浸透圧性下剤種類と特徴、効果、使い分け

浸透圧性下剤種類と作用機序

酸化マグネシウム500mgは高齢者の2割が高Mg血症リスクあり

この記事の3ポイント要約
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浸透圧性下剤は3種類

塩類下剤(酸化マグネシウムなど)、糖類下剤(ラクツロース)、ポリエチレングリコール(モビコール)に分類され、それぞれ異なる作用機序と特徴を持つ

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効果発現時間と安全性

刺激性下剤が8時間前後で効くのに対し、浸透圧性下剤は24~72時間かかるが、習慣性がなく長期使用に適している

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患者背景で使い分けが必要

腎機能低下者や高齢者には酸化マグネシウムよりモビコールを選択し、肝硬変患者にはラクツロースが推奨される

浸透圧性下剤の基本的な作用機序とは

 

浸透圧性下剤は、腸管内の浸透圧を高めることで水分を腸内に引き込み、便を軟化させて排便を促す薬剤です。刺激性下剤のように腸管を直接刺激するのではなく、物理的に便の水分量を増やすため、習慣性が少なく長期投与に適しています。この作用機序は、慢性便秘症診療ガイドライン2017において「強い推奨」かつ「質の高いエビデンスレベル」と評価されています。

つまり物理的な水分調整です。

浸透圧性下剤は、消化管から吸収されにくい物質が腸管内に留まることで浸透圧勾配を形成します。この勾配によって腸管壁から腸管内へ水分が移動し、便の含水量が増加するのです。腸管を無理に動かさないため、腹痛などの副作用が比較的少ないという利点があります。

効果発現までの時間は24~72時間と、刺激性下剤の8~12時間と比べて遅めです。しかし、この緩やかな作用が長期管理には向いており、毎日服用することで自然に近い排便リズムを作ることができます。患者さんに「すぐには効かない」という点を事前に説明しておくことが、服薬アドヒアランスを維持するために重要です。

浸透圧性下剤の3つの分類と代表薬

浸透圧性下剤は、塩類下剤、糖類下剤、ポリエチレングリコールの3つに分類されます。それぞれ化学構造と作用の細部が異なるため、患者背景に応じた使い分けが必要です。

塩類下剤の代表は酸化マグネシウム(商品名:マグミット、カマグなど)です。1823年にシーボルトによって日本に持ち込まれた歴史ある薬剤で、現在も日本で最も処方頻度の高い便秘薬の一つです。

年間使用例は約4,500万人に上ります。

酸化マグネシウムは胃内で炭酸マグネシウムに変化し、腸管内で浸透圧を高めます。薬価が非常に安く、費用対効果に優れているのが特徴です。

糖類下剤にはラクツロース(商品名:モニラック、ラグノスNF経口ゼリー)があります。これは人間の消化酵素では分解されない合成二糖類で、そのまま大腸に到達します。腸内細菌によって有機酸に分解され、浸透圧を高めるとともに腸内pHを酸性化します。効果発現には24~48時間かかりますが、血糖値に影響を与えないため糖尿病患者にも使用できます。

これは糖尿病でも安全です。

ポリエチレングリコール製剤(商品名:モビコール配合内用剤)は、2018年に日本で発売された比較的新しい薬剤です。ただし海外では以前から広く使用されており、安全性の実績があります。酸化マグネシウム500mgがモビコール1包とほぼ同等の効果を持ちます。胃酸の影響を受けずに直接水分を保持するため、効果が安定しているのが特徴です。

浸透圧性下剤と刺激性下剤の効果時間比較

浸透圧性下剤と刺激性下剤では、効果発現時間に大きな違いがあります。この違いを理解することが、患者への適切な服薬指導につながります。

刺激性下剤(センノシドピコスルファートなど)は、服用後8~12時間で効果が現れます。就寝前に服用すれば翌朝に排便があるという計算です。腸管のぜん動運動を直接促進するため、即効性がありますが、長期連用によって耐性が生じやすく、腸管メラノーシスのリスクもあります。

一方、浸透圧性下剤は効果発現まで24~72時間かかります。酸化マグネシウムは2~3時間で腸に到達しますが、十分な便軟化効果が出るまでには数日を要することが多いです。ラクツロースは24~48時間、モビコールは1~3日程度が目安となります。

効果は緩やかで確実です。

この時間差により、「便秘が辛いから今すぐ出したい」という患者には刺激性下剤を頓用として使用し、「毎日の排便習慣を整えたい」という患者には浸透圧性下剤を定期内服するという使い分けが基本になります。慢性便秘症診療ガイドラインでも、浸透圧性下剤を基本とし、刺激性下剤はレスキューとして使用することが推奨されています。

