スチブロン軟膏とリンデロンの違い|成分・強さ・使用部位

スチブロン軟膏とリンデロンの違い

この記事で理解できる3つのポイント
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成分とジェネリック医薬品の違い

スチブロン軟膏はジフルプレドナート製剤のジェネリック医薬品、リンデロンはベタメタゾン製剤の先発品という違いがあります

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ステロイド強さランクの違い

スチブロン軟膏はⅡ群(とても強い)、リンデロンV/VGはⅢ群(強い)、リンデロンDPはⅡ群に分類され、適応部位が異なります

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臨床での使い分けと注意点

部位別の使用基準、副作用リスク、患者指導のポイントを理解することで安全で効果的な治療につながります

スチブロン軟膏の成分と先発品

スチブロン軟膏は、有効成分としてジフルプレドナートを1g中に0.5mg(0.05%)含有するステロイド外用剤です。この製剤は、マイザー軟膏のジェネリック医薬品(後発医薬品)として位置づけられており、2019年に名称が「ジフルプレドナート軟膏0.05%『イワキ』」に変更されました。ジフルプレドナートは合成副腎皮質ステロイドであり、血管収縮作用、抗炎症作用、免疫抑制作用などの薬理学的効果を発揮します。

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国内臨床試験においてマイザー軟膏の有効性は89.3%と報告されており、特に虫さされ、薬疹・中毒疹では有効率100%、湿疹・皮膚炎群で96.8%、脂漏性皮膚炎で96.7%など、多くの皮膚疾患に対して高い効果を示しています。スチブロン軟膏はこの先発品と同等の成分を含有しているため、同様の効果が期待できます。

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なお、剤形には軟膏のほかにクリームやローションも存在し、病変の性状や部位に応じて使い分けられます。

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リンデロン軟膏の種類と成分

リンデロン軟膏には、「リンデロンDP」「リンデロンV」「リンデロンVG」「リンデロンA」の4種類が存在し、それぞれ有効成分とステロイドの強さランクが異なります。

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リンデロンVは、ベタメタゾン吉草酸エステルを主成分とするⅢ群(Strong:強い)ステロイド外用剤です。リンデロンVGは、同じベタメタゾン吉草酸エステルに加えて抗生物質ゲンタマイシン硫酸塩を配合しており、細菌感染の可能性がある皮膚疾患に使用されます。リンデロンDPは、ベタメタゾンジプロピオン酸エステルを主成分とし、Ⅱ群(Very Strong:とても強い)に分類されるため、頑固な湿疹や乾癬などに用いられます。

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リンデロンAは眼耳科用として開発され、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウムとフラジオマイシン硫酸塩抗生物質)を含み、正式にランク分けされていませんがⅤ群(Weak:弱い)相当とされています。​
これらはすべて先発医薬品であり、リンデロンVのジェネリックとしてはベタメタゾン吉草酸エステル軟膏やデルモゾール軟膏が存在します。​

スチブロン軟膏とリンデロンのステロイド強さランク比較

ステロイド外用剤は、その作用の強さによって5段階(Ⅰ~Ⅴ群)にランク分けされており、臨床現場では患部の状況や部位に応じて適切な強さのステロイドを選択します。

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以下の表は、スチブロン軟膏とリンデロン製剤の強さランクと推奨使用部位を整理したものです。​

製品名 強さランク 主成分 推奨使用部位
スチブロン軟膏 Ⅱ群(Very Strong) ジフルプレドナート 手足や体幹の皮膚が厚い部分
リンデロンDP Ⅱ群(Very Strong) ベタメタゾンジプロピオン酸エステル 手足や体幹の皮膚が厚い部分
リンデロンV Ⅲ群(Strong) ベタメタゾン吉草酸エステル 手足や体幹の皮膚が薄い部分も可
リンデロンVG Ⅲ群(Strong) ベタメタゾン吉草酸エステル+抗生物質 手足や体幹の皮膚が薄い部分も可
リンデロンA Ⅴ群(Weak)相当 ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム+抗生物質 顔、まぶた、耳

スチブロン軟膏はリンデロンDPと同じⅡ群に分類されますが、よく処方されるリンデロンVやリンデロンVGと比較すると1ランク強力です。このため、スチブロン軟膏は手足や体幹の頑固な湿疹や乾癬など、皮膚が厚く強い炎症がある部位に適しています。

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一方、リンデロンVやVGは皮膚が比較的薄い部位にも使用可能であり、より広範囲の適応を持ちます。強さランクを誤って使用すると、副作用のリスクが高まるため、医療従事者は患者への正確な説明と誤用防止策が求められます。

