。

スティーブンス・ジョンソン症候群における皮膚病変の初期像と進行パターン

皮膚病変はしばしば顔面、首、体幹に多発する赤色または紫色の平坦な発疹として出現します。医学的に重要な所見は「非典型的ターゲット状紅斑」で、中央が暗紅色を呈し隆起しない特徴的な形態です。これらの発疹は左右対称的に関節背面を中心に認められ、初期段階では広範囲にわたる斑状紅斑として観察されます。

進行は極めて急速であり、数時間から数日の間に紅斑数が増加し、発疹の面積が次々と拡大していきます。特に注目すべき特徴は、発疹の中央部に水疱が形成されることで、これが水疱を含む紅斑へと変化していきます。患部の皮膚は非常にもろくなり、医療従事者による診察時のわずかな接触やこすれ(ニコルスキー現象を示唆)により容易に剥離します。水疱は1~3日の経過で破裂してびらんへ進展し、二次感染のリスクが著しく高まります。

スティーブンス・ジョンソン症候群における粘膜病変と複合症状

粘膜への病変は皮膚症状と並行して発症し、口腔・眼・外陰部・肛門周囲など複数部位で同時多発的に認められます。口唇・口腔粘膜では発赤とびらんが生じ、患者は著明な疼痛を訴えるようになり、経口摂取が困難になります。これに伴いよだれの流出が認められることもあります。

眼の病変は極めて重篤で、結膜充血、眼脂、角膜上皮障害、虹彩炎として現れます。患者は眼に強い痛みを感じ、眼周囲の腫脹により眼を開けることが困難になります。重篤な場合には痂皮形成により眼がふさがり、角膜に瘢痕形成が生じて視力障害に至る場合があります。この眼合併症は後遺症となりやすく、ドライアイや球結膜との癒着が長期に継続することが医学的な重要課題です。

尿道症状としては排尿時痛が著明で、患者は排尿回数の増加を訴えます。肛門周囲のびらんは排便時痛につながり、患者の全身状態の悪化を加速させます。消化管粘膜が侵された場合は下痢が生じ、呼吸器粘膜が侵された場合は咳や呼吸困難が出現するなど、複数の臓器系が同時に障害される特徴があります。

スティーブンス・ジョンソン症候群における重症化の警告徴候と多臓器障害

医療現場において見落としてはならない重要な点は、スティーブンス・ジョンソン症候群が単なる皮膚疾患ではなく、多臓器を侵す全身病であることです。皮膚剥離面積が体表面積の10%未満の場合がスティーブンス・ジョンソン症候群の定義ですが、これを超えると中毒性表皮壊死融解症(TEN)へ進展する可能性があります。

検査所見では白血球増多、赤沈亢進、CRP陽性といった炎症マーカーの高値が認められます。さらに重要な検査所見は肝機能障害と腎機能障害で、血液検査で電解質異常が検出される場合は脱水の進行を示唆しています。患者の皮膚からは大量の体液とミネラルが喪失され、これが敗血症や多臓器不全への進展を促進します。

呼吸器症状が出現した場合は注意が必要で、呼吸器粘膜の侵襲により肺炎やより重篤な呼吸困難に至る可能性があります。特に急性期を脱した後も、閉塞性細気管支炎という後遺症が残る場合があり、長期的な呼吸管理が必要になることもあります。

スティーブンス・ジョンソン症候群の診断における臨床的視点と鑑別の重要性

スティーブンス・ジョンソン症候群の診断は主として臨床所見に基づいて行われますが、正確な診断のためには複数の診断基準を満たす必要があります。主要所見として、皮膚粘膜移行部に重篤で広範囲な粘膜病変が認められること、汎発性の紅斑に伴う表皮の壊死性障害によるびらん・水疱が認められること、発熱の存在、そして病理組織学的に表皮の壊死性変化が確認されることが挙げられます。

医療従事者が注意すべき点は、非典型的なターゲット状紅斑と症状の急速な進行パターンです。単に急性期の多形紅斑と判断して軽微な治療に留めると、患者の状態は数日のうちに生命危機的な段階へ進行します。皮膚生検により表皮の壊死性変化を組織学的に確認することで、診断精度が向上し、敗血症などの重症感染症との鑑別も可能になります。

多くの患者は初期段階で医療機関に受診した際に、上気道感染や他の自己限定性疾患と誤診されるため、38℃以上の高熱とともに口腔・眼・皮膚に多発する症状が認められた場合には、スティーブンス・ジョンソン症候群を念頭に置いた詳細な評価が重要です。特に用薬歴におけるNSAIDs抗菌薬抗けいれん薬の使用は重要な危険因子として機能します。

難病情報センター:スティーヴンス・ジョンソン症候群の診断基準と臨床症状の詳細
MSD Manual:皮膚剥離の機序と多臓器障害の病態生理

記事を作成するための十分な情報を得たため、記事を作成します。


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