睡眠時無呼吸症候群の病院の近くでの探し方
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し停止する病気で、日本人の成人男性の約3%、成人女性の約0.5%に存在すると報告されています。医療従事者として患者さんに適切な医療機関を案内するには、診療科の特性と検査体制を理解しておく必要があるんです。
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睡眠時無呼吸症候群の診療は多岐にわたる診療科で行われており、内科、呼吸器内科、循環器科、耳鼻咽喉科、睡眠外来、歯科・口腔外科、精神科などが主な選択肢となります。患者さんの症状や合併症の有無によって、最適な診療科は異なってくるんですよ。
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睡眠時無呼吸症候群の診療科の選び方
呼吸器内科は日中の眠気や全身症状、生活習慣病を合併している場合に適した診療科です。特に高血圧や糖尿病などの合併症がある患者さんには、呼吸器内科での総合的な管理が推奨されるんです。
一方、いびきが主体の症状や上気道に異常が疑われる場合、小児の睡眠時無呼吸症候群では耳鼻咽喉科が適しています。耳鼻咽喉科では鼻腔や咽喉頭の閉塞の有無を評価し、外科的治療の適応も判断できるんですよ。
参考)睡眠時無呼吸症候群
睡眠外来は複雑な症例や他の睡眠障害との鑑別が必要な場合、専門的な診療を希望する際に選択される診療科です。睡眠外来では睡眠障害を専門に扱う医師が在籍し、あらゆる睡眠に関する悩みに対応できる体制が整っているんです。
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睡眠時無呼吸症候群の病院の近くでの具体的な探し方
医療機関を探す際には、まずオンラインの医療機関検索サービスを活用するのが効率的です。都道府県別や市区町村別に睡眠時無呼吸症候群の診療を行っている医療機関を検索できるサービスが複数存在しているんです。
口コミ評価も医療機関選びの重要な参考情報になります。Google口コミや医療機関の口コミサイト、SNSなどで利用者の意見や感想を確認することで、公式サイトには書かれていない情報が見つかることもあるんですよ。
アクセスの良さは継続的な治療において非常に重要な要素です。睡眠時無呼吸症候群の治療では定期的な受診が必要となるため、自宅から近い、仕事帰りに通える、駐車場があるなどの条件を満たす医療機関を選ぶことで、治療の継続率が高まるんです。
無呼吸ラボ – 全国診療施設一覧では、睡眠時無呼吸症候群の診療を行っている全国の医療機関を地域や条件から検索できます。
参考)全国診療施設一覧
睡眠時無呼吸症候群の検査と診断の流れ
初診時には問診が行われ、日常生活での眠気の強さ、いびきの有無、合併症のリスクなどが確認されます。家族や同居人からの情報も診断において大変重要なので、可能な範囲で状況をメモしておくとスムーズに診察が進むんです。
簡易ポリソムノグラフィー(PSG)検査は、睡眠時無呼吸症候群が疑われた際に最初に行う検査です。自宅で検査機器を取り付けて一晩寝ることにより、呼吸状態、動脈血酸素飽和度、脈拍の測定ができるんですよ。1時間当たり40回以上の無呼吸発作(AHI)でCPAP治療の保険適応となります。
終夜睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)検査は、睡眠時無呼吸症候群の確定診断に用いられる精密検査です。脳波、眼球運動、心電図、筋電図、呼吸曲線、いびき、動脈血酸素飽和度などを一晩にわたって測定する検査で、総睡眠時間が測定できるため、1時間あたりのAHIを正確に測ることができるんです。
検査項目 | 簡易PSG検査 | 終夜PSG検査 |
---|---|---|
実施場所 | 自宅 | 医療機関(入院) |
測定項目 | 呼吸状態、酸素飽和度、脈拍 | 脳波、眼球運動、心電図、筋電図、呼吸、酸素飽和度など |
CPAP適応基準 | AHI≧40 | AHI≧20 |
所要時間 | 1晩 | 1晩(夕方~翌朝) |
日本呼吸器学会 – 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020には、検査や診断、治療の詳細な基準が記載されています。
参考)https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf
睡眠時無呼吸症候群の治療方法と医療機関の対応
CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)は、中等度から重症度の睡眠時無呼吸症候群に対して最も有効な治療法です。睡眠中に専用のマスクを装着し、機械から加圧した空気を鼻から送り込むことで、睡眠中の無呼吸を予防する治療なんです。