患者さんに「浸透圧性下剤は効き目が遅いけれど、毎日飲み続けることで自然な排便リズムができる」と説明することで、服薬中断を防げます。また、「1~2日で効果が出なくても焦らず続けてください」という声かけも重要です。

浸透圧性下剤の長期使用における安全性

浸透圧性下剤は習慣性が少なく、長期使用に適していますが、それぞれの薬剤に特有の注意点があります。医療従事者として、これらのリスクを把握しておくことが患者の安全を守ることにつながります。

酸化マグネシウムの最大のリスクは高マグネシウム血症です。特に高齢者や腎機能低下患者では、マグネシウムの排泄が遅延し、血中濃度が上昇するリスクがあります。厚生労働省とPMDAは2008年と2015年に注意喚起を行っており、長期投与または高齢者への投与時には定期的な血清マグネシウム濃度測定が推奨されています。高マグネシウム血症の初期症状には、悪心・嘔吐、口渇、血圧低下、徐脈、筋力低下、傾眠などがあり、重症化すると呼吸抑制、意識障害、不整脈、心停止に至ることがあります。

定期的な血液検査が必須です。

ある研究では、摂食障害患者194人のうち70人(36.1%)に酸化マグネシウムが処方され、そのうち42人(21.6%)に高マグネシウム血症が認められました。これは腎機能が正常な若年者でも発生しうることを示しています。

ラクツロースは比較的安全性が高いですが、過剰投与により下痢、腹部膨満、鼓腸(ガスの増加)が起こることがあります。腸内細菌によって分解される際にガスが発生するため、お腹が張る感じを訴える患者もいます。

用量調整で対応可能なことが多いです。

モビコールは体内に吸収されにくいため、腎機能低下患者でも比較的安全に使用できます。ただし、電解質(ナトリウム、カリウムなど)を含む製剤のため、心不全や電解質異常のある患者では注意が必要です。副作用として下痢、腹痛、腹部膨満、悪心などが報告されています。

浸透圧性下剤選択時の患者背景別ポイント

患者の年齢、腎機能、併存疾患によって、最適な浸透圧性下剤は変わってきます。画一的な処方ではなく、個別化した選択が求められます。

高齢者では、まず腎機能を確認することが最優先です。eGFRが60 mL/min/1.73m²未満の場合、酸化マグネシウムは慎重投与となり、定期的な血清マグネシウム濃度測定が必要です。腎機能低下が顕著な場合は、モビコールやラクツロースへの変更を検討します。高齢者は脱水傾向にあることが多いため、浸透圧性下剤使用時には水分摂取の指導も重要です。

腎機能確認が一ステップです。

腎機能低下患者には、体内吸収がほとんどないモビコールが第一選択となります。酸化マグネシウム500mgがモビコール1包に相当しますが、モビコールは血中マグネシウム濃度に影響を与えないため、長期使用でも高マグネシウム血症のリスクがありません。ただし、薬価は酸化マグネシウムより高くなります。

肝硬変患者には、ラクツロースが推奨されます。ラクツロースは腸内pHを酸性化し、アンモニアの吸収を抑制する効果があるため、肝性脳症の予防・治療にも使用されます。つまり、便秘改善と肝性脳症予防という二つの効果が期待できるのです。

糖尿病患者にもラクツロースは安全に使用できます。合成二糖類であるため消化吸収されず、血糖値に影響を与えません。この点は患者への説明時に強調すべきポイントです。

妊婦・授乳婦には、安全性の実績が豊富な酸化マグネシウムやラクツロースが選択されることが多いです。ただし、妊娠中の便秘は食事・運動療法を優先し、薬物療法は必要最小限にとどめることが原則です。

浸透圧性下剤種類別の使い分けと注意点

塩類下剤(酸化マグネシウム)の特徴と投与時の注意

酸化マグネシウムは、日本の便秘治療において最も広く使用されている浸透圧性下剤です。その理由は、効果と安全性のバランス、そして圧倒的な薬価の安さにあります。しかし、安全性が高いからこそ見落とされがちなリスクがあります。

酸化マグネシウムの通常用量は、成人で1日2g(2,000mg)までですが、実際の臨床では330mg錠を1日2~3回、つまり660~990mgから開始することが多いです。効果を見ながら徐々に増量し、排便回数が1回/2日~2回/日、ブリストル便形状スケールで3~5になるよう調整します。

