止血ベルトと透析
止血ベルト 透析の基本:止血とシャント血流の両立
透析後の止血は「出血を止める」だけでなく、「シャント血流を止めない」ことが同じくらい重要です。止血で強く押しつぶすと痛みや不快感が増えるだけでなく、鬱血やシャント閉塞のリスクにもつながるため、圧迫中から触診でスリルを確認し、必要に応じて聴診でシャント音も確かめる運用が推奨されます。
とくに新人スタッフがつまずきやすいのは、「止血できている=適切」という思い込みです。実際には、血流が保たれた状態で針孔だけを狙って圧迫できているかが質を決め、ここが甘いと少量の滲出が続いたり、帰宅後の再出血につながりやすくなります。
止血ベルト(止血バンド)は、手指圧迫を補助して安静を保ちやすくする利点がありますが、同時に“締めすぎを見逃しやすい”という落とし穴もあります。止血中は「皮膚色」「疼痛」「しびれ」「冷感」「腫脹」など末梢循環の変化も合わせて観察し、患者訴えを軽視しない姿勢が事故予防になります。
参考)上手な止血
止血ベルト 透析と穿刺・抜針:針孔を外さない圧迫のコツ
止血の成否は、抜針の瞬間からほぼ決まります。抜針は素早くまっすぐ、そして“抜いてから押さえる”のではなく、出血を外に出さないように圧迫点を作ってから抜針に移る、という考え方が基本です。
また止血は「3本指で押さえる」「外出血・内出血させず」「血流を止めない強さ」という整理が分かりやすく、力任せではなく“狙い”が重要になります。
意外と見落とされるのが、皮膚の穿刺孔と血管壁の針孔が一致しない点です。血管壁の針孔をイメージできていないと、皮膚孔の上だけを押さえてしまい、皮下で出血が広がって血腫・内出血を作りやすくなります。
現場では、ガーゼが小さすぎて圧迫点がズレることも再出血の原因になります。ガーゼはある程度の面積(例:三つ折り×三つ折り程度)で“的”を外しにくくし、患者が少し動いてもズレない設計にする考え方が示されています。
止血ベルト 透析の外す順番:A側V側と再出血リスク
止血ベルトを外す場面は、透析室から病棟移動・更衣・帰宅など動作が増えるタイミングと重なり、再出血が起きやすい局面です。したがって「どちらから外すか」を“作法”として統一しておくと、ヒヤリハットを減らしやすくなります。
一般的な内シャントでは、A(脱血)・V(返血)の2穿刺があるため、外す順番を誤ると片側の圧迫がもう片側の止血を邪魔する、という現象が起こり得ます。
一例として、シャントから遠い(心臓に近い)側の駆血から外すほうが出血リスクが少ない、という現場知見が共有されています。
参考)【透析終了後 止血ベルトの外し方】止血ベルトをはずす順番とタ…
さらに「止血ベルトは10~20分程度で外す」「長時間の圧迫はシャントによくない」という注意喚起もあり、外す順番と同じくらい“外すまでの時間設計”が重要になります。
止血ベルト 透析の観察:出血・血腫・感染とシャント閉塞
出血トラブルは単なる汚染ではなく、創部感染・皮下血腫・穿刺困難・シャント閉塞など、次の透析に響く問題を連鎖的に引き起こし得ると整理されています。
止血中に「痛い」と言われて慌てて圧迫をゆるめた瞬間や、患者が腕を動かした瞬間に出血しやすいという指摘もあり、手技だけでなくコミュニケーションと体動制御が止血品質に直結します。
観察は「穿刺部そのもの」だけで終わらせず、末梢循環の変化(冷感、色調、しびれ)を含めて評価します。圧迫が強すぎると鬱血で不快感が増し、恐れるべきシャント閉塞につながるため、止血中・止血後のスリル確認やシャント音確認をルーチン化することが勧められています。
離床後や更衣中、帰宅途上で出血したケースについて「患者を責めるだけではいけない」「固定と安静時間、運動時の注意が重要」という考え方も示され、患者教育の質が事故率を左右します。
止血ベルト 透析の独自視点:血圧カフと情報共有で起こる出血事故
止血ベルトそのものから少し視野を広げると、「圧迫」という共通要素で起こる事故が見えてきます。実際に、透析シャント側の上腕に24時間血圧計のカフを装着し、加圧時にシャント部位から出血した事例が医療安全ニュースとして報告されています。
この事例では、病棟から検査部門へのシャント情報伝達不足、患者への直接確認不足、電子カルテ等での禁忌確認不足など、複数の“抜け”が重なったことが背景として記載されています。
ここから得られる教訓は、止血ベルトの適正使用を現場教育しても、周辺業務(血圧測定、検査オーダー、移送)で別の圧迫が加われば出血事故が起き得る、という点です。シャント側での血圧測定が禁忌とされる理由として、カフ圧迫によるシャント破損や血流停滞による閉塞の可能性が挙げられており、止血管理と同じく「圧迫のリスク管理」が核になります。
参考)https://www.jamt.or.jp/books/safety/pdf/safetynews_015.pdf
透析室・病棟・検査部門で「シャントの有無」「左右」「禁忌」を目視・触診・情報照合で“認証”する仕組みを作る提案もあり、止血ベルト運用を安全文化(チェックリスト、アラート、申し送り標準化)に接続することが有効です。
患者指導としては、止血ベルトの自己解除手順だけでなく、「シャント側では血圧測定や採血をしない」など他職種・他部門に伝わる短いフレーズで自己防衛できるように支援すると、再発防止に直結します。
止血のコツ(針孔の上流を押さえる、シャント血流を遮断しない等)が実務的に整理されている(止血の基礎に該当)
シャント側に血圧カフ装着→出血となった医療安全事例と、禁忌確認・目視触診・チェックリスト化の提案がまとまっている(独自視点:周辺業務の圧迫リスク)
https://www.jamt.or.jp/books/safety/pdf/safetynews_015.pdf

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