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マウスピース療法は、簡易アプノモニター検査で5≦AHI<15の方、PSG検査で5≦AHI<20の方、CPAP治療がうまく装着できないなどの理由で継続できない方に適応となる治療法です。軽症から中等症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者では、有効な治療オプションとなり得るんですよ。
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生活習慣の改善も睡眠時無呼吸症候群の治療において重要な要素です。肥満や飲酒は睡眠時無呼吸症候群の原因であったり増悪因子となるため、肥満の方は体重減少が効果的な治療となり、飲酒も控えめにしたほうが良いんです。
治療法 | 適応 | 特徴 |
---|---|---|
CPAP療法 | AHI≧20(PSG検査)AHI≧40(簡易検査) | 最も効果的な治療法血圧低下効果も期待 |
マウスピース療法 | 5≦AHI<20(PSG検査)5≦AHI<15(簡易検査) | 軽症~中等症に有効CPAP不耐例にも適応 |
生活習慣改善 | 全症例 | 体重減少、飲酒制限横向き就寝 |
外科的治療 | 上気道異常例 | 扁桃肥大など構造的問題に対応 |
睡眠時無呼吸症候群と合併症の関係
睡眠時無呼吸症候群の患者さんのうち約68%に高血圧の合併が観察されたとの報告があります。睡眠中の無呼吸は血圧に大きな変動を与え、交感神経が興奮することで急激に血圧が上昇するんです。
日本人の高血圧患者さんのおよそ10%が睡眠時無呼吸症候群を合併しており、治療抵抗性の高血圧の方に限っては約80%が睡眠時無呼吸症候群を合併していると報告されています。降圧薬を内服しても血圧がなかなか下がらない場合、睡眠時無呼吸症候群の関与を疑うことが大切なんですよ。
心血管疾患も睡眠時無呼吸症候群と関連が強い合併症です。睡眠中の無呼吸により心臓への負荷が増し、心不全の進行を加速させる恐れがあるほか、心房細動などの不整脈のリスクを高めることが知られているんです。
参考)睡眠時無呼吸症候群と循環器・消化器疾患の深い関係とは?
糖尿病との関連も報告されており、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは一般の人に比べて糖尿病になるリスクが高いと言われています。睡眠の質が低下することで交感神経が刺激され、ストレスホルモンが過剰に分泌されることで血糖値や血圧が上昇し、脂肪が増加しやすくなるんです。
医療従事者として知っておくべき睡眠時無呼吸症候群の診療体制
睡眠時無呼吸症候群の管理は医師単独よりも医療チームとして行われるため、多職種連携が重要です。呼吸器専門医と耳鼻咽喉専門医が共同で睡眠治療を行っている医療機関では、多方面から睡眠時無呼吸症候群の診断治療が可能になるんです。
在宅での持続陽圧呼吸療法に関しては健康保険適用を基準とした診療が行われており、慢性心不全患者でNYHA Ⅲ度以上、睡眠時にチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上確認されている場合などが対象となります。
最初に受診した診療科が患者さんのCPAP治療の受け入れに影響を与えることが報告されており、適切な診療科への案内が治療継続率を高める可能性があるんですよ。医療従事者として、患者さんの症状や背景に応じた適切な医療機関への案内が求められます。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10613393/
睡眠時無呼吸症候群の診療ガイドライン2020では、大項目で36個(小項目も含めれば89個)のクリニカルクエスチョン(CQ)が示されており、治療に関するものだけでなく、臨床的特徴、検査、診断、予後、車の運転、遠隔医療など幅広いトピックがカバーされています。このガイドラインは医師および医療チーム全体が参考にできるように作成されているんです。
参考)https://www.nankodo.co.jp/g/g9784524245338/
日本呼吸器学会 – 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020公式ページでは、ガイドラインの詳細な目次と内容を確認できます。
参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020 – …
睡眠時無呼吸症候群は、適切な診断と治療によって無呼吸がなくなり、日中の眠気や生活習慣病などもきちんとコントロールできる病気です。医療従事者として、患者さんが適切な医療機関を選択し、継続的な治療を受けられるようサポートすることが重要なんですよ。