筋疾患一覧と主要な病型の特徴・診断法

筋疾患一覧の主要分類

筋疾患の主要分類
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遺伝性筋疾患

筋ジストロフィー、先天性ミオパチー、代謝性筋疾患など

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炎症性筋疾患

多発筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎など

神経筋接合部疾患

重症筋無力症、筋無力症候群など

筋疾患主要病型の種類と特徴

筋疾患は病因別に大きく4つのカテゴリーに分類されます 。遺伝性筋疾患は最も多様で、筋ジストロフィー、先天性ミオパチー、代謝性筋疾患などが含まれます 。炎症性筋疾患は免疫系の異常により筋肉に炎症が生じる疾患群で、多発筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎が代表的です 。

参考)ミオパチーの種類|(疾患・用語編) ミオパチー|神経内科の主…

神経筋接合部疾患では重症筋無力症が最も頻度が高く、神経筋接合部でのアセチルコリン受容体への自己抗体により筋力低下が生じます 。また、内分泌疾患、薬物、感染などによる二次性筋疾患も重要な分類として存在します 。

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/33/3/33_328/_pdf

筋ジストロフィー分類と病型別特徴

筋ジストロフィーは9つの主要な病型に分類されます 。デュシェンヌ型(DMD)とベッカー型(BMD)はいずれもジストロフィン蛋白の変異異常によるため、合わせてジストロフィン症と呼ばれます 。肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)は主に近位筋の筋力が低下し、症状の多様性が特徴です 。

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/36/4/36_410/_pdf/-char/ja

先天性筋ジストロフィー(CMD)はさらに福山型と非福山型に分けられます 。顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)、筋強直性ジストロフィー(DM)、エメリー・ドライフェス型筋ジストロフィー(EDMD)、眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)、遠位型筋ジストロフィーがその他の主要な病型として挙げられます 。

参考)筋疾患の分類 – 独立行政法人国立病院機構 宇多野病院

先天性ミオパチー診断基準と病型分類

先天性ミオパチーは顕微鏡所見をもとに5つの代表的な病型に分類されます 。ネマリンミオパチー、セントラルコア病・ミニコア病、ミオチュブラーミオパチー・中心核病、先天性筋線維タイプ不均等症・全タイプ1線維ミオパチー、そして分類不能な先天性ミオパチーです 。

参考)先天性ミオパチー(指定難病111) href=”https://www.nanbyou.or.jp/entry/4726″ target=”_blank”>https://www.nanbyou.or.jp/entry/4726amp;#8211; 難病情報…

診断確定には筋生検による筋組織の顕微鏡的確認や遺伝子検査が必要です 。臨床症状として新生児期の自発運動低下、乳幼児期の運動発達遅れ、学童期以降の複数筋での筋力低下が認められます 。筋緊張低下と腱反射の低下または消失も重要な診断指標となります 。

参考)先天性ミオパチー – 遺伝性疾患プラス

炎症性筋疾患の分類と診断アプローチ

炎症性筋疾患は臨床病理学的特徴により4つの主要病型に分類されます 。皮膚筋炎は特徴的な皮膚所見を伴い、多発筋炎とは病理組織像も異なります 。壊死性自己免疫性筋炎は通常進行が速く、クレアチンキナーゼ(CK)値が非常に高くなる特徴があります 。

参考)炎症性筋疾患 – 独立行政法人国立病院機構 宇多野病院

封入体筋炎は他の炎症性筋疾患とは異なる病理学的特徴を示します 。診断には筋電図検査、筋画像検査、血液検査での筋酵素上昇、筋炎関連自己抗体の検出が重要です 。抗Jo-1抗体をはじめとする筋炎関連自己抗体の測定は診断と病型分類に極めて有用です 。

重症筋無力症の病型分類と症状評価

重症筋無力症(MG)は病態から6つのサブタイプに分類されます 。眼筋型(OMG)、早期発症全身型(g-EOMG)、後期発症全身型(g-LOMG)、胸腺腫関連全身型(g-TAMG)、MuSK抗体陽性全身型(g-MuSKMG)、抗体陰性全身型(g-SNMG)です 。

参考)診断までの流れ

MGFA分類による重症度評価では、クラスIの眼筋型から、クラスVの気管内挿管を要する重度まで段階的に分類されます 。患者の約半数が眼筋型として発症し、50-60%が発症2年以内に全身型に進展するとされています 。診断にはアセチルコリン受容体抗体、MuSK抗体の検出が重要です 。

参考)重症筋無力症(指定難病11) href=”https://www.nanbyou.or.jp/entry/272″ target=”_blank”>https://www.nanbyou.or.jp/entry/272amp;#8211; 難病情報センタ…

代謝性筋疾患における特殊な病態機序

代謝性筋疾患の中でもミトコンドリア病は特に重要な疾患群です 。ミトコンドリアでのATP産生能が低下することで、特にエネルギーを多く必要とする脳、骨格筋、心筋で症状が現れやすくなります 。原因は核DNAにコードされた遺伝子変異とミトコンドリアDNA(mtDNA)の異常の両方があります 。

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jser/75/1/75_1/_pdf

糖原病では筋肉でのグリコーゲン代謝異常により筋症状が現れます 。II型(Pompe病)、III型(Forbes-Cori病)、V型(McArdle病)、VII型(垂井病)などが代表的な病型です 。血中乳酸高値、母系遺伝、複数臓器症状の存在がミトコンドリア病を疑う重要な手がかりとなります 。興味深いことに、糖尿病患者の約1%がミトコンドリア病に起因するとも考えられています 。

参考)筋疾患

難病情報センター「神経・筋疾患」

重症筋無力症の詳細な診断基準と医療費助成の評価指標について記載

日本神経学会「筋疾患診療ガイドライン」

ミオパチーの分類と代表的疾患の詳細な解説

神経筋疾患ポータルサイト

筋疾患、末梢神経疾患、神経筋接合部疾患の包括的な疾患情報