システインの効果
システインの美白効果とメラニン抑制のメカニズム
L-システインは、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を多角的に抑制する効果を持っています。メラニン生成の過程では、チロシナーゼという酵素がチロシンというアミノ酸をメラニンに変化させます。L-システインは、このチロシナーゼの産生を阻害し、さらに産生されたチロシナーゼがチロシンを活性化するのをブロックする働きがあります。
参考)しみに効くしくみ|トランシーノホワイトCシリーズ|第一三共ヘ…
ビタミンCと併用することで、メラニン色素の沈着抑制効果がさらに高まることが報告されています。ビタミンCはできてしまったメラニンを褐色化させる直接還元作用を持ち、メラノサイト内でドーパキノンをその前段階のドーパに還元する作用も持っています。
参考)https://www.rakuten.ne.jp/gold/pycno/special/about_cystine.html
抗酸化作用も美白効果に寄与しており、紫外線や酸化ストレスによって生成される活性酸素から皮膚を守ります。健康的な皮膚を維持するためには、この抗酸化作用が極めて重要です。
第一三共ヘルスケア|L-システインの美白メカニズム詳細
システインの疲労回復と代謝促進効果
L-システインは、エネルギー代謝において中心的な役割を果たすTCAサイクル(クエン酸回路)に深く関与しています。このサイクルが滞ると、全身の疲れやだるさの原因となります。L-システインは、TCAサイクルに重要な「SH酵素」をつくるサポートを行うことで、エネルギー代謝を促進し、疲労感の改善に効果を発揮します。
参考)代謝※を促し、シミにも疲れ*にもダブルに効く。ハイチオールC…
肌の新陳代謝(ターンオーバー)を正常化する働きもあり、ビタミンB2やビタミンB6と協力して作用します。通常、肌のターンオーバーの周期は約28日から6週間とされており、継続的な摂取によって効果が実感しやすくなります。
参考)L-システインの効果とは?取り入れ方・飲み方のコツ・注意点を…
二日酔いの主な原因であるアセトアルデヒドという有害物質に対しても、L-システインは直接反応して無毒化する作用を持っています。肝臓内でアルコールを分解する酵素の働きを助ける効果もあり、二日酔い改善の医薬品成分として広く利用されています。
参考)日本理化学薬品株式会社
システインの髪や爪への効果とケラチン合成
システインは、髪や爪の主要構成成分であるケラチンタンパク質に豊富に含まれるアミノ酸です。人の毛髪のケラチンには約18%のシスチン(システインが2つ結合した形)が含まれており、これは表皮タンパク質中のシスチン含量(約3%)と比較して非常に高い割合です。
参考)システイン(シスチン)|成分と機能|キリングループ 協和発酵…
シスチン結合(ジスルフィド結合)は、システインに含まれる硫黄原子同士が結合することで形成され、この結合が毛髪や爪に柔軟性と硬さをもたらす秘密となっています。髪内部のたんぱく質密度を維持し、ボリューム感をサポートする効果や、枝毛や切れ毛の発生を抑える効果が期待されています。
爪の強度をサポートする効果も認められており、システインが不足するとケラチンの構成成分が足りなくなり、髪の毛や爪の健康を保てなくなります。経口摂取したシステインやメチオニン(体内でシステインに変換される必須アミノ酸)が、髪や爪の健康維持に貢献することが示されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10240182/
システインとグルタチオンの抗酸化作用の違い
L-システインとグルタチオンは、どちらも抗酸化作用を持つ成分ですが、構造と体内での働きに明確な違いがあります。グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンという3つのアミノ酸から成るトリペプチドで、直接的な抗酸化物質として機能し、有害物質やフリーラジカルの中和をサポートします。