用量は個別に調整が必要です。

重要な薬物相互作用として、テトラサイクリン系抗生物質ニューキノロン系抗菌薬との併用があります。酸化マグネシウムがこれらの薬剤とキレートを形成し、抗菌薬の吸収を阻害するため、効果が減弱します。同時服用を避け、最低でも2~3時間の間隔を空けることが必要です。

また、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬との併用により、酸化マグネシウムの緩下作用が減弱することが知られています。これは胃酸が抑制されることで、酸化マグネシウムの腸管内での変化が妨げられるためです。便秘改善効果が不十分な場合、この相互作用を疑う必要があります。

鉄剤との併用では、鉄の吸収が低下します。鉄剤服用後は最低2時間空けてから酸化マグネシウムを服用し、酸化マグネシウム服用後は3~6時間空けてから鉄剤を服用するという時間差投与が推奨されます。

さらに注意すべきは、活性型ビタミンD3製剤カルシウム製剤との併用です。高マグネシウム血症のリスクが増加するため、血清マグネシウム濃度のモニタリング頻度を上げる必要があります。特に高齢者や腎機能低下患者では慎重な観察が求められます。

糖類下剤(ラクツロース)の特性と使用場面

ラクツロースは、肝硬変患者の便秘治療において特に重要な位置を占める浸透圧性下剤です。2018年9月に慢性便秘症の効能効果を取得したラグノスNF経口ゼリーにより、使用しやすさが向上しました。

ラクツロースの作用は二段階です。まず、消化吸収されない二糖類として腸管内の浸透圧を高めます。次に、大腸内で腸内細菌によって乳酸や酢酸などの有機酸に分解され、さらに浸透圧を上昇させるとともに、腸内pHを酸性化します。このpH低下により、アンモニア(NH3)がイオン化してアンモニウムイオン(NH4+)となり、吸収されにくくなります。

肝硬変では特に有効です。

肝性脳症の患者では、腸管から吸収されたアンモニアを肝臓で十分に処理できず、血中アンモニア濃度が上昇します。ラクツロースはこのアンモニア産生・吸収を抑制するため、便秘改善と肝性脳症予防の両方の効果が得られるのです。この二重の効果により、肝硬変患者の便秘治療ではラクツロースが第一選択となります。

通常用量は、成人で1日30~60mL(シロップの場合)を2~3回に分けて服用します。ラグノスNF経口ゼリーでは、1包12g(ラクツロース約10g含有)を1日1~2回から開始します。効果発現までに24~48時間かかることを患者に説明しておくことが重要です。

副作用として、腹部膨満感やガスの増加(鼓腸)が比較的高頻度で見られます。これは腸内細菌による発酵過程でガスが産生されるためです。多くの場合、継続使用により症状は軽減しますが、耐えられない場合は減量または他剤への変更を検討します。

過剰投与では下痢を起こすため、排便状況を見ながら用量調整が必要です。特に高齢者では、下痢による脱水や電解質異常に注意が必要です。

ポリエチレングリコール製剤(モビコール)の利点とデメリット

モビコール配合内用剤は、2018年11月に日本で発売された比較的新しい浸透圧性下剤ですが、世界では1990年代から使用されている実績のある薬剤です。高分子のポリエチレングリコール(PEG)3350に電解質(塩化ナトリウム、塩化カリウム炭酸水素ナトリウム)を配合した製剤です。

モビコールの最大の特徴は、体内にほとんど吸収されないことです。PEGは高分子であるため腸管から吸収されず、腸管内で直接水分を保持します。このため、腎機能低下患者でも比較的安全に使用でき、高マグネシウム血症のリスクがありません。酸化マグネシウムからの切り替え先として重要な選択肢です。

腎機能低下でも安全性高いです。

作用機序は、PEGが腸管内の水分子と水素結合を形成し、水分を腸管内に保持することです。酸化マグネシウムが腸管壁から水分を引き込むのに対し、モビコールは飲んだ水分をそのまま腸管内に留める仕組みです。そのため、服用時には十分な水分(1包あたり約60~120mL)と一緒に飲むことが効果を高めるポイントです。

通常用量は、成人で1日1~2包から開始し、効果を見ながら最大3包まで増量できます。酸化マグネシウム500mgがモビコール1包とほぼ同等の効果とされています。

効果発現までは1~3日程度かかります。

配合されている電解質により、電解質バランスを崩しにくいという利点がありますが、心不全患者や塩分制限が必要な患者では、ナトリウム含有量(1包あたり約187mg)に注意が必要です。また、カリウムも含まれているため、高カリウム血症のリスクがある患者では慎重投与となります。

