施設連携加算と算定例と要件と点数

施設連携加算 算定例

施設連携加算 算定例:押さえる3点

要件は「訪問」と「協働」

施設に実際に訪問し、施設職員と協働して服薬管理を支援した実態が必要です(単なる一包化や情報共有だけでは不足)。

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摘要欄コードで理由を明確化

算定理由は摘要欄への記載が求められ、レセプト電算コード(820101262/263/264 など)で根拠を示すと監査対応が楽になります。

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月1回・50点の設計思想

点数は「月1回に限り50点」で、入所時・処方変更・副作用相談など“重点的な支援が必要な局面”を狙う設計です。

施設連携加算 算定例の前提:外来服薬支援料2と50点

施設連携加算は、外来服薬支援料2の加算として新設され、算定要件を満たした場合に「月1回に限り50点」を上乗せできる位置づけです。

対象となるイメージは「施設入所者の服薬管理を、薬剤師が施設職員と協働して立て直す」ことであり、単なる調剤の延長ではなく“服薬管理プロセスの再設計”が中心になります。

現場では「外来服薬支援料2で一包化を作ったからOK」ではなく、訪問して保管状況・服薬状況・残薬・相互作用などを薬剤師が直接確認し、支援措置を組み立てることが核になります。

算定の入口として、次の2点を最初にチェックすると迷いが減ります。

  • 対象施設:地域密着型介護老人福祉施設/介護老人福祉施設(特養)への入所者が基本。

    参考)https://pharmacist.m3.com/column/chouzai_santei/6475

  • 実施条件:患者または家族の同意、医師の了解が必要と整理されている解説があるため、事前に施設側の運用(同意取得の導線)を作っておくと安定します。​

施設連携加算 算定例:入所時で薬剤が多い場合

算定に該当し得る代表例が「入所時で服用薬が多く、入所後の服薬管理について施設職員と協働した服薬支援が必要と薬剤師が認めた場合」です。

このとき重要なのは、“薬が多い”という状態の記述だけでなく、施設オペレーション上のリスク(配薬回数の多さ、剤形のばらつき、粉砕可否、保管の混在、残薬発生など)を訪問で確認し、介護職が実行できる形に落とし込むことです。

摘要欄は、算定理由コード「820101262(施設入所時であって、服用している薬剤が多いため)」が整理されている資料があり、理由の明確化に使えます。

入所時の“支援の実態”を作る具体例(監査で説明しやすい形)を挙げます。

  • 服薬カレンダー/配薬トレーの運用を施設の現物で確認し、時間帯別の一包化・色分け・注意喚起(眠前の転倒リスク等)を提案する。​
  • 院内処方・他薬局調剤分・持参薬の混在を整理し、「何がいつまで残っているか」を棚卸しして残薬を可視化する。​
  • 重複・相互作用・副作用が疑われる症状の観察ポイントを、施設職員が記録できる言葉に翻訳して共有する。​

施設連携加算 算定例:新たな薬剤処方や用法用量変更

「新たな薬剤が処方された/用法・用量が変更された」ことで、従来と異なる服薬支援が必要になったケースも算定対象として示されています。

ここで“変更があったから算定”ではなく、変更によって施設の服薬管理手順が破綻するポイントを見つけ、手順・資材・記録の3点を一緒に作り直すのが実務的です。

摘要欄の算定理由として「820101263(新たな薬剤が処方された若しくは薬剤の用法又は用量が変更となったため)」が一覧で示されています。

算定例として起こりやすいのは、以下のような“運用変更を伴う処方変更”です。

  • 昼追加で配薬回数が増え、介護職の配薬タイミングが従来のシフトと合わなくなる(飲み忘れ・重複のリスクが上がる)。​
  • 眠前薬の変更でふらつきが増えた疑いがあり、観察・転倒予防・頓用判断が必要になる。​
  • 粉砕可否や簡易懸濁の可否が絡み、施設の“加工ルール”の再教育が必要になる。​

このタイプは、支援内容の記録(薬剤服用歴等に要点記載)が求められる点が繰り返し強調されているため、訪問時メモをそのまま薬歴に転記できるテンプレを作ると運用が崩れにくいです。

施設連携加算 算定例:副作用や体調変化の相談から支援を変更

施設職員から「副作用が疑われる症状」「体調変化」などの相談があり、薬剤師が服薬状況等を確認した結果、これまでと異なる服薬支援が必要と認めた場合も算定の対象に整理されています。

このケースは、介護現場の観察(眠気・ふらつき・食欲低下・下痢/便秘・せん妄など)と薬学的評価(相互作用、重複、腎機能を踏まえた過量の可能性等)をつなぐ場面で、施設連携加算の趣旨に合致しやすいです。

摘要欄コードとして「820101264(副作用・体調の変化等における当該施設職員からの相談があったため)」が提示されています。

“相談対応”を算定に耐える形へ整えるポイントは次の通りです。

  • 電話だけで完結させず、施設に赴いて保管状況・残薬・服薬状況を直接確認する(要件として「薬剤師自らが直接確認・実施」と整理されている)。​
  • 相談内容を「症状→起こりうる薬学的要因→施設でできる観察→医師へ戻す情報」の順で整理し、施設職員が再現できる手順にする。​
  • “疑い”の段階でも、重複服用・相互作用・投薬後の併用薬剤・併診情報まで確認し、再発防止の仕組み(配薬導線や記録)に落とす。​

施設連携加算 算定例:算定できない例と監査で見られる落とし穴(独自視点)

施設連携加算は「施設の要望に基づき一包化等の調製を行い、職員に情報共有したのみ」の場合は算定できない、という趣旨が明確に示されています。

つまり“作業量が多い”“施設に喜ばれた”だけでは根拠にならず、訪問・直接確認・協働・服薬管理支援の一連の流れが記録に残っているかが実務上の分かれ目になります。

この点は、算定可否で揉めやすい一方、逆に言えば「施設の要望→薬局の納品」型から、「訪問→観察→介護職が回せる手順化」型へ業務設計を変えるだけで、算定の整合性とケアの質が同時に上がりやすい領域です。

落とし穴を“監査で説明できる言葉”に直すと、次のようになります。

  • NGに近い:一包化した、配薬しやすいと言われた、電話で注意した、残薬がありそうと伝えた。

    参考)14の2 外来服薬支援料

  • OKに近い:訪問して保管・残薬・服薬状況を確認し、相互作用・重複・副作用疑い等を評価した上で、施設職員と協働して服薬支援措置を実施し、要点を薬歴に記載した。​

さらに“意外に見落とされる”のが、摘要欄の「理由コード」は入っているが、薬歴側に「何をどう変えたか(支援の要点)」が薄いケースです。

参考)https://kanri.nkdesk.com/chouzai/meisai.pdf

監査対応の観点では、コード(820101262/263/264 等)で入口を整えたうえで、薬歴には「現物確認した対象」「発見したリスク」「介護職と合意した運用」「次回評価の観点(いつ何を確認するか)」まで短文で残すと説明力が上がります。

参考:算定要件・算定理由(摘要欄コード)を確認できる(施設連携加算の820101262/263/264が掲載)

調剤報酬明細書の「摘要」欄への記載事項等一覧(施設連携加算コード)

参考:算定できない例(「一包化等+情報共有のみは算定不可」)の明確な記載がある

しろぼんねっと:外来服薬支援料2(施設連携加算の留意事項)