白点状眼底 治療
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白点状眼底 治療の前提:白点症候群の鑑別
白点状眼底は「眼底に白斑が見える」という現象であり、同じ“白点”でも病態は網膜外層・RPE・脈絡毛細血管板・脈絡膜など幅広く、治療適応が大きく変わります。
白点症候群(white dot syndromes)はMEWDS、PIC、MFC、APMPPE、蛇行性脈絡膜炎、birdshotなどを含む疾患群として整理され、マルチモーダル画像で解剖学的に分類する考え方が提案されています。
臨床では「感染性ぶどう膜炎(梅毒・結核・トキソプラズマ等)」や「悪性リンパ腫などの仮面症候群」も白色病変で紛れうるため、白点=非感染性とは決め打ちしない設計が安全です。
治療方針を誤らせやすい落とし穴は、①自然軽快しやすい疾患に過剰治療してしまう、②逆に免疫治療が必要なタイプを“様子見”して不可逆障害を残す、の両方向です。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8879059/
鑑別の実務は「発症様式(急性/亜急性/慢性)」「片眼/両眼」「炎症所見(前房・硝子体)」「視野と症状(中心暗点、Mariotte盲点拡大、光視症)」「OCTでのellipsoid zone(EZ)障害」などの組み合わせで進めます。
特にAZOORは“眼底がほぼ正常”でも急激な視野欠損を生じ得るため、視神経炎と誤認されやすく、OCT・視野・必要ならERGで網膜外層疾患として捉え直すことが重要です。
白点状眼底 治療:経過観察でよいケース(MEWDS)
MEWDS(多発消失性白点症候群)は多くがself-limitingで、自然軽快することが多いとされ、基本方針は経過観察になります。
臨床的には、後極部を中心とした多発白点、黄斑部顆粒状変化、OCTでのEZ障害などを手がかりに、視機能の回復トレンドを追う管理が現実的です。
ただし視力回復が遷延する場合など、症例によっては全身ステロイド投与が検討される、という位置づけも示されています。
フォローアップの実務では、少なくとも「視力」「自覚症状(霧視・光視症)」「視野」「OCT(EZ回復)」をセットで追うと、患者説明と意思決定が安定します。
白点が消えた後も、患者は“見え方の違和感”を訴えることがあり、視機能が回復していく途中経過を見える形で共有するのがトラブル回避になります(視野やOCTの提示が有効)。
一方で、MEWDS様所見が他疾患や医原性障害に付随する「secondary MEWDS」では治療が必要になることがある、と整理されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11074181/
白点状眼底 治療:ステロイド検討が難しいケース(AZOOR)
AZOORは、若年女性に多く、光視症を伴う急激な視野欠損/視力低下で発症し得る一方、眼底写真やFAがほぼ正常という特徴がガイドラインに明記されています。
診断の要は、視野欠損部位に一致したOCT所見(EZの欠損/不鮮明化、interdigitation zone消失など)で、必要に応じERGで機能低下を裏付けます。
つまり「白点状眼底」が目立たない、あるいは見えないのに“白点症候群スペクトラム”に入る病態で、ここを落とすと視神経疾患扱いで診療導線がズレます。
治療については、確立した治療がないこと、自己免疫/炎症の関与が推定されるため重症例で副腎皮質ステロイド点滴/内服が用いられることがある一方、有効性が明確ではないことがガイドラインで述べられています。
このため現場では「視野の進行」「OCTで外顆粒層(ONL)菲薄化が出てきていないか」「症状固定までの時間軸」を意識し、治療介入の目的(進行抑制か、症状緩和か)を明確化して合意形成するのが重要です。
またAZOORは自己免疫疾患合併が一定割合で報告され、橋本病や多発性硬化症などが挙げられているため、必要に応じて全身背景の確認も診療の質を上げます。
白点状眼底 治療:ぶどう膜炎としての薬物療法の位置づけ
白点状眼底が「後部ぶどう膜炎/脈絡網膜炎」に相当する病態の場合、視機能に重篤な障害を来す後眼部炎症では全身ステロイドが適応となり得る、という考え方がぶどう膜炎診療ガイドラインに整理されています。
同ガイドラインでは、全身ステロイド開始前に感染症チェック(梅毒血清反応、HBV/HCV、胸部X線、IGRA等)や全身状態評価を行うことが示され、鑑別の“抜け”を減らす枠組みになっています。
さらにステロイド全身投与の副作用(骨粗鬆症、感染症誘発、精神症状、糖代謝など)や眼局所副作用(白内障、緑内障、中心性漿液性脈絡網膜症など)も列挙され、リスク説明とモニタリングの重要性が強調されています。
白点状眼底の文脈では、同じ「白点症候群」でも観察中心のMEWDSと、免疫治療を組み合わせる疾患(より重症な脈絡毛細血管板炎症群など)が連続体として議論され、重症度で治療が変わる整理がされています。
したがって、初診で“白点=ステロイド”に短絡せず、「視機能リスク(黄斑中心か、視野進行か)」「画像での虚血/炎症の広がり」「感染性除外」を踏んでから治療強度を決めるのが医療安全上の要点です。pmc.ncbi.nlm.nih+1
治療方針が揺れたときは、ぶどう膜炎ガイドラインの投与前評価項目をチェックリスト的に使うと、議論が構造化されます。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5423364/
白点状眼底 治療の独自視点:患者説明とフォロー設計(視野・FAF・OCT)
白点状眼底では「所見が消えたのに見え方が戻らない」「検査が多くて不安」といった相談が起きやすく、フォロー設計そのものが治療の一部になります。
AZOORのガイドラインでも、FAFで病変部と正常部の境界が分かることがあり、OCTと合わせて病変の輪郭を共有できる点が示されているため、説明資材として活用価値が高いです。
MEWDSのように自然軽快が多い疾患でも、OCTでEZが回復していくプロセスを見せると「治っているが時間が必要」という理解を得やすく、不要な受診・不要な薬剤要求の抑制につながります。
フォロー設計の例(外来運用の現実解)を挙げると、以下のように“目的別”に検査を束ねるとブレが減ります。
・👁️視機能の安全確認:視力、Amsler、必要なら視野(中心暗点/Mariotte盲点拡大の追跡)
・🧪構造の回復確認:OCT(EZ/ONL、interdigitation zone)
・🗺️病変範囲の共有:FAF(境界の可視化)、必要時にFA/ICGA(疾患により)
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5357819/
日本語の権威性リンク(AZOORの診断基準・OCT/ERG・治療の位置づけがまとまっている)
日本眼科学会承認:急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)の診断ガイドライン(PDF)
日本語の権威性リンク(ぶどう膜炎の全身ステロイド適応・投与前評価・副作用モニタリングがまとまっている)