参考)https://pharmacist.m3.com/column/special_feature/6778

スチブロン軟膏とリンデロンの使用部位と適応疾患

ステロイド外用剤の選択においては、強さランクだけでなく、使用部位の皮膚の厚さや吸収率を考慮する必要があります。皮膚の薬剤吸収率は部位によって大きく異なり、腕の内側を1とした場合、頬は13倍、陰部はさらに高い吸収率を示します。

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スチブロン軟膏は、湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、脂漏性皮膚炎放射線皮膚炎など)、痒疹群、虫さされ、乾癬掌蹠膿疱症、扁平紅色苔癬円形脱毛症肥厚性瘢痕ケロイドなど広範囲の皮膚疾患に適応があります。Ⅱ群のステロイドであるため、主に手足や体幹の皮膚が厚い部分に使用されます。​
リンデロンVおよびVGは、アトピー性皮膚炎接触皮膚炎脂漏性皮膚炎、尋常性乾癬、虫刺され、痒疹群、掌蹠膿疱症円形脱毛症などに使用され、体幹や手足の比較的皮膚が薄い部分にも適応できます。ただし、顔や首、陰部などのデリケートな部位への使用は原則として避け、より弱いステロイドやごく短期間の使用にとどめることが推奨されます。

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市販薬としては、リンデロンVsがベタメタゾン吉草酸エステルを同成分同量配合したスイッチOTC医薬品として販売されており、虫刺されや湿疹に使用できますが、スチブロン軟膏には市販薬は存在しません。​

スチブロン軟膏とリンデロンの副作用と注意点

ステロイド外用剤の副作用は、主に局所的なものであり、皮膚萎縮、多毛、毛嚢炎、にきび、白内障緑内障などが報告されています。特に顔面など表皮の薄い部位にステロイドを長期間使用すると、酒さ様皮膚炎のリスクが高まります。これは皮膚の吸収率が高い部位では副作用が現れやすいためです。

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強いステロイド外用剤ほど副作用のリスクも増加するため、スチブロン軟膏のようなⅡ群のステロイドは、適応部位と使用期間を厳守する必要があります。また、ステロイド外用剤は皮膚の局所免疫を抑制するため、細菌やカビ(真菌)などの感染症を引き起こす可能性があり、水いぼなどに塗るとかえって悪化することがあります。

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眼瞼周囲への使用は白内障緑内障の副作用リスクがあるため、特に注意が必要です。顔面にステロイドを使用する場合は、なるべくⅣ群(Medium:ミディアム)のロコイド、キンダベート、アルメタなどを選択することが推奨されます。​
患者が「ステロイドによる色素沈着」を心配することがありますが、これは誤解であり、皮膚の色が黒くなるのは皮膚炎そのものの影響であってステロイド外用剤のせいではありません。医療従事者は、このような誤解を解き、適切な服薬アドヒアランスを向上させるための説明が重要です。​

スチブロン軟膏とリンデロンの臨床での使い分けと患者指導

医療現場では、患者の年齢、疾患の種類と重症度、皮疹の部位と範囲に応じて適切なランクや剤形ステロイド外用剤を選択します。スチブロン軟膏とリンデロンDPは同じⅡ群であるため、手足や体幹の頑固な湿疹や乾癬など、強い炎症を伴う病変に用いられます。一方、リンデロンVやVGは1ランク弱く、より幅広い部位に使用可能です。​
ステロイド外用剤の適切な使用量は、フィンガーチップユニット(FTU)を基準とします。これは、口径5mmのチューブから大人の人差し指の第一関節の長さに押し出した量(約0.5g)を、大人の手のひら約2枚分の範囲に塗る目安です。表面がテカってベタつく程度、ティッシュペーパーが貼りつくくらいが適切な塗布量とされています。

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使用方法としては、清潔な手で清潔な皮膚に塗布し、擦り込まずにやさしく伸ばすことが重要です。お風呂上がりなど肌が清潔な状態が最適ですが、体のほてりがおさまってから塗布します。チューブの口に指が触れないように注意し、チューブ内のお薬を汚染しないよう配慮します。

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患者指導においては、複数のステロイド外用剤が処方された場合、誤用を防ぐために「手足用」「顔用」といったシールを薬のチューブに貼るなどの工夫が推奨されます。5~6日間使用しても改善しない場合や、逆に症状が悪化した場合は、速やかに医師に相談するよう指導します。

参考)ステロイド外用剤の上手な使い方|くすりと健康の情報局


医療従事者は、ステロイド外用剤に対する患者の不安や誤解を解消し、適切な治療アドヒアランスを確保するための丁寧な説明が求められます。​

これで十分な情報が集まりました。タイトル作成に向けて、単語リストを抽出して記事を作成します。