薬価は酸化マグネシウムと比較して高額です。酸化マグネシウム錠330mgの薬価が約5~6円/錠なのに対し、モビコール配合内用剤は約60円/包です。費用対効果を考慮すると、腎機能が正常で薬物相互作用のリスクが低い患者では、まず酸化マグネシウムを試し、効果不十分または副作用がある場合にモビコールへ変更するという段階的アプローチが現実的です。

副作用としては、下痢、腹痛、腹部膨満、悪心などが報告されています。過量投与による下痢を防ぐため、用量調整が重要です。また、まれに過敏症(発疹、紅斑、血管浮腫など)が起こることがあるため、初回投与後の観察が必要です。

浸透圧性下剤の薬価比較と費用対効果

医療経済の観点から、浸透圧性下剤の薬価を比較すると、その差は顕著です。この差が処方選択に影響を与えることは避けられません。

酸化マグネシウム錠330mg:約5~6円/錠(1日2錠として月額約300~360円)

ラクツロース(モニラックシロップ):約8円/mL(1日40mLとして月額約9,600円)

ラグノスNF経口ゼリー分包12g:約50円/包(1日1包として月額約1,500円)

モビコール配合内用剤:約60円/包(1日2包として月額約3,600円)

費用差は最大32倍になります。

この薬価差により、日本では酸化マグネシウムが圧倒的に多く処方されています。慢性便秘症診療ガイドラインでも、「腎機能が正常で薬物相互作用のリスクが低ければ、費用対効果の観点から酸化マグネシウムを第一選択とする」という実践的な推奨がなされています。

ただし、高齢者人口の増加に伴い、腎機能低下患者が増えています。eGFR 60未満の患者では、酸化マグネシウムの長期使用によるリスクと、モビコールの薬価増加というコストを天秤にかける必要があります。高マグネシウム血症による入院治療が必要になれば、その医療費は薬価差を大きく上回ります。

患者負担の面では、3割負担の場合、酸化マグネシウムは月約100円、モビコールは月約1,000円となり、10倍の差があります。患者の経済状況も考慮した処方選択が求められます。

浸透圧性下剤使用時のモニタリング項目

浸透圧性下剤の長期使用では、定期的なモニタリングが患者の安全を守る鍵となります。特に高齢者や腎機能低下患者では、以下の項目を確認する必要があります。

酸化マグネシウム使用時の必須モニタリング項目は、血清マグネシウム濃度です。正常値は1.8~2.4 mg/dLで、2.5 mg/dL以上で高マグネシウム血症と診断されます。厚生労働省の指針では、長期投与または高齢者への投与時には定期的な測定が推奨されていますが、具体的な測定間隔は明示されていません。実臨床では、投与開始後1~3ヶ月、その後は3~6ヶ月ごとの測定が一般的です。腎機能低下患者ではより頻回の測定が必要です。

血清Mg測定は必須項目です。

血清クレアチニンとeGFRも重要なモニタリング項目です。腎機能の変化により、マグネシウムの排泄能力が低下すれば、高マグネシウム血症のリスクが急増します。特に高齢者では、加齢による腎機能低下が進行するため、定期的な確認が欠かせません。

臨床症状の観察も重要です。高マグネシウム血症の初期症状(悪心・嘔吐、口渇、筋力低下、傾眠など)が現れた場合、すぐに血液検査を実施し、必要に応じて薬剤を中止します。「最近、やたら眠い」「力が入らない」といった訴えを見逃さないことが大切です。

排便回数と便の性状(ブリストル便形状スケール)の記録も、効果判定と用量調整に必要です。目標は、排便回数1回/2日~2回/日、便性状スケール3~5(バナナ状~柔らかい固形便)です。

下痢が続く場合は減量を検討します。

ラクツロース使用時には、肝硬変患者では血中アンモニア濃度のモニタリングが有用です。便秘改善とともにアンモニア値が低下すれば、二重の効果が得られていることが確認できます。

モビコール使用時には、電解質(ナトリウム、カリウム)のモニタリングが推奨されます。特に心不全患者や腎機能低下患者では、電解質異常のリスクがあるため、定期的な血液検査が必要です。

すべての浸透圧性下剤において、脱水症状(口渇、尿量減少、皮膚の乾燥など)に注意します。特に夏季や発熱時には、水分摂取の指導を強化する必要があります。

厚生労働省による酸化マグネシウムの適正使用に関する通知(PDF)では、高マグネシウム血症のリスク管理について詳しく解説されています
日本消化器病学会の慢性便秘症診療ガイドライン2017では、浸透圧性下剤の推奨度とエビデンスレベルが示されています

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