ソルデム3a点滴 効果と維持液の役割

ソルデム3a点滴と維持液の役割

ソルデム3a点滴の基本情報
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定義と分類

ソルデム3aはブドウ糖-電解質液であり、経口摂取不能または不十分な場合の水分・電解質補給を目的とした維持液です

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製剤形態

無色澄明の液剤で、200mL、500mL、1000mLの規格があり、処方箋医薬品として医療機関で使用されます

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製造販売元

テルモ株式会社が製造販売しており、医療現場で広く採用されている標準的な維持液です

ソルデム3a点滴の成分構成と電解質濃度

ソルデム3a点滴(500mL)の組成は以下の通りです。

ブドウ糖は21.5g含有され、エネルギー補給の役割を担い、1袋で86kcalを提供します。塩化ナトリウムは0.45g、塩化カリウムは0.745gが配合され、L-乳酸ナトリウム液は2.240g(L-乳酸ナトリウムとして1.120g)含まれています。

電解質濃度の詳細は以下の通りです。ナトリウムイオン(Na⁺)は17.5mEq/L、カリウムイオン(K⁺)は10mEq/L、塩素イオン(Cl⁻)は17.5mEq/Lで、L-乳酸イオンは10mEq/Lです。このバランスの取れた組成により、生理的に近い電解質補給が実現します。200mLの小容量タイプでは、これらの成分が5分の1に調整されています。

この成分構成は、単なる水分補給ではなく、細胞内外液の浸透圧を維持しながら、生命維持に必要な最小限の電解質を補給することを目的としています。

ソルデム3a点滴の効果と臨床効果の実現メカニズム

ソルデム3a点滴の主な効果は、経口摂取不能または不十分な状態における水分・電解質の補給・維持です。生命維持により体内から失われる水分と電解質、すなわち尿排出と不感蒸泄(皮膚や粘膜、呼気から蒸発する水分)により失われた分を補給します。

成人の1日必要水分量は約2000mLであり、ソルデム3a点滴(500mL)を4本投与すれば、主要電解質の1日必要量が補給できる設計となっています。カリウムの1日必要量は40mEqですが、ソルデム3a点滴(500mL)には10mEqが含有されているため、正確には4本(2000mL)で40mEqの維持が可能です。

投与速度は通常成人の場合、1時間当たり300~500mLが標準です。小児の場合は1時間当たり50~100mLですが、患者の年齢、症状、体重により適宜増減されます。本剤投与時には、患者の尿量が1日500mL以上、または1時間当たり20mL以上あることが望ましいとされています。

ソルデム3a点滴と他の維持液との使い分けの基準

医療現場では、複数の種類の維持液が存在し、患者の状態に応じて使い分けられます。ソルデム1輸液は開始液(1号液)であり、脱水症状や症状原因が不明確な初期段階で使用されます。ソルデム2輸液は脱水補給液(2号液)で、カリウムなどの電解質をより多く含み、電解質バランスが崩れている脱水症状に対応します。

ソルデム3a点滴は維持液(3号液)として、ソルデム3輸液よりも糖濃度が高く、ナトリウムとクロールの電解質濃度が低い特徴があります。ソルデム3ag輸液はグルコース(ブドウ糖)をより多く配合しており、エネルギー補給が重視される場合に選択されます。ソルデム3pg輸液はリン酸(P)とグルコース(G)を追加配合した製品です。

ナトリウム濃度及び細胞外液が低めの場合、ソルデム3a点滴ではナトリウム濃度が低下してしまうため、他の輸液にカリウムを混注する対応が行われます。患者の電解質検査値を踏まえ、適切な輸液が選択される必要があります。

ソルデム3a点滴の投与対象患者と禁忌事項

ソルデム3a点滴は、意識障害がある場合、障害により口からの水分・電解質補給が難しい患者、感染症や脱水症、外傷時、手術後などにより体液バランスが崩れた患者に使用されます。意識がしっかりしていない患者や、嚥下機能が著しく低下した患者には特に重要な役割を果たします。

一方、投与に際して注意が必要な患者層があります。糖尿病患者ではブドウ糖の含有量に留意する必要があり、高血圧患者ではナトリウムの総摂取量を考慮します。腎機能が低下している患者では、カリウムの蓄積を避けるため、他の輸液選択やカリウム混注の回避が検討されます。

高齢者では、500mLを1日4本の輸液では水分が過量になる傾向があるため、1日2~3本で充分なことが臨床経験から知られています。心不全のある小柄な高齢者では、1日1本の投与でも充分な場合もあります。抗菌薬など同時投与される薬剤の水分量も計算に入れることが、適切な輸液管理につながります。

ソルデム3a点滴の投与に関する実践的指針と浸透圧特性

ソルデム3a点滴の浸透圧比は生理食塩液に対して約1(等張)であり、血管内へのストレスが少ない特性があります。点滴後、血管内に分布した水分は72mLにとどまり、関出液(間質液)に214mL、細胞内に214mLが分布する特徴があります。つまり、投与された水分の大部分が血管外に分布するため、むくみの軽減と細胞間の水分バランス維持に貢献します。

投与時間は通常成人で1時間当たり300~500mLの速度が標準ですが、患者の状態に応じた調整が求められます。pH値は5.0~6.5の弱酸性であり、血液のpH(7.35~7.45)に近い調整がされています。L-乳酸ナトリウムが緩衝物質として機能し、投与による酸塩基平衡への影響を最小限に抑えています。

副作用は比較的少なく、適正使用することでリスクは低いと考えられています。注射部位の疼痛や皮膚炎が報告されることがありますが、重篤な有害事象は稀です。投与前後の患者の臨床状態観察、尿量測定、電解質検査により、安全かつ効果的な輸液管理が可能になります。


参考リンク:点滴・輸液の種類と選択について、医療専門家向けガイダンスを提供しています。

一歩進んだ輸液の考え方 – 維持液の実践的理解

参考リンク:ソルデム製品情報と添付文書の詳細については、医療用医薬品データベースに記載されています。

医療用医薬品:ソルデム(商品詳細情報)

これで必要な情報が揃いました。医療従事者向けのブログ記事を作成します。