参考)https://www.suplinx.com/shop/e/e20000559/
一方、L-システインは単体のアミノ酸として存在し、グルタチオン生成の材料となるだけでなく、髪や皮膚組織の健康維持にも欠かせない成分です。システインが不足するとグルタチオンの生成が滞り、細胞の酸化ダメージが増える恐れがあります。
両者を組み合わせて摂取することで、より高い相乗効果が期待できます。グルタチオンは抗酸化の中心的プレイヤーであり、システインはその生成を助ける要となるため、肌のくすみやシミの軽減だけでなく、体全体の細胞レベルでの酸化ストレスを減らす効果が高まります。免疫機能のサポートにもつながり、外的ストレスに対する抵抗力を養う点でも相乗効果が期待できます。
美白・抗酸化におけるグルタチオンとシステインの比較詳細
システインを多く含む食品と効果的な摂取方法
L-システインは、動物性タンパク質を中心とした様々な食品に含まれています。特に多く含まれる食材には以下のようなものがあります:
- 🐟 魚介類:マグロ、カツオ、サケ、イワシ、いくら
- 🍖 肉類:鶏むね肉、牛赤身肉、豚肉、鶏肉
- 🥚 卵:鶏卵(L-システイン、ビタミンA、鉄分を含む)
- 🫘 大豆製品:納豆、豆腐などの大豆製品
- 🌱 その他:のり、ごま(ビタミンE、ミネラルも豊富)
効果的な摂取方法として、ビタミンCと一緒に摂取することでメラニン色素の沈着抑制効果が高まることが知られています。ビタミンCは熱に弱く水に溶けやすい性質があるため、生で食べられる果物や野菜をそのまま摂るのがおすすめです。
参考)Lシステインは効果ない?|含有量が多い食品やおすすめの摂り方…
また、体内でシステインに変換されるメチオニンが多く含まれる食品をしっかり摂ることも、体内のシステイン量を増やすことにつながります。抗酸化作用を高めるためには、バランスの取れた食事を心がけ、ビタミンEなどの脂溶性ビタミンは油と一緒に摂取し、タンパク質と組み合わせて摂取することが推奨されています。
参考)https://munakata-cl.jp/wp/wp-content/uploads/2016/03/L-sisuteinn.pdf
食品カテゴリ | 主な食材 | 含有栄養素 |
---|---|---|
魚介類 | マグロ、カツオ、サケ | L-システイン、タンパク質、鉄分 |
肉類 | 鶏むね肉、牛赤身肉 | L-システイン、タンパク質、ビタミンB群 |
大豆製品 | 納豆、豆腐 | L-システイン、良質なタンパク質 |
種実類 | ごま、アーモンド | L-システイン、ビタミンE、ミネラル |
システインの副作用と適切な摂取量の注意点
L-システインは一般的な食品に多く含まれており、サプリメントとして摂取する場合でも副作用はほとんど報告されていません。公的機関の情報では、1日に240mgの量で10日間服用した際にも副作用は見られず、1日に480mgを2週間服用した試験でも特別重大な副作用の報告はありませんでした。
ただし、過剰摂取が続くと稀に軽度の腹痛や下痢、嘔吐などの症状が見られるため、摂取量に注意が必要です。妊婦や授乳中の方はなるべく使用を控えることが望ましいとされています。
サプリメントや医薬品を使用する際は、用法用量を守り、過剰摂取にならないように注意しましょう。過剰摂取による健康への悪影響や、医薬品の場合は悪心・下痢などの副作用のリスクが高まることがあります。気になる症状が現れたら服用を中止し、医師や薬剤師に相談することが推奨されています。
血糖値を調整する効果があることから、手術など血糖をコントロールする必要がある場合は、前もって服用を中止する必要があるかもしれません。糖尿病の方は、サプリメントや健康食品の摂取を考える際は自己判断せず、医療従事者に相談することが大切です。
継続的な摂取が効果実感のカギとなりますが、1ヶ月以上続けないと効果は実感しづらいため、焦らずしっかり継続することが重要です。
エスエス製薬|L-システインの肌代謝と安全性情報